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「スーパースポーツ世界選手権」最終戦がカタールのロサイル・インターナショナルサーキットで開催されます。いよいよチャンピオン争いが決着する最終戦の模様は10月26日(土)に生放送で楽しめます。
さて、前戦・アルゼンチンではランキング3位のジュール・クルーゼル(ヤマハ)が今季3勝目をマークし、なんと最終戦までチャンピオン獲得の可能性を残す奇跡を起こしました。ポイントリーダーのランディ・クルメナッハー(ヤマハ)=202点、ランキング2位のフェデリコ・カリカスロ(ヤマハ)=194点、そしてジュール・クルーゼル(ヤマハ)=180点と三つ巴のチャンピオン争いということになります。
2戦前のフランスではクルメナッハーとカリカスロの2人がまさかのリタイア。これでクルーゼルにチャンスが広がったとも言えますが、クルーゼルは首位のクルメナッハーから22点差。1戦あたりの最大獲得ポイントは25点ですから、クルーゼルは僅かに可能性を残しているにすぎません。やはりタイトルを争うのは前戦・アルゼンチンの結果を経て8点差まで詰まったクルメナッハーとカリカスロのチームメイト対決ということになるでしょう。
今季、11戦中2人で7勝をマークしてきた「Evan Bros. World SSP Team」の2人は初のワールドタイトル獲得という強烈なプレッシャーの中、カタールの戦いに挑むことになります。ランディ・クルメナッハー(ヤマハ)のカタールでの最高位は5位。着実にマシンをフィニッシュに導くクルメナッハーの走りは追うフェデリコ・カリカスロ(ヤマハ)にとって脅威でしょう。なんせ昨年は一度もリタイアなしだった安定ぶりなのですから。
一方でフェデリコ・カリカスロ(ヤマハ)は今季はリタイアが1回だけですが、これまでも速さはあってもノーポイントレースを作ってしまうことが多いライダーでした。しかし、昨年のカタールでは3位表彰台フィニッシュ。速さを武器にチームメイトに強烈なプレッシャーを与えていきます。
今季の流れの通り、この2人によるトップ争いとなれば、8点差ですからクルメナッハー有利となるわけですが、そうも行かないのが最終戦のマジックです。プレッシャーから生まれるミスに加えて、クルーゼルにも可能性があるという事実。さらにヤマハの独壇場であった「スーパースポーツ世界選手権」に一矢報いる勝利を飾ったルーカス・マヒアス(カワサキ)はアルゼンチンでも2位表彰台を獲得。さらにようやくプロダクションバイクのレースに慣れてきた印象のイザック・ビニャーレスも2戦連続の表彰台獲得と、ここに来て流れが変わりつつあります。
こういった終盤に来て勢いづいてきたライダー達が最終戦カタールでも上位に食い込むとなれば、2人のチャンピオン争いの行方にも大きく影響することは間違いありません。チャンピオンになるための試練が「Evan Bros. World SSP Team」の2人には待っているのです。
そして、日本人ライダーとして今季唯一フル参戦していた大久保光(カワサキ)にとってもチームメイトのマヒアスが連続表彰台を獲得しただけに、何としても結果を残さなくてはいけない最終戦です。大久保は現在もランキング5位を維持していますが、6位のラファエル・デローサ(MVアグスタ)には5点差に迫られてしまいました。ランキング4位のチームメイトには46点の差をつけられていますから、5位を維持することが大久保の最終戦のテーマとなります。
「スーパースポーツ世界選手権」で序盤からシングルフィニッシュを続け、表彰台まであと一歩のところまでは来た大久保。カタールでは2年連続でリタイアしているだけに今季はやはり気持ちよく締めくくりたいところでしょう。これまで日本人ライダーが記録した「スーパースポーツ世界選手権」の最高ランキングは2003年に藤原克昭が記録した5位ですから、そのタイとなる結果を目指します。
白熱するチャンピン争い、ライダー達の来季へのプロモーションにつなげる戦い、日本人ライダーの奮闘などなど見どころ満載の最終戦はどんなドラマが待っているのでしょうか?
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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