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モーター スポーツ コラム 2019年10月31日

Three tears in final

今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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人はどうして涙を流すのでしょうか。

「僕は、あまり泣いたことがない。でも、ゴールライン上でチェッカードフラッグを受けた後に1周している時に涙が止まらなかった。無線でチームクルーと何を話したかも覚えていない。一体、最後に涙を流したのはいつ以来だろうかと考えるほど、久し振りに泣いた。言葉で表現できないほどに嬉しい。シーズンを通して厳しい戦いが続いた。今日のレースは自分にとってこれまでで最高のレースだった。そして素晴らしいドライバー達と戦えて、チャンピオンになれたことが最高だ。特にヤマモトさんと最後までチャンピオンを争ったことは最高だった。そして彼は、マシンを降りてすぐに僕のところに来て祝福してくれた。素晴らしいドライバーだ」 ニック・キャシディ

グランドスタンド下で表彰式の準備が進んでいた。そして、その後ろのコース上でチームタイトルを獲得したDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの村岡潔チーム代表と山本尚貴選手が抱き合い、山本選手が号泣していた。チャンピオンを獲得できなかった悔しさか。いや、マシンを降りてエンジニアにそしてその後チーム代表に「速いクルマを用意できなくて御免」と声をかけられた。
「自分はやれることはやった。でも今回はニック(キャシディ)に迫る速さがなかった。単純にスピードが足りなかった。レース後にチームの人たちに<ゴメンね>って謝らせてしまったことが申し訳なくて、申し訳なくて。自分を勝たせてあげたいと思うチームの中でレースができたことを感謝しています」 山本尚貴

2度目のチームタイトルを獲得したDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの村岡潔チーム代表は、記者会見に臨んで、若手、後進に道を譲ることをコメント。節目のシーズンにチームタイトルを獲得して進退について言及して思わず言葉を詰まらせて、目に涙が光っていた。「会社を立ち上げて30年。そして国内トップフォーミュラに参戦して20年が経ちました。1ポイントを獲得するまでに何年も費やしていたチームがこうしてチームタイトルを争えるまでになりました。しかし、今シーズンはドライバーズタイトルに手がかかっていたにもかかわらず、クルマが速くなかったので山本君がタイトルを取れなかったのはチームの責任です。申し訳なかったです。ウチは、チーム体勢が変わりました。社長を退き、監督も変わりました。こうして私が表舞台に立つのはこれで終わりかなと思います。新たなジェネレーションによってチームは変わって行くと思います、今後も引き続き応援していただきたいですね」 村岡 潔

人が涙を流すとき、人それぞれに思いがあるのですね。
さて、今週末は、スーパーGTの最終戦です。

文:高橋 二朗

高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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