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9月28・29日に岡山国際サーキットで開催された2019全日本スーパーフォーミュラ選手権の第6戦で、また新たな“ヒーロー”が誕生した。シリーズ参戦3年目を迎えた山下健太(KONDO RACING)だ。
2016年に全日本F3選手権のシリーズチャンピオンを獲得すると、翌年にはスーパーフォーミュラへステップアップ。持ち前の速さはシーズン序盤から存分に発揮され、第4戦もてぎで早くも初ポールポジションを獲得した。初優勝も時間の問題かと周りの注目度も一気に上がったが、そこから思うように結果を残せず苦戦。特に2018年は僚友だったニック・キャシディが快進撃をみせ、その影に隠れてしまうシーズンを過ごした。
迎えた2019シーズン。KONDO RACINGのエースナンバーである「3」を引き継いだ山下は、シーズン開幕前のテストでは軒並みトップタイムを記録するなど速さをみせており、本人も「今年は何としても結果を出さなければいけない」と気合が入っていた。
しかし、いざ開幕してみると思わぬ苦戦を強いられた。第1戦鈴鹿では3位表彰台を獲得したが、第2戦以降は予選Q1脱落が目立った。ソフトタイヤではトップ争いができるほどのパフォーマンスを持っていたが、予選Q1で使用しなければいけないミディアムタイヤで苦戦していたのだ。決勝ではレースペースの良さを活かして挽回はしてくるものの、予選で後方グリッドに下がってしまう分、優勝争いに手が届かないレースが続いていた。
「今年のSFは本当にうまく行かないですね……」と、さすがに第5戦もてぎを終えた頃には山下も意気消沈。だが、チームはこの苦しい現状を脱却するべく“ミディアムでのパフォーマンス改善”をテーマに第6戦岡山に臨んだ。
「毎回レースが終わった後にエンジニアたちとデータを分析して“何が悪かったのか?”と振り返りをします。その中で、我々もそうですし他のチームもミディアムでQ1を突破するというのがテーマになっていて、今回の我々はそこに照準をおいてきました。ミディアムでのQ1を改善すれば、ソフトでの速さはあるの分かっていましたし、ここは特にQ1を突破しないとどうにもならないと思っていたので、金曜日のフリー走行でも、ずっとミディアムタイヤで走っていました」
そう語るのはKONDO RACINGの近藤真彦監督。レースで勝つための第1ステップとして“ミディアムでのQ1を突破するためのクルマ作り”を金曜日からの走行をスタートさせた。山下のチームメイトである国本雄資も「金曜日もそうですし、土曜のフリー走行でもミディアムで淡々とテストを繰り返しました」と、目先のタイムではなくミディアムタイヤでのパフォーマンス改善を徹底していた。
その効果は、公式予選で見事に発揮された。Q1A組で山下が3番手通過を果たすとB組では国本も5番手でQ2進出を決めた。ふたりはそのままQ3に進出し、山下が2番手、国本が3番手を獲得。ミディアムを改善したことにより、一気に上位進出を果たしたのだ。
この“ミディアムの改善”は決勝でも効果が現れた。スタートでミディアムタイヤを選択した山下は、ソフトタイヤを履くライバルの先行を許すも、同じタイヤでスタートしたドライバーの中では最上位をキープした。ちょうど8周目にコースオフ車両の回収のためセーフティカーが出動しピットストップのウインドウが開く10周目にピットインし、いち早くタイヤ交換義務を消化。後半のソフトタイヤでのペースも安定しており、最終的にトップに返り咲いて念願の初優勝を飾った。
「(今週のミディアムの改善が)全てだったと思います。やっぱりQ1を突破できるかできないかというのは、どのチームも鬼門と感じている部分だと思いますが、そこを通れるようになっただけでかなり大きいです。決勝に関してもスタートでミディアムを履いたドライバーの中ではペースも良かったですし、予選だけではなくて決勝でも成果が出ました」(山下)
スーパーフォーミュラでの初のトップチェッカーにパルクフェルメでは満面の笑みで、近藤監督と喜びを分かち合っていた山下だが、その笑顔には“このクルマであれば、最終戦も力強く戦える!”という確固たる自信を手にできたという喜びも含まれていたように感じられた。
「今年は、ここに来るまですごく苦労してきて、ミディアムに関しては何をどうすれば良いか分からない状態でした。でも、チームが今回に向けてクルマをすごく良くしてくれて、これだけ飛躍できました。この流れで鈴鹿にいければ良い成績を狙えると思います。(最終戦に向けて)すごく期待が持てるレースウィークを過ごすことができたと思います」
これで合計21ポイントに伸ばした山下は、シリーズチャンピオン獲得の権利を持って最終戦鈴鹿に向かう。自力での逆転は不可能だが、ボーナスポイントがつく最終戦を考えるとチャンスは十分にあるポイント差と言える。
本人も一度は諦めかけていたというシリーズチャンピオン。「とにかく最後は勝って終わりたいですね!」と俄然やる気になっていたのが印象的だった。
文:吉田 知弘
吉田 知弘
幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ
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