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サッカー フットサル コラム 2024年5月3日

天高く翔べ!サガンブルーとファジレッドの初顔合わせは駅スタで! サガン鳥栖U-18×ファジアーノ岡山U-18マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグWEST第5節】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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サガン鳥栖U-18・鈴木大馳

今シーズンのサガン鳥栖U-18は実に攻撃的だ。開幕戦は神村学園高校に3-4で敗れたものの、激しい撃ち合いを展開。第2節は米子北高校から5ゴールを奪って初白星をゲットすると、第3節の鹿児島城西高校戦でも3-2と逆転勝利。最初の3試合で11得点を叩き出してみせた。

だが、アウェイに乗り込んだ前節の帝京長岡高校戦は、キャプテンの森夲勢那も「自分たちの良さを完璧に消されて、なおかつ相手の良さを前面に出された試合だったかなと感じます」と言及するような内容で、0-3と完敗。駅前不動産スタジアムで戦う今回のホームゲームは、改めて立て直しを図りたい一戦だ。

プレミア初昇格のシーズンに挑んでいるファジアーノ岡山U-18は、ボールを大切に動かすスタイルとともに、このリーグで本来の力を見せつつある。開幕戦は名古屋グランパスU-18に逆転負け。第2節でも昨年王者のサンフレッチェ広島ユースに0-3と実力差を見せ付けられたが、ここからリバウンドメンタリティを発揮した。

第3節の神村学園戦は先制を許すも、後半に入って途中出場の南稜大と末宗寛士郎のゴールで逆転すると、さらに石井秀幸も得点をマーク。3-1でプレミア初白星を獲得する。さらに勢いそのままに前節の米子北戦も、後半に末宗の2試合連続ゴールで1-0と完封勝利。連勝の勢いを持って、アウェイゲームへ向かうことになる。

鳥栖U-18を中盤の位置から牽引するのは、「キャプテンはやると決めたことなので、今シーズンはずっとやり通したいと思います」と言い切る森夲だ。自身でも「強みはボールを運ぶドリブル」と言及するように、攻撃面で持ち味を発揮するタイプのボランチだが、今季はトレーニングから守備面にも注力し、プレーヤーとしての進化にも余念がない。

参考にしている選手はアカデミーの先輩だという。「試合前に動画を見ているのは松岡大起選手(アビスパ福岡)で、あの人のリーダーシップや戦う姿勢は自分にないものなので、そういう部分は意識しています」。明確な理想像を掲げる森夲の攻守に渡る奮闘が、このチームの生命線であることに疑いの余地はない。

攻撃陣に目を向けると、今季の10番を任されている鈴木大馳の存在は語り落とせない。今季は4節までに4ゴールを奪い、プレミアリーグWESTの得点ランクトップに立っているが、本人は「自分の形でまだゴールできていないので、『絶対にこの形だったら決められる』というものを作っていきたいと思っています」と現状に満足する気配は微塵もない。

平日はトップチームで練習を重ね、週末はプレミアの試合に出場というサイクルの中で、山崎浩介を筆頭にプロの屈強なセンターバックとマッチアップを繰り返しながら、競り合いのコツや強さを学んでいるとのこと。もちろん目指すのはリーグ得点王。「20点は獲りたいと思います」と力強く口にする鈴木が、ゴール前で見せる強さと上手さには要注目だ。

また、今季の鳥栖U-18のラッキーボーイになりつつある岩村淳之介もご紹介しておこう。4節までの全試合でフル出場を果たしている2年生は、右サイドバックながらここまで3ゴール3アシストと、チームが記録した得点の半数以上に関与しているのだ。

とりわけ鹿児島城西戦でゴールまで30メートル以上の距離から沈めたミドルシュートは、今季のベストゴール候補に挙がってもおかしくないようなスーペルゴラッソ。既に2つのアシストが付いたロングスローの使い手でもある27番の躍動が、グループに新たなエネルギーをもたらしている。

チーム史上初めてのプレミアリーグを戦う岡山U-18の絶対的な中心は、キャプテンマークも託されているボランチの藤田成充だ。昨季も不動のレギュラーとして中盤を取りしきり、プレーオフでも活躍してプレミア昇格にきっちり貢献。「去年もチームを引っ張っていく意識は自分の中であったので、特にキャプテンになったから変わった部分はあまりないですね」と話した言葉も頼もしい。

プレシーズンはトップチームのキャンプにも参加し、同じ左利きの田部井涼から数々のアドバイスをもらったことで、大きな刺激を受けた様子。初のプレミアに「メチャメチャレベルの高い相手とできるのは一番の楽しみですし、その中で自分たちがどれだけできるか、どれだけ差があるかも試合を通して知りながら、成長していけるのが本当に楽しみです」と期待を語った藤田が披露する、落ち着き払ったエレガントなプレーに是非注目してほしい。

トップチームにも2種登録されており、ルヴァンカップの横浜FC戦ではスタメンに抜擢されたミキ・ヴィトルも面白い。「自分は足も速いですし、フィジカルも強くて、クロスも上手いと思います」と自ら言及した通り、身体の強さとスピードを生かした突破力は迫力十分。プレミアの舞台でも右サイドで存在感を放っている。

10歳でブラジルから来日すると、愛知の強豪・刈谷JYでプレーしたのち、U-18からファジアーノへ加入。「今年はユースでも最後の年ですし、ゴールやアシストで結果をしっかり出して、チームを勝たせてアピールして、プロに上がれたらなと思います」と自身の目標を口にしつつ、「来年も後輩たちにプレミアでプレーさせたいので、残留はしたいですね」と優しい“先輩”の一面も。9番がサイドを制圧できるかどうかは、そのままチームの勝敗を大きく左右する。

チーム関係者も『漢の中の漢』と絶賛するのが、ディフェンスリーダーを務める川上航生だ。昨シーズンからセンターバックの定位置を掴み、プレーオフでも奮戦。今季は副キャプテンにも指名され、「キャプテンを支えながら、チームが苦しい時に鼓舞する選手になりたいですし、ディフェンスリーダーとしての自覚や責任を全うしたいと思っています」とアカデミーラストイヤーに意気込んでいる。

好きな選手は「身長も僕ぐらいで、メチャメチャ対人が強くて、さらに上手いので参考にしています」という元イタリア代表のファビオ・カンナバーロ。開幕戦では開始早々に頭部のケガで負傷交代したものの、復帰戦となった前節はフル出場で完封勝利の立役者に。『ファジアーノのカンナバーロ』が見せる魂のディフェンスからは、常に目が離せない。

言うまでもなくこの両チームがプレミアリーグで対戦するのは、今回が初めて。ゴールデンウイークの最後を飾るにふさわしい、サッカー専用でもある駅前不動産スタジアムでの好カード。鳥栖U-18と岡山U-18が意地をぶつけ合う90分間を、大いに楽しみたい。

ファジアーノ岡山U-18のディフェンスリーダー・川上航生

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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