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ゴールデンウィークの真っ最中で、元号が令和に改められてから最初のレースとして、SUPER GTの第2戦が富士スピードウェイで5月3〜4日に開催される。何か記録だけでなく、記憶にも残る一戦となる予感が十分だ。岡山国際サーキットで行われた開幕戦も、記憶に残る一戦ではあった。だが、それは悪天候による波乱という意味で……。第2戦には逆の意味で、大いに盛り上がりを見せることを期待したい。
今度こそ来るか、カルソニックIMPUL GT-R!
開幕戦は「予選のニッサン」、「決勝のホンダ」という印象が極めて強かった一方で、レクサス勢が不振を極めた一戦でもあった。予選と決勝が対照的な結果になったのは、ひとえに天候によるのだろう。それにしても3月の公式テストでパッとしなかった、ホンダ勢の快進撃は! これだからオフのテストなど、まったく当てにならない。ミッドシップに対する性能調整の対策だった、ということなのか。
何はともあれ、予選まではニッサン勢が好調で、これは下馬評どおり。公式結果の状況とほぼ当てはまり、細かい部分の改良の積み重ねが身を結んだのは間違いない。その上で、決勝でホンダ勢に屈したのは、タイヤ選択によるところだったのではないか。あれほどの悪天候を予想しきれず硬めのウェットタイヤで挑んで、SCや赤旗のたび冷えたタイヤを、再開後にしっかり発熱させられなかったからだ。それに対して、ホンダ勢のタイヤ選択は対照的だったと考えられる。
では、レクサス勢は? ひとつ考えられるのは、エアロパーツの高速コースへの特化だ。実際、3月下旬に行われた富士スピードウェイでの公式テストでは、レクサス勢は悪くない。走り出しとなる初日午前のテストではトップ5を独占。2日目は午前、午後ともWAKO’S 4CR LC500の大嶋和也/山下健太組がトップだった。レクサス勢の逆襲は、大いにありそうだ。
しかし、その富士での公式テストで、最速タイムを記したのはカルソニックIMPUL GT-R。岡山の公式テストでもトップだった、佐々木大樹とジェームス・ロシターは1分38秒245を初日午後にマークしており、これが今回のターゲットタイムになりそう。思えば、開幕戦のQ1でもロシターがトップ。このチームは間違いなく、テストで手の内をすべて明かしている。
ということで、第2戦の本命はカルソニックIMPUL GT-R。対抗がWAKO’S 4CR LC500で、大穴はテストで絶えず上位につけていた、Modulo EPSON NSX-GTのナレイン・カーティケヤン/牧野任祐組。スーパーフォーミュラでポールポジションを奪った、牧野の勢いにも賭けたいところ。
ただ、公式テストではパッとしなかったが、やはり富士ではZENT CERUMO LC500の立川祐路/石浦宏明組にも注目せずにはいられない。富士の獣道をただひとり知る存在の立川が、公式テストで牙をさらしていていなかった可能性は、大いにありそうだし……。
開幕戦のGT300で目立ったことといえば、何と言ってもブリヂストン勢の強さであった。ドライの予選ではトップ4を独占、ウェットの決勝でもやはりトップ4を独占していた。ポールポジションをARTA NSX GT3の高木真一/福住仁嶺組が奪い、2番手はK-tunes RC F GT3の新田守男/阪口晴南組が獲得。決勝でも高木と新田の一騎討ちとなり、一瞬の隙をついた新田が逆転して、最多勝記録の更新を果たしたのは、まだ記憶に新しいところのはず。
果たして今回もブリヂストン勢が上位を独占するのか。ただ、公式テストの結果を見る限りにおいて、それほど目立った成績を残せてはいない。初日の午後にARTA NSX GT3とK-tunes RC F GT3が3番手、4番手につけただけで、他の3セッションでは1台もトップ6にすらつけていないのだ。
代わって好調だったのが、ヨコハマ勢で4セッションともトップ。その上で最速タイム、1分36秒377を最初のセッションでマークしたのは、HOPPY 86 MCの松井孝允/佐藤公哉/土屋武士組。誰もがイメージするのは長いストレートを持つ富士だけに、ストレートパフォーマンスに優れるFIA-GT3が有利だということだが、マザーシャシーは紛れもなくコーナリング自慢の車両である。ここにヨコハマ勢好調の理由もあるかも。最高速の違いを補って余りあるほど、コーナーで稼げるタイヤが用意されたのなら、開幕戦のようなことにはならないだろう。
とはいえ、決勝ではストレートパフォーマンスに優れる方が、圧倒的に有利であり、かつ楽にレースを進めることができる。4セッションすべてトップが入れ替わったGT300のテストながら、初日午後以降のトップには共通点がある。それはターボエンジン搭載のFIA-GT3だということ。GAINER TANAX triple a GT-Rの星野一樹/石川京侍、Modulo KENWOOD NSX GT3の道上龍/大津弘樹組、そしてRUNUP RIVAUX GT-Rの青木孝行/田中篤/柴田優作組という順で入れ替わった。
中でもコンスタントに上位につけていたのが、GAINER TANAX triple a GT-Rだ。開幕戦で大クラッシュを喫し、フレームの入れ替えまで要求されたが、素早い対応で修復されて、先日の鈴鹿メーカーテストでは走行再開なったというから、その点の不安はないだろう。今回の本命をこのクルマとしたい。
秦 直之
大学在籍時からオートテクニック、スピードマインド編集部でモータースポーツ取材を始め、その後独立して現在に至る。SUPER GTやスーパー耐久を中心に国内レースを担当する一方で、エントリーフォーミュラやワンメイクレースなど、グラスルーツのレースも得意とする。日本モータースポーツ記者会所属、東京都出身。
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