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モーター スポーツ コラム 2022年12月27日

年末にふと考えた、モータースポーツと能の関係性

今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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野尻智紀

毎年知人の邦楽の会に招かれて、上方舞、笛、三味線、そしてお囃子を楽しませていただいています。柄にもないとお感じになっている方も多いことでしょう。でもですね、一度体験するとこれも良いものですよ。やはり、日本人の血がそう思わせるのでしょうかね。機会があったら一度どうぞ。

と、先日のこと。新聞の芸能ページで能の記事を目にしたのです。
そう、これも日本の古典芸能。何と舞台芸術としては世界最古だそうで、650年以上の歴史があるとは・・・凄い!。日本の重要無形文化財でユネスコからも認定されているとのこと。舞台芸術としてはオペラや歌舞伎と比較されるのだけれど、能は別格であって、その一番の違いは【優美】【幽玄】さなのではないかと思います。主演者であるシテが面(おもて)をつけて舞う。しかし、それは他の舞台とは異なってテンポがゆったり、舞台にはこれといった装飾も施されていない。そして、能は囃子に合わせて踊るのではなくて、舞うと表現するのが正しいのだそうです。リズムに乗って跳ね回ったりするのが踊り。能の舞は、摺り足で舞台を移動する。足で拍子をとったり、跳ねることもあるけれど、摺り足移動が基本。

なるほどと思っていたら、ふっと。思いが湧いた。
面は、ヘルメット?
特殊な舞は、サーキットにおけるグリップ走行?

豪快な踊りも良いけれど、しっかりと足を舞台=路面に接して決められた範囲で動くことが最良であって、至上の結果をもたらす。
面には、それぞれ表情があるけれど、それが舞の途中で変化することはない。ないのに舞の流れによって表情が変わっているようにも感じる。コクピットに収まってヘルメットの中にあるドライバーの表情を察することは難しい。しかし、シテの伝統の舞の中で主役を演じ、表現。流派によってそれぞれの違いがあるように、ドライバーにとってコーナリングが違い、躍動の違いが表現される。面をかけると視野は極限られ、舞台上の位置を定めるのも難しい。フルフェイスヘルメットでも同じ状況か。慣れた能楽堂以外で演じた場合に稀に舞台から転落することもあるという。コンディションの違いでコースオフ、クラッシュなんてことも。
シテの姿勢と摺り足はとても体力的にハードらしい。シートに収まったドライバーは、楽にマシンを操っているように思われがちだけれど、そのハードさは、ドライビングをしてみないとわからないだろう。これも能とレースの共通点かなと思いを巡らせた年末の初老のおっさん一人。

それでは、良い年をお迎えください。

文:高橋 二朗

高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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