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サッカー フットサル コラム 2023年5月21日

【世界と対峙する初戦。日本のキーマン、松木玖生と佐野航大の不思議な因縁 FIFA U-20 ワールドカップ アルゼンチン2023 日本×セネガルマッチプレビュー】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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U-20日本代表を束ねるキャプテン・松木玖生

前回大会が新型コロナウイルスの影響で中止となったため、2大会ぶりの開催となるFIFA U-20ワールドカップ。もともとはインドネシアで開幕を迎えるはずだったが、開催地はアルゼンチンへと変更され、日本の若武者たちも南米を舞台に世界の列強と肌を合わせることになった。

彼らが今大会で掲げる目標は世界一。過去に小野伸二や遠藤保仁、高原直泰らを擁して戦った1999年大会(※当時はワールドユース)では、今でもFIFA主催の男子の大会では日本史上最高成績となる準優勝に輝いたが、その結果を1つ超えることを真剣に目指している。

4チーム総当たりで行われるグループステージ。グループCに入った日本が初戦で対峙するのは、アフリカ王者のセネガルだ。今大会の予選に当たるU-20アフリカ・カップ・オブ・ネーションズでは、グループステージから一度も負けずに6連勝での優勝を達成。4大会連続で世界への切符を勝ち獲っている。

コロナ禍もあって、本来は2年前に開催されるはずだったFIFA U-17ワールドカップも中止となり、U-20日本代表の選手にとっての今大会は、全員が初めて臨む世界大会。その初戦ともなれば、緊張するなと言う方が無理な話。なかなか地に足が付かない中でキックオフの笛を聞くであろうことは想像に難くない。

だからこそ、セネガル戦はこの男に期待したい。アジアカップ(アジア予選)でも腕章を巻き、今大会でもキャプテンに指名されているチームリーダーの松木玖生だ。

チームの一体感を高めることに腐心したというアジア予選では、「全体を見ることを意識していましたね。結果を残すことはもちろんそうですけど、試合に出られていない選手もいましたし、ずっと出られていた選手もいましたし、そういった選手をしっかりと自分自身で見極めて、接することを意識していました」とのこと。青森山田中学でも、青森山田高校でも、絶対的なキャプテンを務めてきただけに、自身の為すべき役割は十分過ぎるほどに理解している。

また、大一番での勝負強さも兼ね備えている。高校1年時にはプレミアリーグファイナルで決勝ゴールを叩き出し、日本一に大きく貢献。高校年代三冠を達成した3年時の高校選手権決勝でも、きっちり自らゴールネットを揺らしてタイトルを獲得。試合後には子どもたちに向けてのメッセージを求められ、「これからもサッカーを楽しみましょう」と言い切った。

チームのど真ん中を預かるボランチとして、この男が高校時代から磨いてきた、攻守に渡る“ボックス・トゥ・ボックス”の動きは、屈強な選手を揃えているであろうセネガル相手にも十分通用する代物。15日に現地で行われたU-20アルゼンチン代表とのトレーニングマッチは1-2で敗れたものの、唯一の得点は松木が奪っている。

「もちろん世界一を目指していますけど、グループステージ突破と、その前に初戦を勝つことが一番重要だと思うので、まずはこの初戦に重きを置いて、先のことは考えずに、一戦一戦やっていけたらいいかなと思っています」と一戦必勝で構える不動のキャプテンの、“世界初挑戦”から目が離せない。

もう1人のキーマンとして挙げたいのが、中盤での活躍が望まれる佐野航大だ。ファジアーノ岡山へ入団した昨シーズンの当初は、現在鹿島アントラーズでプレーする“佐野海舟の弟”というイメージが先行していたものの、ルーキーイヤーからJ2リーグ戦28試合出場3ゴールと存在感を示し、チームの昇格プレーオフ進出の一翼を担った。

3月のアジアカップでも中盤の欠かせないなピースとして躍動し、グループステージのキルギス戦ではゴールも記録。スタメン出場でも、途中出場でも、アグレッシブさと勘所を抑えたクレバーなポジショニングが、チームの攻撃にさらなる彩りを加えていく。

昨年5月のモーリス・リベロ杯で相対したアルゼンチン戦にも出場していた佐野は、15日の試合後に「アルゼンチンとは1年前に対戦して凄い差を見せつけられて、それがそのまま結果に反映されたのですが、今回は比較してもやられていない、勝ちに持っていけたという印象があります」ときっぱり。チームの仕上がりにも手応えを掴んでいるようだ。

実は松木と佐野は、高校3年時に出場したインターハイの全国決勝で、それぞれ青森山田と米子北高校の10番同士として激突。後半アディショナルタイムまで米子北がリードしていたが、土壇場で追い付いた青森山田が延長で決勝ゴールをもぎ取り、松木は初めて味わう全国大会での日本一に大粒の涙を流した。それから2年。今度は彼らが同じユニフォームに袖を通して、世界を相手に共闘するのは不思議な因縁でもある。

もちろん重要ではあるが、決してすべてが決まるわけではない世界大会の初戦。松木と佐野も含めた若き才能が怖じることなく、そのポテンシャルをアルゼンチンのピッチでのびやかに解き放ってくれることを願っている。

青森山田高校とのインターハイ決勝で自らのゴールを喜ぶ米子北高校・佐野航大(10番)

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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