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【FIA フォーミュラE世界選手権 2023 第1戦 メキシコシティ:プレビュー】ニューマシン、Gen3導入の新時代だ!
モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシGen3時代に突入するフォーミュラE
電気自動車のフォーミュラカーレース「フォーミュラE」のシーズン9(2023年)が1月14日(土)にメキシコシティで開幕します。「J SPORTS」では今年もフォーミュラE世界選手権を全戦放送。新型シャシー、新ルールになったフォーミュラEを今シーズンもお楽しみください!
激戦が続いた二代目マシン、Gen2の時代が終わり、今季からいよいよニューマシン「Gen3」が登場し、開幕戦のメキシコシティでいよいよレースが行われることになります。
「Gen3」は引き続きスパークレーシングテクノロジー社が開発したマシンで、かなり大柄に見えたGen2シャシーに比べるとかなりコンパクトに見えます。実際に全長も全幅もホイールベースも寸法は短くなり、小型化されています。特に短縮が著しいのがホイールベースでGen2に比べて約13cmも短くなっています。F1と比べると約60cm以上も短いため、近年のワイド化するフォーミュラカーという括りの中では特異なルックスに映ります。
しかしながら、最高速は300km/h以上を想定したマシンであり、パワートレインの出力もGen2の250kwから350kwに大幅パワーアップされているのです。馬力に換算すると140馬力近いパワーアップですから、もはやGen2や初代の時代に比べるとフォーミュラEは全く別のレースになったと言えるでしょう。エネルギー回生も最大250kwから600kwに上昇したということで、ポテンシャルの高さは強烈です。
レースのルールも様々な変更点があります。大きな変化としては時間制レースから周回数のレースに変わったことがあげられます。よりシビアなエネルギーマネージメントと戦略が求められるシチュエーションがシーズン中にきっとあるはずです。
そして、急速充電によるピットストップが義務付けられることになりました。これは内燃機関のレースとは違い、足りない電力を足すというよりはアタックモードをレース後半で使用するための充電を行うピットストップになります。また、タイヤは今季から韓国のハンコックが供給することになりました。
近年、多くのメーカーが参入したものの、あっという間に身を引く決断をすることになるというバッドニュースが相次いだ「フォーミュラE」ですが、よりスピード域の高いマシンになったことにより、そこが魅力アップに繋がるかどうかは今後を左右する要素になってくるはずです。
ただ、ドライバーの視点からすると、過去のフォーミュラEはメーカーのために敢えて遅いフォーミュラカーに乗っているという感じでしたが、スピード上昇によって、乗りたいと思うドライバーは今後増えてくるでしょう。ニック・デ・ブリース(シーズン7王者)がF1のシートを掴んだように、フォーミュラEからF1やその他のカテゴリーへステップアップを狙うために実力を示す場としても悪くはない選択肢になりそうです。
新世代マシンの導入、レースフォーマットの変更で、今までの勢力図は完全にシャッフルされ、どこが主導権を握るが全く分からない今シーズン。チームのラインナップ、ドライバーのラインナップにも大きな変化があります。
チャンピオンチーム「メルセデス」の撤退により、そのリソースを引き継いだ「マクラーレン」が参戦します。ドライバーはアウディから移籍のレネ・ラスト(ドイツ)に加え、昨年までF2を戦った新人のジェイク・ヒューズ(イギリス)のラインナップです。パワートレインは日産を使用するところも興味深いです。
「日産」のワークスチームはヴェンチュリから移籍のノルマン・ナト(フランス)に加え、日本でもSUPER GT /スーパーフォーミュラで大活躍したサッシャ・フェネストラズ(フランス)が加入。Gen2では成績が安定しなかった日産が新時代に巻き返しを図れるか注目です。
そして昨年のチャンピオンドライバー、ストフェル・ヴァンドーン(ベルギー)はメルセデスの撤退によりチームを移籍。DSオートモービルのパワートレインを使うワークスチームになった「DSペンスキー」に移りました。チームメイトはDSと共にチャンピオンを獲得したジャン・エリック・ヴェルニュ(フランス)。王者を経験したドライバーのコンビとなります。
また、新しいメーカーとしては「マセラティ」が参戦。マセラティとしては約60年以上ぶりの世界選手権レースへの復帰ということになります。自社製パワートレインを使用しての参戦ということで実力は未知数ですが、昨年チームランキング2位のヴェンチュリのリソースを受け継ぐということで、チーム力は盤石と言えます。ドライバーはエドアルド・モルタラ(スイス)とマキシミリアン・ギュンター(ドイツ)の2人。実績充分なラインナップにも期待です。
「ポルシェ」はアンドレ・ロッテラー(ドイツ)が今季からポルシェパワーユニットを使用する「アンドレッティ」に移籍し、代わってアントニオ・フェリックス・ダコスタ(ポルトガル)が今季活動を中止した「テチータ」から移籍してきました。パスカル・ウェーレイン(ドイツ)と強力な布陣で王座を狙います。
一方で変わらないのは「ジャガー」。ミッチ・エバンス(ニュージーランド)とサム・バード(イギリス)の経験豊富なコンビを維持します。
他にも注目選手、注目チームはたくさん居ますが、開幕のレースが始まってみないことには今季の勢力図は誰も読めない状況です。シリーズの軸となるドライバーが一体誰になるのか、特定チームの独走となるのか、予想がつかないからこそ面白い開幕戦。あなたが今季応援したいチーム、メーカー、ドライバーを決めるという意味でも是非楽しみたい新時代の開幕戦がいよいよ始まります。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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