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モーター スポーツ コラム 2021年5月14日

2021スーパーフォーミュラ第3戦プレビュー|野尻智紀の3連勝を阻止するのは誰だ?

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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野尻智紀は開幕から連勝。3連勝し、シーズンの覇権を握ることが出来るのか!?

例年以上に白熱したバトルが展開されている2021年の全日本スーパーフォーミュラ選手権。今週末は大分県のオートポリスで、シリーズ第3戦が開催される。

昨今のスーパーフォーミュラは、各チーム・ドライバーのレベルがかなり拮抗しており、レースごとで勝者が変わって当たり前という状況だった。しかし、2021シーズンは野尻智紀(TEAM MUGEN)が開幕2連勝を飾り、ポイントランキングでも2番手以下に22ポイントの差をつけて独走状態となっている。

今回の第3戦オートポリスを制することになれば、2008年に松田次生が成し遂げた開幕3連勝の記録に並ぶことになる。さらに舞台となるオートポリスは、昨シーズンに野尻がポール・トゥ・ウィンを飾ったほか、過去にもポールポジションを獲得するなど相性の良いサーキットである。

そして、ここ最近のTEAM MUGENの好調ぶりを考えれば“3連勝”を期待せずにはいられないのだが、第2戦終了後、記者会見で野尻は現在の状況について、このように語った。

「良くも悪くも2戦で稼いだポイントですから、2戦とは言わず1戦で(リードを)失う可能性も十分にあります。特別、気にしていないというか、逆に危機感を感じていて……差が広がって良かったなとは思っていないです」

実際に、ここまでの富士、鈴鹿でのレースを振り返ると、トップに立って以降はライバルを寄せ付けない力強い走りを見せており、「今年の野尻は手強そうだ」と思わせるようなレース内容だった。だが、本人はアドバンテージがあるとは考えておらず、コメントの通り危機感を感じている表情をしていたのが、印象的だった。

もちろん、ライバルたちも野尻の独走を許すまいとオートポリス大会での勝利を狙っている。

注目ドライバーはたくさんいるのだが、なかでも目が離せないのが、今大会から復帰を果たす牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だ。

4大会ぶりの復帰となる牧野任祐。SUPER GT第2戦ではブランクを感じさせない走りを見せてくれた。

昨年12月に行われた第6戦鈴鹿を終えた後に髄膜炎を発症し、治療のために欠場が続いていたが、ようやくレースに復帰できることとなった。今大会に先立ち、5月3日~4日に行われたSUPER GT第2戦では、ブランクを感じさせない走りを披露し、1号車STANLEY NSX-GTの4位入賞に貢献。当初はちゃんと走れるか不安もあったという牧野だが「自分が想像していた以上にやれたと思います」と、自信を取り戻している様子だった。

そうなると、スーパーフォーミュラの復帰戦にも注目が集まるのだが、彼は今年チームを移籍しDOCOMO TEAM DANDELION RACINGからの参戦となる。このチームで事前にテストをする機会もなく、新体制でのぶっつけ本番となるだけに、未知数なところはあるようだが、オートポリスは過去2年ともトップ5圏内でフィニッシュし、昨年は表彰台も獲得し、相性は良い。いきなり上位を脅かす走りを見せてくれることだろう。

そのチームメイトとなる福住仁嶺も要注目だ。前回の鈴鹿ではポールポジションからレースをリードしながらも、タイヤトラブルの不運に見舞われてリタイア。さらにSUPER GT第2戦でも、速さを見せながら、ゴール直前で黄旗追い越しに伴うドライブスルーペナルティを受けるという悔しいレースを経験してしまった。

スーパーフォーミュラとSUPER GTの悔しさを当レースにぶつけて欲しい福住仁嶺。

2週続けて勝てそうだったレースを落とすことになり、本人も相当落ち込んでいたが、“速さ”という部分では誰もが認めるほどのパフォーマンスを披露していたのは確か。全ての歯車が噛み合えば、念願の初優勝がここオートポリスで見られるかもしれない。

さらに開幕戦で2位に入った大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)や、今季2戦目となる松下信治(B-Max RACING TEAM)の走りも気になるところだ。

またトヨタ/TRDエンジン勢では、前回の鈴鹿で今季初表彰台を獲得した平川亮(carenex TEAM IMPUL)をはじめ、2戦連続でコンスタントにポイントを獲得している宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)、ここオートポリスで優勝経験のある関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)など、候補を挙げれば切りがない。

その中でも注目なのが、今回も中嶋一貴の代役としてKuo VANTELIN TEAM TOM’Sの36号車をドライブするジュリアーノ・アレジだ。第2戦鈴鹿ではスーパーフォーミュラ・ライツとダブルエントリーで、スーパーフォーミュラの決勝終了後には、すぐに控えていたSFライツの決勝に間にあわせるため、パルクフェルメからピットへダッシュ。すぐに着替えてマシンに飛び乗るなど、多忙な週末を過ごしていたが、スーパーフォーミュラでは予選Q3に進出し、決勝でも随所でアグレッシブな走りを披露して、見事ポイントを獲得した。

日本でのレースが1年目とは思えないような適応力をみせたアレジ。オートポリスは今週末が初走行となるコースだが、事前にシミュレーターで練習し、コースレイアウトは頭の中に叩き込まれている。

第2戦鈴鹿でポイントを獲得するなど前評判以上の走りをみせているジュリアーノ・アレジ。

今回も、上位に食い込む走りを見せられるか……目が離せない存在となるだろう。

他にも、ここでは紹介しきれないほど、強力なライバルが揃っている2021年のスーパーフォーミュラ。その“強者たち”に競り勝つためにも、ポイントリーダーの野尻は自分たちがもっと頑張る必要があると考えている。

「このスーパーフォーミュラは誰が勝ってもおかしくないし、各チームがすごく技術力を持っている選手権です。ここまで不調だったとしても次のレースからシリーズの流れを変えてくるようなところ(チームやドライバー)があってもおかしくないです」

「それを含めて自分たちももっともっとやっていかなきゃいけない。常に危機感をチームに与えながら、一丸となってプッシュし続けられたらいいかなと思います」

貪欲な姿勢で、さらなるパフォーマンスアップを図ろうとしている野尻が3連勝を決めるのか、それともライバルの誰かが“待った!”をかける1勝目を手にするのか……今回も“超ハイレベル”で、観る側からすると“非常に楽しみな”1戦になることは、間違いない。

文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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