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モーター スポーツ コラム 2022年5月2日

SUPER GT第2戦プレビュー 初めての450kmレースは、誰にも勝利の行方が見えず

モータースポーツコラム by 皆越 和也
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岡山国際サーキットで開幕したSUPER GT第1戦

岡山国際サーキットで行われたSUPER GTの第1戦は、GT500クラスでENEOS X PRIME GR Supraの大嶋和也/山下健太組がポール・トゥ・ウィンを達成。そしてGT300クラスでは、リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rの藤波清斗/J.P.デ・オリベイラ組が予選5番手から優勝と、それぞれ2年連続で開幕戦制覇となった。

ともに公式テストではそう目立った結果を残していなかっただけに、やはりテストはテストなのだと改めて思い知らされた次第でもある。ならば、富士スピードウェイで開催される第2戦も、公式テストの結果より、これまでの実績を重視するべきかというと、必ずしもそうとは言い切れない側面がある。というのも、第2戦は初めて450kmレースとして開催されるからだ。

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GWの富士SUPER GTは、例年より50km短いだけ。だけど……

昨シーズンの第2戦は17号車Astemo NSX-GTが逆転優勝した 

もっとも……。普段のレースに比べれば150km長いと言える一方で、例年この時期の富士のレースは500kmで競われており、わずか50km短いだけ、と言うこともできる。500kmレースのノウハウを流用できるだろうが、まったく同じように戦っていけば、その余裕が遅れにもなりかねない。今のSUPER GTは、それほどまでに実力伯仲でシビアだ。むしろ攻めていくことによって、得られるマージンは絶大なのではないか。

第3ドライバーの追加が認められ、また給油を伴うピットストップの義務づけは2回。タイヤ無交換は禁止とされていないから、その2回のうち1回は無交換でもいいことになる。また、燃費との兼ね合いもあろうが、スティント1回を超ショートにする、たとえばセーフティカー(SC)やFCY(フルコースイエロー)が出そうなタイミングに合わせて、などといった戦術の幅も広がりそうだ。

あとは混戦になって集団から抜け出せない時、普段だったらスタートから1/3以上の周回を超えないとドライバー交代ができないが、それより早く入る、いわゆるアンダーカットも可能になってくる。単独でマイペースでの周回を重ねていった結果、気がつけばポジションが上がっていたというのは、長距離のレースであるほど起こり得た例だ。今回は単純な速さだけでない、レース運びのうまさも勝負の鍵を握りそうである。

GT500は混戦必至。予想を遥かに超えた展開になるかも

Z GT500は評判が高いストレートスピードを富士で活かすことができるのか!?

まず昨年の第2戦の決勝結果を振り返ってみよう。優勝はAstemo NSX GTの塚越広大/ベルトラン・バゲット組で、2位はENEOS X PRIME GR Supraの大嶋和也/山下健太組。そして、3位がKeePer TOM’S スープラの平川亮/阪口晴南組だった。ちなみに、この時、日産勢の最上位はCRAFTSPORTS MOTUL GT-Rの平手晃平/千代勝正組で、5位につけるのがやっとで、こと富士では勝負権なしといった状況ではあった。

しかし、3月下旬に富士スピードウェイで行われた公式テストにおいて、GT-RからZにスイッチした日産勢も、トヨタ、ホンダ勢に対して互角の戦いが可能という印象を受けた。以前にも伝えたとおり、空力面の改善が著しいZは、富士の長いストレートを苦にしないことが明らかになったからだ。

公式テストで最速タイムを記したのは、au TOM’S スープラの坪井翔/ジュリアーノ・アレジ組で、坪井が1分27秒492をマーク。ただ、これは2日間の4セッションの最初に記録されており、この後のセッションが雨に見舞われなければ、もっとタイムが伸びた可能性もある。ちなみに、昨年のポールタイムはWedsSport ADVAN GR Supraの宮田莉朋が記録した、1分26秒496だった。

