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モーター スポーツ コラム 2019年5月2日

SUPER GT第2戦プレビュー 令和最初のハイスピードバトルを制するのは誰だ?

SUPER GT by 秦 直之
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 ゴールデンウィークの真っ最中で、元号が令和に改められてから最初のレースとして、SUPER GTの第2戦が富士スピードウェイで5月3〜4日に開催される。何か記録だけでなく、記憶にも残る一戦となる予感が十分だ。岡山国際サーキットで行われた開幕戦も、記憶に残る一戦ではあった。だが、それは悪天候による波乱という意味で……。第2戦には逆の意味で、大いに盛り上がりを見せることを期待したい。



今度こそ来るか、カルソニックIMPUL GT-R!

 開幕戦は「予選のニッサン」、「決勝のホンダ」という印象が極めて強かった一方で、レクサス勢が不振を極めた一戦でもあった。予選と決勝が対照的な結果になったのは、ひとえに天候によるのだろう。それにしても3月の公式テストでパッとしなかった、ホンダ勢の快進撃は! これだからオフのテストなど、まったく当てにならない。ミッドシップに対する性能調整の対策だった、ということなのか。
 何はともあれ、予選まではニッサン勢が好調で、これは下馬評どおり。公式結果の状況とほぼ当てはまり、細かい部分の改良の積み重ねが身を結んだのは間違いない。その上で、決勝でホンダ勢に屈したのは、タイヤ選択によるところだったのではないか。あれほどの悪天候を予想しきれず硬めのウェットタイヤで挑んで、SCや赤旗のたび冷えたタイヤを、再開後にしっかり発熱させられなかったからだ。それに対して、ホンダ勢のタイヤ選択は対照的だったと考えられる。

 では、レクサス勢は? ひとつ考えられるのは、エアロパーツの高速コースへの特化だ。実際、3月下旬に行われた富士スピードウェイでの公式テストでは、レクサス勢は悪くない。走り出しとなる初日午前のテストではトップ5を独占。2日目は午前、午後ともWAKO’S 4CR LC500の大嶋和也/山下健太組がトップだった。レクサス勢の逆襲は、大いにありそうだ。

 しかし、その富士での公式テストで、最速タイムを記したのはカルソニックIMPUL GT-R。岡山の公式テストでもトップだった、佐々木大樹とジェームス・ロシターは1分38秒245を初日午後にマークしており、これが今回のターゲットタイムになりそう。思えば、開幕戦のQ1でもロシターがトップ。このチームは間違いなく、テストで手の内をすべて明かしている。

 ということで、第2戦の本命はカルソニックIMPUL GT-R。対抗がWAKO’S 4CR LC500で、大穴はテストで絶えず上位につけていた、Modulo EPSON NSX-GTのナレイン・カーティケヤン/牧野任祐組。スーパーフォーミュラでポールポジションを奪った、牧野の勢いにも賭けたいところ。
ただ、公式テストではパッとしなかったが、やはり富士ではZENT CERUMO LC500の立川祐路/石浦宏明組にも注目せずにはいられない。富士の獣道をただひとり知る存在の立川が、公式テストで牙をさらしていていなかった可能性は、大いにありそうだし……。

ターボエンジン搭載のFIA-GT3が有利なはずのGT300ながら……

 開幕戦のGT300で目立ったことといえば、何と言ってもブリヂストン勢の強さであった。ドライの予選ではトップ4を独占、ウェットの決勝でもやはりトップ4を独占していた。ポールポジションをARTA NSX GT3の高木真一/福住仁嶺組が奪い、2番手はK-tunes RC F GT3の新田守男/阪口晴南組が獲得。決勝でも高木と新田の一騎討ちとなり、一瞬の隙をついた新田が逆転して、最多勝記録の更新を果たしたのは、まだ記憶に新しいところのはず。

 果たして今回もブリヂストン勢が上位を独占するのか。ただ、公式テストの結果を見る限りにおいて、それほど目立った成績を残せてはいない。初日の午後にARTA NSX GT3とK-tunes RC F GT3が3番手、4番手につけただけで、他の3セッションでは1台もトップ6にすらつけていないのだ。

 代わって好調だったのが、ヨコハマ勢で4セッションともトップ。その上で最速タイム、1分36秒377を最初のセッションでマークしたのは、HOPPY 86 MCの松井孝允/佐藤公哉/土屋武士組。誰もがイメージするのは長いストレートを持つ富士だけに、ストレートパフォーマンスに優れるFIA-GT3が有利だということだが、マザーシャシーは紛れもなくコーナリング自慢の車両である。ここにヨコハマ勢好調の理由もあるかも。最高速の違いを補って余りあるほど、コーナーで稼げるタイヤが用意されたのなら、開幕戦のようなことにはならないだろう。

 とはいえ、決勝ではストレートパフォーマンスに優れる方が、圧倒的に有利であり、かつ楽にレースを進めることができる。4セッションすべてトップが入れ替わったGT300のテストながら、初日午後以降のトップには共通点がある。それはターボエンジン搭載のFIA-GT3だということ。GAINER TANAX triple a GT-Rの星野一樹/石川京侍、Modulo KENWOOD NSX GT3の道上龍/大津弘樹組、そしてRUNUP RIVAUX GT-Rの青木孝行/田中篤/柴田優作組という順で入れ替わった。

 中でもコンスタントに上位につけていたのが、GAINER TANAX triple a GT-Rだ。開幕戦で大クラッシュを喫し、フレームの入れ替えまで要求されたが、素早い対応で修復されて、先日の鈴鹿メーカーテストでは走行再開なったというから、その点の不安はないだろう。今回の本命をこのクルマとしたい。

 対抗はModulo KENWOOD NSX GT3と、タイヤ次第ながらARTA NSX GT3。優勝は飾っているものの、ハーフポイントとなってしまった結果、積んでいるウエイトも少ないことで連勝も不可能ではないと予想する。そして表現としては大穴になってしまうが、コンディションや展開いかんでは、HOPPY 86 MCにも可能性は十分ありそうだ。  現状での天気予報は3日、4日とも天候には恵まれるとのことで、その点での不安要素はなくて済みそう。令和最初のスーパーバトルに期待したい。
秦 直之

秦 直之

大学在籍時からオートテクニック、スピードマインド編集部でモータースポーツ取材を始め、その後独立して現在に至る。SUPER GTやスーパー耐久を中心に国内レースを担当する一方で、エントリーフォーミュラやワンメイクレースなど、グラスルーツのレースも得意とする。日本モータースポーツ記者会所属、東京都出身。

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