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東京開催が目前!ニック・キャシディがランキング首位に | FIA フォーミュラE世界選手権 2024 第4戦 サンパウロ・プレビュー
モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ第3戦で勝利し、表彰台で歓喜するニック・キャシディ
いよいよ2024年東京・お台場での開催が目前に迫った「フォーミュラE」。J SPORTSでは今季も「フォーミュラE世界選手権」をライブ中継!今回は3月30日(土)の「Tokyo e−prix」の直前レースとなる第4戦ブラジル(サンパウロ市街地コース、現地時間3月16日(土)開催)のプレビューをお届けします。
1月13日(土)に開幕した「フォーミュラE世界選手権」の2024年シーズンはメキシコシティ、ディルイーヤ(サウジアラビア)と転戦し、今度は南米へ。昨シーズンに初開催となったサンパウロでのレースを迎えます。
ストレートとブレーキングポイントが交互にやってくるストップアンドゴーの典型的な市街地コースレイアウトとなっているサンパウロ。非常にタイトなコースであり、ブレーキングゾーンでは激しい接近戦が楽しめるコースです。そしてアタックモードを使いパワーアップしてブレーキングで勝負をかける、ドライバーとチームのレースメイクの駆け引きが3台接近によるフィニッシュという劇的なシーンを生んだのが昨年のレースでした。
優勝を飾ったのは日本でもお馴染みのドライバー、ニック・キャシディ(ジャガー)。昨年は「エンヴィジョン・ジャガー」からの参戦でしたが、今年はジャガー・ワークスのドライバーとしていよいよチャンピオンを狙います。そんなキャシディがディルイーヤの2レース目(第3戦)でついに優勝。3レース連続の表彰台フィニッシュとなり、早くも圧倒的なリードを築くことに成功しました。
これは今回のサンパウロの結果次第では日本の「スーパーフォーミュラ」「SUPER GT」のチャンピオンでもあるニック・キャシディがランキング首位を維持したまま、東京に凱旋しそうな状況ですね。ただ、前述のようにサンパウロは波乱が起きるというか、波乱に巻き込まれやすいコース。優勝を狙うのはもちろんですが、チャンピオンシップを考えればしっかりポイントを勝ち取りたいところでしょう。
ランキング首位のニック・キャシディ(ジャガー)=57点に対して19点差をつけられてランキング2位につけるのがパスカル・ヴェアライン(ポルシェ)。ヴェアラインは第1戦で優勝を飾っていますが、ディルイーヤでは表彰台に乗ることができませんでした。
昨年のサンパウロ大会の様子
ポルシェ・ワークスチームはディルイーヤで苦戦しましたが、同じポルシェのパワートレインを使うジェイク・デニス(アンドレッティ)は第2戦で優勝。ランキング4位につけています。レースごとにその勢力図が入れ替わる「フォーミュラE」において勝てるチャンスが巡ってきた時に確実に勝ちに行けるドライバーの一人で、フルワークス体制ではないながら年間チャンピオンを勝ち取ることに成功したのも納得ですね。東京でもジェイク・デニス(アンドレッティ)がどんなパフォーマンスを見せるのか注目です。
日本開催を前に、日本のファンにとっては嬉しい結果が第3戦で生まれました。唯一の日本メーカーとして参戦する「ニッサン」のドライバー、オリバー・ローランド(ニッサン)が見事にポールポジションを獲得。そして決勝レースでは3位表彰台を獲得したのです。ここ数年、「ニッサン」はずっと苦戦続きで昨年も2位表彰台が1回あっただけ。それだけにシーズン序盤でのポール&表彰台という結果は実にポジティブなニュースです。
オリバー・ローランド(ニッサン)は3シーズンぶりの「ニッサン」への復帰です。かつて所属した時代にもポールポジション、表彰台の獲得回数が多く、2020年のベルリンで1勝をマークしています。古巣メーカーに戻ってくるというのは珍しいパターンですが、不調の「ニッサン」の救世主と言えるのかもしれませんね。
ローランドは少年時代、ニック・デ・ブリース(2020−21王者/現WECトヨタ)と共に「マクラーレン」の支援によってレーシングカートで育成されたドライバーです。過去に鈴鹿でカートレースに出場したこともありました。速さは抜群でしたが、早い段階で体つきが大きくなってしまい、F1への道のりは順調には進みませんでした。しかし、「フォーミュラE」では時折、持ち前の速さを発揮しています。
「ニッサン」のもう一人は日本でも人気のサッシャ・フェネストラズ(ニッサン)ですが、サッシャも第3戦では6位でフィニッシュするなど、このレースは2台揃って結果を残すことに成功しました。東京では念願の母国開催であるだけに活躍を期待したいところです。
とはいえ、今季もジャガー陣営が優勢であることはこの3戦で明確になりました。ニック・キャシディ(ジャガー)、ミッチ・エヴァンス(ジャガー)という2人を擁するジャガーワークスは強い。サンパウロでデッドヒートな1−2フィニッシュを見せたニュージランダー2人がジャガーに大きなマージンをもたらして東京にやってくるのか、それとも大混戦になるのか、見逃せないレースが始まります。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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