また、このセッションにおいて、2番手がMOTUL AUTECH Zの松田次生/ロニー・クインタレッリ組だったことは、前述したことの根拠でもある。3番手はWedsSport ADVAN GR Supraの国本雄資/阪口組。このチームは富士の予選、すなわち一発の速さには定評があるが、決勝ともなると「?」。一重にヨコハマが、決勝にどれだけマッチするタイヤを用意できるかにかかっている。もし、しっかりハマってくれれば、ダークホースどころか、それ以上の存在になりそうだ。

ともあれ、予選はトヨタ勢が有利だと予想されるが、決勝レースではどこか一方的な展開にならないのでは? むしろ、先に述べたレース運びのうまさ、戦術の妙の方がレース展開に効いてきそうだ。ただ、それはあくまでドライコンディションが保たれた場合。

もし、雨にでも見舞われようものなら、公式テストではCRAFTSPORTS MOTUL Zの千代勝正/高星明誠組が絶好調!ミシュランのウェットタイヤが最高に機能して、ウェットコンディションだった2セッションは、いずれもトップタイムを記録しているからだ。せっかくのGWだけに、多くの集客が見込まれるレースながら、雨降れ……なんて期待も、彼らには許されるはずだ。どうあれ、今回のGT500クラスは混戦になる、そうとだけ予想させていただきたい。

思った以上に深刻なGT300勢。FIA-GT3勢の優位は続くか?

第2戦で活躍が期待される88号車Weibo PrimezランボルギーニGT3

前回の岡山で、GT300クラスのポールポジションを奪ったのは、SUBARU BRZ R&D SPORTの井口卓人/山内英輝組だった。GT300車両は総じてBoPによってリストリクターが絞られたり、最低重量が引き上げられたりして苦戦を余儀なくされるとの予想とは裏腹な結果になっていた。嬉しい誤算というところではあったが、いざ決勝を迎えてみると……。必死に逃げた井口だったが、序盤のうちにトップを奪われ、またピットでエンジン再始動に手間取ったこともあって、その後は挽回の機会さえ与えられなかった。

それでも終盤に相次いだアクシデントに乗じて、9位でゴールして貴重なポイントを稼いだのは、さすがディフェンディングチャンピオンとしか言いようがない。そして、これがGT300車両として最上位でもあった。他のGT300車両は入賞すら許されなかったのだ。

デビューしたばかりのGR86勢はおろか、実績あるGRスープラ勢とて、FIA-GT3勢に手も足も出せずという状況となっていた。予兆は公式テストからあった。いかなるコンディションにおいても、FIA-GT3勢がトップであり続けたからだ。

GT300車両の持ち味が最大限に活きるのはコーナリングであるのだが、重量増で封じ込められて、リストリクターで絞られている分、ウィングを寝かせるとコーナーが安定しないという悪循環が生じている。昨年はSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTの吉本大樹/河野駿佑組が2勝を挙げて、非常に相性のいいはずの富士ながら、年またぎの3連勝とはまずいくまい……。

前回のウィナーは冒頭でも触れたとおり、リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R。GT-Rと富士の相性も悪くないが、さすがにサクセスウエイトを60kgも積んでいては、連勝は不可能にも等しい。ここは手堅く高得点を稼ぎに来るはずだ。公式テストでも好調だった、UPGARAGE NSX GT3の小林崇志/太田格之進組も前回の2位で、サクセスウエイトは45kgとあって、同様の展開となるだろう。

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その一方で、公式テストも好調だった、Weibo PrimezランボルギーニGT3の木暮卓史/元嶋佑弥組は、今回の大本命として挙げたい。前回の公式練習では4番手と好発進を遂げたにもかかわらず、予選で謎の失速が。しかも、決勝ではじわりじわりと順位を上げていたにもかかわらず、終盤のスピンで入賞すら果たせず。逆に言えば、サクセスウエイトに苦しまずに済む今回は、絶好の好機到来ということにもなる!GT300クラスにおいては、これを強調したい。

文:皆越 和也

皆越 和也

皆越 和也

1961年熊本県出身。1980年代後半に富士スピードウェイで観戦した「WEC in JAPAN」で四輪モータースポーツに目覚め、モータースポーツ専門誌編集部等を経てフリーランスのフォトライターに。SUPER GTは全日本GT選手権がスタートした1993年より、ほとんどのレースを現場で取材している。

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