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電気自動車のフォーミュラカーレース「FIAフォーミュラE選手権」は前戦のチリ、サンティアゴの戦いから中南米の連戦。シーズン5(2018年~19年)の第4戦はすっかりお馴染みの開催地となったメキシコの首都、メキシコシティです。「J SPORTS」ではメキシコ現地時間、2月16日(土)に行われる予選、決勝の模様を生放送でお送りします。
さて、今季から新型シャシー、新ルールとなった「フォーミュラE」ですが、3戦終えて、レースを1度でもご覧になった方はお分かりの通り、バトルに次ぐバトルの面白いレースが続いています。勝者もアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(BMW)、ジェローム・ダンブロージオ(マヒンドラ)、そして前戦チリでサム・バード(ヴァージン)と毎戦ウィナーが変わる大混戦になっています。レースの内容もバトルの多さも、今や数あるモータースポーツの中で最も見事えがあるレースと言って良いでしょう。
モータースポーツの頂点であるF1も羨むスペクタクルが生まれている「フォーミュラE」ですが、電気自動車に対する関心の高まりと今後のマーケティングを考えて今やこぞって自動車メーカーが参入するレースになりました。開幕戦(サウジアラビア)では米国のアンドレッティレーシングとパートナーシップを結んだBMWがダ・コスタ、シムス共に速さを見せ、やはり巨大自動車メーカーのワークスチーム全盛の時代が来るのかと感じさせられましたが、第2戦はインドのマヒンドラ、第3戦はアウディのプライベーターであるヴァージンと「フォーミュラE」でこれまで強さを見せてきたチームがその流れを変えました。
「フォーミュラE」は全車が同じシャシー「Gen2」を使うレースであり、バッテリー(マクラーレン製)、ギアボックス(ヒューランド製)、タイヤ(ミシュラン製)も全車共通。メーカーが独自に開発できるのは動力部分であるモーターを中心としたパワーユニットであり、エンジン車やハイブリッド車に比べて開発コストは格安で、その分、差が生まれにくいのです。性能の均衡具合が巨大自動車メーカーvs新興メーカーの戦いをうまく演出していると言えますが、巨大自動車メーカーは参戦コストが安いから参戦しているわけではありません。低コストで未来に向けたプロモーションになるという部分は大きなメリットがありますが、やはり巨大自動車メーカーは将来のスペシャルな電気自動車のリリースに向けて、「フォーミュラE」のパワートレイン開発を通じて得られる電気自動車のノウハウを活かそうとしています。未来に繋がるデータ蓄積ということですから、当然のごとく巨大自動車メーカーはそれ相応の投資を行っていくことになるわけです。特に重要なのはパワートレインを走らせるコンピューターのソフトウェア。巨大自動車メーカーのマネー流入は今後、目に見えない部分で目に見える差を産んで行く可能性があります。ただ、現時点では目に見える差は生まれていないのはこの3戦でも明らかで、これだけ差がない状況は今ならではの面白さかもしれません。
そんな中、日本での「フォーミュラE」に対する関心はやはり日本初の自動車メーカーとしてのワークス参戦となった「日産」の活躍でしょう。これまでフォーミュラカーのレースには積極的には参戦してこなかった「日産」ですが、今や羽田空港の国際線ターミナルでも大々的に広告を出すなど、「フォーミュラE」参戦はトッププライオリティの活動と言えます。
しかしながら、いきなり「日産」としてゼロスタートで参戦したわけではなく、基本的には同じアライアンス下にある「ルノー」の活動からバッジを変更し、シーズン4までで「ルノー・e.dams」が培ったノウハウを活かした形の参戦担っています。「フォーミュラE」は元々ルノーのパワートレインを全車が使用する規定でシーズン1(2014年~15年)がスタートしており、ノウハウの蓄積という意味では、このレースを最もよく知るのが「日産・e.dams」です。
そんな「日産・e.dams」がついにトップを快走しました。第3戦チリ・サンティアゴはコース幅が全体的に広い新コースでの開催となりましたが、エースドライバーのセバスチャン・ブエミ(日産・e.dams)が予選でポールポジションを獲得。そしてレース中盤まで首位を走りました。しかし、サム・バード(ヴァージン)に追われる中で、ブエミはウォールにマシンをヒットさせてクラッシュ。サスペンションなどのダメージが大きく、ピットに戻り、無念のリタイアとなりました。また、ルーキーのオリバー・ロウランド(日産・e.dams)もアンドレ・ロッテラー(DSテチータ)とトップ10圏内でバトルを展開していましたが、こちらもウォールにクラッシュしてリタイア。日産陣営にとっては2台ともノーポイントという残念なリザルトになってしまいました。
「日産・e.dams」は今季、セバスチャン・ブエミの6位がベストリザルト。チリでの2台リタイアが大きく影響してチームランキングも7位と低迷しています。しかし、前戦・チリで得た良い感触を今回もメキシコシティでも活かすことができれば、日産としての初優勝の可能性は充分にあります。
これまで3シーズン開催されたメキシコシティのコースはF1も開催するエルマノス・ロドリゲスサーキットのコースの一部を使用し、周辺部分にフォーミュラE用に作られた特設コースを継ぎ足したレイアウト。高速コーナリングからのブレーキング、スタジアムセクションを通るテクニカルな部分が組み合わさった「フォーミュラE」マシンの総合力が試されるレイアウトになっています。路面のバンピーさも特徴です。シャシーが変わり、新パッケージになったとは言え、想定内の部分が多いこということはいつも以上の混戦が予想されます。
過去3回の開催で優勝はジェローム・ダンブロージオ(マヒンドラ/当時dラゴンレーシング)、ルーカス・ディグラッシ(アウディ)、ダニエル・アプト(アウディ)の3人。アウディが2連勝を飾っているコースです。そんな中でセバスチャン・ブエミ(日産・e.dams)は2度表彰台に登っており、昨年は3位表彰台を獲得。ブエミにとって愛称は決して悪くないコースと言えます。メキシコでの開催ということで日本では夜の深い時間帯でのレースになりますが、日産としての初優勝を大いに期待したいですね。
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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