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日本人ライダー、大久保光が躍進中の「スーパースポーツ世界選手権」の第8戦がイギリスのドニントンパーク・サーキットで開催されます。7月5日(金)〜7日(日)に開催される第8戦の模様は「J SPORTS」で7月7日(日)に生放送で楽しめます。
「スーパースポーツ世界選手権」は次戦のアメリカラウンドがないため、今回のドニントンでのレースを入れて残るレースは5レース。イギリスラウンドが終わると9 月まで約2ヶ月のサマーブレイクへと突入します。
今季の「スーパースポーツ世界選手権」はヤマハYZF−R6を走らせる「Evan Bros. World SSP Team」の2人、ランディ・クルメナッハー(ヤマハ)とフェデリコ・カリカスロ(ヤマハ)がチームメイト同士でマッチレースを展開しており、チャンピオン争いは実質この2人の戦いになりそうな雲行きです。彼ら以外で優勝したのはベテランのジュール・クルーゼル(ヤマハ)だけ。首位のランディ・クルメナッハー(ヤマハ)とランキング3位のクルーゼルの差は53点に広がってしまいましたから、現実的には逆転が厳しい状況になってきましたね。
ヤマハYZF−R6が現在の600ccクラスで最強マシンであるのは疑いようのない事実ですが、今季から2台体制となった「Evan Bros. World SSP Team」がここまで独走体制を築くとはシーズンが始まった当初は想像もしませんでしたね。昨年、サンドロ・コルテセ(現・スーパーバイク世界選手権)を起用して彼を王者へと導いた「Kallio Racing」はトーマス・グレインディンガー(ヤマハ)がランキング6位、イザック・ヴィニャーレス(ヤマハ)がランキング8位と低迷しています。
ランキング首位をチームメイト同士が争う「Evan Bros. World SSP Team」はイタリアに拠点を置くチームで、レーシングチームの結成は1985年と古いのです。元々はファビオとパオロのエヴァン兄弟が自身のレースをするためのチームでした。2010年代になってイタリア選手権などにチームとして参戦するようになり、600ccのヨーロッパ選手権で頭角を表すようになったのです。2016年から「スーパースポーツ世界選手権」に参戦するようになった、まだ3年目のシーズンという新興チームなのです。
実はフェデリコ・カリカスロ(ヤマハ)はヨーロッパ選手権時代からこのチームで共に戦ってきた仲間であり、ホンダCBR600RRで2016年に「スーパースポーツ世界選手権」にデビューした年もライダーはカリカスロの1台体制でした。翌2017年にカリカスロはヤマハのトップチーム「GRT Yamaha」に移籍。カリカスロと共に戦ってきたチームでしたが、そのまま「スーパースポーツ世界選手権」でチームを維持。2018年にはマシンをヤマハにスイッチし、ヤマハ・スイスとの契約でランディ・クルメナッハー(ヤマハ)を起用。いきなり第2戦・タイで優勝するなど、チームは大躍進を果たしました。
そして今季、フェデリコ・カリカスロ(ヤマハ)を古巣に呼び戻し、2台体制に。参戦3年目とは思えない大躍進ぶりです。おそらく今回もこの2人の優勝争いになるかと思うのですが、果たして勝つのはどちらでしょうか?
実はランキング上位のライダーで「スーパースポーツ世界選手権」でドニントンで優勝した選手はジュール・クルーゼル(2012年、当時ホンダ)だけ。ランディ・クルメナッハー(ヤマハ)は3位が最高位(2017年、当時カワサキ)。フェデリコ・カリカスロ(ヤマハ)は昨年の6位がベストリザルトになっています。
そして、同クラスのチャンピオン経験のあるルーカス・マヒアス(カワサキ)もドニントンの最高位は2位。実は優勝経験ライダーがほとんどいないドニントンでのレースになるのです。
今季からカワサキに移籍したルーカス・マヒアス(カワサキ)は前戦のミサノで移籍後初の3位表彰台を獲得。チームメイトの大久保光(カワサキ)は4点差に詰め寄られました。チーム全体としては登り調子になってきている証拠でもあるので、大久保の初表彰台にも期待しましょう。
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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