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NAPAC富士SUPER TEC24時間レース
今年の24時間レース in JAPAN。
Super耐久シリーズのNAPAC富士SUPER TEC24時間レースは、盛り上がりましたね。オーバーオールウィーナーの接戦では、残り20分でトップの順位が変わるというドラマチックの展開は、演出されていたのではないかと思わせるようなシーンでした。
Super耐久のレースは、毎年この24時間レースにお邪魔しています。そして、年々S耐独自のカラーが醸し出されていますね。昨年にも書きましたけれど、富士スピードウェイでは1967年に最初の24時間レースが行われ、そして2018年に50年ぶりに再び復活、今回は6年連続の開催となったわけです。スプリントやミドルディスタンスのレースよりも、サーキットに集うモータースポーツファンの皆さんの存在がイベントの柱のひとつ。年々その濃さが増している。つまり、ファンの皆さん、観客の皆さんが居てこそ、24時間レースが纏まる。完結する。
近年、富士スピードウェイ(FSW)に来場する皆さんの観戦のテクニックが数段アップしている。コースサイドにびっしりとセットされたテント群。アウトドアー志向の方が多くなったことも大きく影響しているのだろうけれど、テントサイトの設えも、コンフォートに観戦できるアイテムが揃えられている。
ST Qクラスに参戦する32号車カローラは、カーボンニュートラル時代に燃料の選択肢を多くするチャレンジをしている。昨年は気体水素、そして今年は、液体水素を燃料としている。理科系でないので弱いのですが、取材によると気体水素を冷やすと液体になる。その温度、なんとマイナス253度。そして体積が800分の1になるというではありませんか。ピットインして給液体水素するときにはピット裏にある超低温タンクから長いパイプが伸びてきて、そのパイプの周りからは、ドライアイスが気体に変化する時のような白い煙が地をはっていた。
液体水素といえば、スペースロケットの燃料。ロケットの発射は、何日も前から秒読みを開始して、いざっ!発射という段になっても発火せずに失敗ということもある。しかし、32号車は、ボタンひとつでブンっとエンジンがかかった。いとも簡単に見えたエンジンスタートだったのだけれど、その背後には、ものすごいテクノロジーが積み重ねられていたのでしょう。マイナス253度の液体を汲み上げるポンプは、24時間中に2回交換。それに7時間を費やしたけれど、トラブる無く完走を果たした。ドライバーのMORIZO選手が発する言葉、【意志ある情熱と行動】がまたひとつ結果を残した。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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