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GT500は4チームに、GT300は6チームに、絞られたチャンピオン候補
SUPER GTは早いもので、もう最終戦を迎えることとなった。舞台はツインリンクもてぎで、レース距離は通常より短い250km。そして何よりこのレースのポイントは、ノーハンデの戦いとなることだ(全戦出場の車両に限り)。結果を残せば残すほどに積み重ねられていく足かせ、いや名誉の勲章から解放されて、本来の実力で戦い合うことができるのである。
そして、もうひとつの焦点がタイトル争いだ。GT500は4チームが候補ながら、うち2チームが同ポイントで並ぶという前代未聞の状態となっている。そしてGT300は6チームが候補。いずれもトップの持つマージンは大きいものの、何が起こるか分からないのが勝負の世界の常とあって、必ずしもすんなりいくとは限らない。
RAYBRIG NSX-GTとKeePer TOM’S LC500が並んだ!
前回のオートポリスで優勝をKeePer TOM’S LC500の平川亮/ニック・キャシディ組が、RAYBRIG NSX-GTの山本尚貴/ジェンソン・バトン組に、67ポイントで並び立つこととなった。同ポイントの場合、優勝回数次いで上位入賞回数が優先されるため、実際のトップはRAYBRIG NSX-GTになるのだが、それはさておいて……。
3位はau TOM’S LC500の関口雄飛で12ポイント差、ARTA NSX-GTの野尻智紀/伊沢拓也組が17ポイント差で続いている。事実上は中嶋一貴にも20ポイント差で一応の権利は残されているが、WEC出場のため欠場したレースがあり、なおかつチームメイトは関口。上回ることはできないため、権利は喪失している。
仮にポール・トゥ・ウィンを、au TOM’S LC500に許したとしたら3位以上、ARTA NSX-GTに許したとしても6位以上で、なおかつRAYBRIG NSX-GTとKeePer TOM’S LC500のいずれか、先にゴールした方がチャンピオンとなるわけだ。しかし、そんなにすんなり行くだろうか?
まず昨年の結果を振り返ってみたい。MOTUL AUTECH GT-Rの松田次生/ロニー・クインタレッリ組がポール・トゥ・ウィン。予選ではクインタレッリがコースレコードを叩き出し、決勝も6秒差での圧勝となり、2位でゴールしたKeePer TOM’S LC500がチャンピオンに輝いている。ホンダ勢の最上位はKEIHIN NSX-GTの塚越広大/小暮卓史組の4位ながら、トップ6に3陣営2台ずつ入っており、こと昨年の結果としては大きく優劣が分かれたわけではなかった。
続いて公式テストの結果である。トップはWedsSport ADVAN LC500の国本雄資/山下健太組で、2番手がカルソニックIMPUL GT-Rの佐々木大樹/ヤン・マーデンボロー組で、3番手がMOTUL AUTECH GT-R。4番手、5番手にようやくチャンピオン候補が登場し、au TOM’S LC500とKeePer TOM’S LC500という順なのに対し、ARTA NSX-GTとRAYBRIG NSX-GTは10番手、11番手という順でしかない。
ホンダ勢が不利なのか……というと前回もそうだったが、テストはあくまでもテスト。それぞれ目指すところが違えば、順位やタイムが違って然り。しかも公式テストは10月8~9日に行われていたから、当然温度差も激しいわけで。その逆に、昨年のレースも良くて、今年のテストもいい。だからMOTUL AUTECH GT-Rが大本命と言いたいところだが、前回のオートポリスの結果を見る限りにおいて、寒くなってきたこの時期、勢いは失っているのではないかとも勘ぐりたくなる。ただし、ニッサン勢には、もはや失うものは何もない。ここに関しては全車一斉に、一か八かの大勝負に討って出ると予想できる。
対してホンダ勢とレクサス勢は、それぞれ空気を読まなくてはならない。直接のライバルがどこにいるかで、守りに入れるかもしれない一方で、攻めていかなくてはならない可能性も生じるだろう。そればかりか、何らかの配慮が必要とされることも……。
よけいなことを考えずに、独断で予想するなら優勝はau TOM’S LC500。勝負師としての関口に賭けたい。ポール・トゥ・ウィンを飾ってなお、RAYBRIG NSX-GTとチームメイトであるKeePer TOM’S LC500の結果次第、だが「やるだけのことはやった」と納得の展開になるのでは? あとはもう、前回のように「予選のホンダ」、「決勝のレクサス」ということになれば、もうタイトルの行方は見えてくる。だが、同じ轍を踏んでこようはずがない、という予想も大いにできる。ともあれGT500は難しい。
ARTA BMW M6 GT3の高木真一、16年ぶりの王座復帰なるか?
