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WRC唯一の純雪上ラリーですが、世界的暖冬の影響はここにも及んでいます。68回目を迎える伝統的なイベントですが、過去には暖冬で凍土が溶け出して人間の歩行も困難な年もありましたが何とか続いています。本年もかなりの暖冬のようで数週間前からFIA委員の査察が入り、委員のレポートをベースにFIA、主催者、プロモーター、メーカーチームが協議の上開催が決定されました。主催者はホッとしていることでしょう。原因が何であれイベント中止は不名誉なことであり、ラリー業界の地位を下げることになりますから。
通常は圧雪の道路と除雪の雪壁に守られてラリーフィンランドに次ぐ110km/h以上のSS走行の高速ラリーですが今年はどうなるでしょうか。通常のスパイクタイヤのピンが露出した路面では脱落することがあり,ドライバーを悩ませたり、脱落したスパイクによる観客の怪我が心配です。
高速ラリーとなるラリー・スウェーデンの敵は路面でだけでない。コースサイドの両脇に迫る雪壁もマシンに牙をむいている。
シーズン2戦目ですから出場するドライバーも手探り状態ですが、今年はシトロエンの撤退、大物ドライバーの移籍など変化の中身が大きすぎます。メーカーがひとつ撤退すると一流ドライバーが少なくとも2-3名宙に浮いてしまいます。彼らが元のチームに残って得意なイベントを引き受けるか、ほかのチームに移るか、自分でやるかなど色々なケースがあります。メーカーチームとすれば、すぐに結果が出なくても将来のために若手を試したいこともあるでしょう。スウェーデンまでは特殊ラリーですからそれほど大きな動きはありませんが、ヒュンダイは過去優勝経験のあるローブを引っ込めて来ました。ローブは全盛期の鋭さがなくなってきましたね。
結局チーム戦でトヨタ対ヒュンダイ、ドライバー戦でタナック・ヌーヴィル対オジェ・エヴァンスに勝負の目が集中してくるのでしょう。
開幕戦を制したのはヌーヴィル(ヒュンダイ)。ヒュンダイvsトヨタの構図は今後も続くのか!?
今回スウェーデンのエントリーはヒュンダイがヌーヴィル・タナク・ブリーン。トヨタはオジェ・エヴァンスに加えてロバンペラと勝田、加えてプライベートエントリーのラトバラ(コ・ドラに現役ドライバーのハンニネン)なんと5台のエントリーです。
ラリー概要はいまのところ次のとおり発表されています。
SS本数 | SS km | Liaison km | Total km | |
---|---|---|---|---|
L-1 (2/13-14) | 8 | 132.59 km | 495.11 km | 627.70 km |
L-2 (2/15) | 8 | 116.94 km | 381.44 km | 498.38 km |
L-3 (2/16) | 3 | 51.31 km | 150.75 km | 202.06 km |
Total | 19 | 300,84 km | 1027.30 km | 1328.14 km |
2/7(金)時点 ※現地天候の影響を受け変更となる可能性あり。
新型肺炎のパンデミックやメーカー本社の政治的判断などで開催の可否、参加取りやめなどの非常処置を個人的には心配しています。このようなことに言及すべきでないと思いますが我々も社会の一員ですから情勢の影響を受けざるを得ません。無事開催を願っています。
文:福井敏雄
福井 敏雄
1960年代から欧州トヨタの輸出部員としてブリュッセルに駐在。1968年、トヨタ初参戦となったモンテカルロからラリー活動をサポート。トヨタ・モータースポーツ部のラリー担当部長、TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)副社長を歴任し、1995年までのトヨタのWRC圧勝劇を実現させた。
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