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ベテランのラリーファンの方々はシーズン最終戦がGBで、過去に色々なドラマを生んでいた印象が強いと思いますが、時には最終戦の一戦前のこともありました。最終戦は年間チャンピオンがこの1戦で決まることもあり、主催者にとっては世界中の注目を集める意味で美味しいイベントなのです。シトロエン+ローブやVW+オジェの全盛期には最終戦は消化試合の印象でしたが、今年のようにドライバーポイントやメーカーポイントが接近している状況では最終戦の意味合いが違ってきます。それなのに昨年からはGBの後に更に2つのイベント、スペインと最終戦オーストラリアがあります。晩秋の英国は天候不順の可能性が高く、そこでの高速グラベルは大変特徴的です。そのGBが通常より1ヶ月前出しになったことにより年間タイトルを激しく争うタナック、オジェそれにヌーヴィルの結果に注目が集まります。
ラリーGBはロイアルオートモービルクラブ(RAC)の行事として1932年より開催されているモンテに次ぐ歴史のあるイベントです。1932年から1952年までは総合優勝でなく車両クラス別に表彰されていたようです。1950年代は英国車のジャガー、トライアンフ、サンビームなどが主役でした。1960年代はボルボ、サーブが北欧系ドライバーで大活躍。1970年代には英国フォードが北欧系ドライバーと組んで大活躍、1980年代はグループBでアウディ・クアトロそしてランチアの全盛期。1990年代はトヨタ、スバル、三菱の日本車が大躍進、その後シトロエンとVW連勝時代に入りました。現在はフォード、シトロエン、ヒュンダイ、トヨタの大混戦になっています。
公道でのスピード走行が禁止されている英国ではSSは森林保全や木材の搬出用の林道がSSの主体ですが切り出した木材が道路際に置いてあるなど危険が一杯です。
道幅はそれほど狭くなく、かなりの高速走行ですが天候によってはグリップが大幅に変化するなど、道路の形状がなで肩でコースオフのリスクがあります。私の現役時代、最終SSのゴール手前の数百メートルでのトラブルで優勝を逃したことがあるなど、森の中には魔物が住んでいると感じることがしばしばありました。
前戦のトルコではシトロエンが1-2フィニシュ。ヒュンダイとトヨタは失敗、オジェが頭脳的ドライブでポイントを獲得し累計2位に浮上、一方でメーカーポイントではヒュンダイ、トヨタ、シトロエンが残り3戦で逆転の可能性ある所まで近づきました。GB、スペイン、オーストラリアとそれぞれ全く路面の異なるイベントでますます面白い終盤を迎えます。
ラリー概要は下記のとおりです。
SS本数 | SS km | Liaison km | Total km | |
---|---|---|---|---|
L-1 (10/3-4) | 10 | 121.83 km | 678.12 km | 799.95 km |
L-2 (10/5) | 7 | 152.50 km | 432.26 km | 584.76 km |
L-3 (10/6)) | 5 | 38.42 km | 232.11 km | 270.53 km |
Total | 22 | 312.75 km | 1342.49 km | 1655.24 km |
リエゾンが非常に長いラリーです。
文:福井敏雄
福井 敏雄
1960年代から欧州トヨタの輸出部員としてブリュッセルに駐在。1968年、トヨタ初参戦となったモンテカルロからラリー活動をサポート。トヨタ・モータースポーツ部のラリー担当部長、TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)副社長を歴任し、1995年までのトヨタのWRC圧勝劇を実現させた。
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