GT300のランキングトップは、ARTA BMW M6 GT3の高木真一/ショーン・ウォーキンショー組で、2位はLEON CVSTOS AMGの黒澤治樹/蒲生尚弥組で、その差は12ポイント。続いてTOYOTA PRIUS apr GTの嵯峨宏紀/平手晃平組が14ポイント差、グッドスマイル初音ミクAMGの谷口信輝/片岡龍也組が15ポイント差、K-tunes RC F GT3の新田守男/中山雄一組が16ポイント差、そしてGAINER TANAX GT-Rの平中克幸/安田裕信組が18ポイント差という順だ。
ARTA BMW M6 GT3は、LEON CVSTOS AMGのポール・トゥ・ウィンを許しても、3位に入れば逃げ切りとなる。ちなみに昨年は、まさにそういう展開。LEON CVSTOS AMGが優勝を飾り、ARTA BMW M6 GT3が2位。そして3位に入ったグッドスマイル初音ミクAMGがタイトルをものにした。少しだけ順番と立場が違うが、デジャブもあり得るのではないか?
ところが、公式テストでARTA BMW M6 GT3が14番手と、今ひとつ振るわず。何度も繰り返しになるが、テストはテスト。あくまでも参考程度なのだが、やや気になるところではある。本来、BMWはストップ&ゴーの繰り返される、もてぎには相性がいいはずなのだが……。
一方、その相性の良さをテストの結果に、しっかり表したのがGULF NAC PORSCHE 911の久保凛太郎/石川京侍組で、トップタイムをマーク。もともとポルシェともてぎの相性の良さは実証済なので優勝候補として、さらにD’station Porscheの藤井誠暢/スヴェン・ミューラー組も加えても良さそうだ。また、このところの勢いを見る限り、その中に加えたくなるのがModulo KENWOOD NSX GT3の道上龍/大津弘樹組。SUGOで4位、オートポリスで3位と、本来得意とはしていないサーキットで連続入賞を果たしている。
「NSXってコーナリングマシンじゃないの?」って思った方もいるだろうが、それは先代の印象が強いからで、実際にはターボにモノ言わせた、ストレートパフォーマンスの高さが武器。ならば、もてぎとも相性はいいはずだ。
話は戻ってチャンピオンの行方だが、やはりARTA BMW M6 GT3の持つ、12ポイントのマージンは、絶対的なものではないだろうか。直接のライバルを見据えてレースができるし、何よりプライベートチーム主体のGT300には変なしがらみがない。いかん、口が過ぎた。もし、ARTA BMW M6 GT3がチャンピオンになれば、高木にとっては2002年以来、16年ぶりの王座返り咲きとなる。これは新記録ではないだろうか。そういうドリームを現実のものにしてほしい、という願望も少なからずある。
秦 直之
大学在籍時からオートテクニック、スピードマインド編集部でモータースポーツ取材を始め、その後独立して現在に至る。SUPER GTやスーパー耐久を中心に国内レースを担当する一方で、エントリーフォーミュラやワンメイクレースなど、グラスルーツのレースも得意とする。日本モータースポーツ記者会所属、東京都出身。
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