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モーター スポーツ コラム 2023年6月2日

8耐出場も決まった岡谷雄太に注目! | FIM スーパースポーツ世界選手権2023 第5戦・ミサノ プレビュー

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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FIM スーパースポーツ世界選手権2023

FIM スーパースポーツ世界選手権2023

スーパーバイク世界選手権に帯同する第2のシリーズ「FIMスーパースポーツ世界選手権(WSSP)」には今季、日本人ライダーが挑戦中。「FIMスーパースポーツ世界選手権」の中でヨーロッパ開催のレースで「WorldSSP Challeng」というヨーロッパ戦限定クラスが設定され、岡谷雄太(カワサキ)と阿部真生騎(ヤマハ)が参戦しています。第5戦はイタリアのミサノ・ワールドサーキット・マルコ・シモンチェリ(ミサノ)での開催。今回は6月2日(金)〜4日(日)に開催される第5戦のプレビューをお届けしましょう。

第5戦はイタリアのミサノでエミリア=ロマーニャラウンドとしての開催。F1エミリア=ロマーニャグランプリ(イモラ)での開催が洪水の影響で中止となりましたが、WSBK、WSSPは無事に開催できそうです。

今季はWSSPでもドゥカティ旋風が吹き荒れています。昨年からこのクラスのレギュレーションが変わり、かつての600ccクラスのマシンだけでなく、性能調整により排気量955ccのドゥカティ・パニガーレV2など様々なマシンが参戦できるようになりました。中量級という表現はもはや当てはまらない、排気量的にはごった煮感のあるレースにはなっているのですが、昨年このクラスにデビューしたドゥカティ・パニガーレV2は熟成が進み、強さを見せています。

シリーズをリードするのはニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)。23歳の若きイタリア人ライダーは2015年にCEV Moto3でチャンピオンに輝くと、2016年にはMoto3世界選手権にデビュー。同年の日本GPで表彰台を獲得しています。

Moto3、Moto2で計6シーズン過ごしたグランプリ時代に優勝の経験はありませんでしたが、ドゥカティワークスにチャンスをもらい、2022年に市販車ベースのWSSPに転向。昨年も地元ミサノで表彰台を獲得するなど活躍を見せました。

今季は開幕戦から勢力図が大きく変わり、4ラウンド中3ラウンドでポールポジションを獲得。8レース中5勝をマークしています。

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「阿部マイキ」初のデビュー戦!(SSP600クラス決勝)【ハイライト】FIM スーパースポーツ世界選手権2023_第4戦 _カタルーニャ・サーキット(スペイン) RACE1&RACE2

しかしながら、前戦・カタロニアのレース2ではトップ争い中にトラブルが発生してスローダウン。今季初の無得点レースを作ってしまいました。それでもランキング2位のマーセル・シュロッター(MVアグスタ)とは33点の差があり、序盤戦に作ったマージンは非常に大きなものとなっています。地元・ミサノでも当然、優勝候補です。

そんなブレガがシリーズを席巻するWSSPですが、今季は日本人ライダーが2人参戦していますから、日本のファンにとっても注目のレースです。第4戦・カタロニアでは阿部真生騎(ヤマハ)も予選を通過し、WSSPの決勝レースに初めて参戦することができました。

ヨーロッパのコースの経験値という意味では、このクラスではルーキーながらも岡谷雄太(カワサキ)の成長に注目したいですね。岡谷は夏の鈴鹿8耐に今年も「Kawasaki Plaza Racing Team」からSSTクラスで参戦することが決まりました。

市販車により近いストッククラスでの参戦ですが、ブリヂストンのタイヤを履くSSTクラスでは高い戦闘力を見せることができ、昨年の鈴鹿8耐では1000ccのルーキーレースながらクラス優勝。自力で世界選手権レースである「FIMスーパースポーツ300世界選手権」に挑戦してきたキャリアも高く評価され、岡谷に対するカワサキの評価は高いと言えるでしょう。

今季は600ccのカワサキZX−6Rで、「ProDina Kawasaki Racing」からWSSPに挑戦中の岡谷。プライベートチーム体制での参戦であり、上位を走ることは叶っていませんが、少しずつWSSPのレースにも慣れ、前進してきています。

ミサノは昨年の「FIMスーパースポーツ300世界選手権」で2位表彰台を獲得している地であり、自信を持って挑めるコースということで、更なるリザルト向上に期待がかかります。小柄な体形で軽量級クラスを得意としてきた岡谷ですが、コーナリングスピードが重要なクラスに移って、その戦い方に慣れていくことで結果も上向きになっていくのではないかと予想しています。これから始まる鈴鹿8耐のテスト走行を通じて1000ccマシンに乗ることも、去年までの軽量級クラス以上にメリットが出てくると思います。

まだまだ苦戦が続く、日本の若武者2人ですが、シーズン後半には中継映像にも映る位置を走れるように踏ん張って欲しいですね。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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