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ニールソン・パウレスが42.5km独走で逃げ切り! 2日後のロンバルディアへ大きな自信となる会心の走り【Cycle*2024 グラン・ピエモンテ:レビュー】
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介ニールソン・パウレスが42.5kmの独走で逃げ切り勝利
秋のイタリア伝統レース、グラン・ピエモンテ。現地10月10日に行われた第108回大会は、上れるスプリンター向きとの戦前の見方を覆し、最後の42.5kmを独走したニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト)が逃げ切りに大成功。鮮やかな走りで今シーズン初勝利を決めた。
「この喜びに匹敵する感情はなかなかないと思う。本当にうれしいよ。逃げている間は不安でいっぱいだったけど、ベストを尽くすしかないと思って全力で走り続けたんだ。こんなレースができるなんて、信じられないほど幸せな気分だよ!」(パウレス)
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【限定】【スタート~フィニッシュまで】Cycle*2024 イル・ロンバルディア (英語コメンタリー版)
配信期間 : 2024年10月12日午後5:25 ~
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配信期間 : 2024年10月12日午後9:00 ~
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配信期間 : 2024年10月19日午後2:15 ~
当初出走を見込まれていたリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)やマイケル・マシューズ(ジェイコ・アルウラー)、マルク・ヒルシ(UAEチームエミレーツ)らが最終エントリーから外れ、プロトンの構図がどう変わるかが焦点となった今回。182kmのレースはまず、4選手の逃げから始まった。
先頭4人を5分ほどのタイム差まで容認したメイン集団は、フィニッシュまで100kmを残したところから徐々に本格的にその差をコントロール。EFエデュケーション・イージーポストやアルペシン・ドゥクーニンクが牽引役を前方に送り出して、レース構築を図る。この間、優勝候補に挙げられていたアルベルト・ベッティオル(アスタナカザクスタン)らが落車に巻き込まれるが、大きなダメージなく戦線に戻っている。
中間地点を過ぎるとすぐに始まるコルマ峠へ向け、集団はさらにペースを上げる。上りが始まると先頭グループはそれまでの態勢が崩れ、前に残ったのはニコラス・ズコウスキー(Q36.5プロサイクリングチーム)とフランシスコ・ムニョス(チーム ポルティ・コメタ)の2人。頂上が近づくとズコウスキーがムニョスから数秒先行する様子も見られ、協調を保つのが難しい状況になっていく。
一方で勢いを増したのがメイン集団。頂上手前2kmでのケヴィン・ヴェルマーク(dsmフィルメニッヒ・ポストNL)のアタックをきっかけに、ジジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック)ら数人が前をうかがう。これに追随した選手たちが集団から抜け出す格好になって、頂上からの下りを終えた時点で15人ほどの追走グループに。カーデン・グローブス(アルペシン・ドゥクーニンク)らスプリンターの多くは後ろに取り残され、上りで苦しんだフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)も完全に後退した(のちにリタイア)。
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【ハイライト】グラン・ピエモンテ|Cycle*2024
逃げていた4人は上りで耐えきれなかった
逃げ続けていたズコウスキーとムニョスを残り45kmでキャッチした精鋭グループ。次なる展開へ移ろうかというタイミングで、パウレスが飛び出した。
「長い上り(コルマ峠)からずっと本能で走っていたんだ。下りを終えた時点で20人を切るところまで人数が絞られたけど、誰かが攻撃するようなムードでもなかった。一緒にこのグループに入ったゲオルグ(シュタインハウザー)と話をして、交互にアタックしようと決めたんだ」(パウレス)
シュタインハウザーが他チームの動きを抑え、飛び出したパウレスはタイム差を拡大。30秒ほどまで開いたところで、人数を多く残していたウノエックスモビリティがグループを牽引しパウレスを捕まえようと試みる。しかし、なかなか差が縮まらない。
この状況にしびれを切らした選手が突発的に集団前方へと上がる場面こそあれど、追撃ムードが劇的に高まるところまでは至らない。フィニッシュ地・ボルゴマネロ基点の周回コースに入っても状勢は大きく変化せず、残り11kmで最終周回の鐘を聞く段階でなおも30秒差。フィニッシュに近づくにつれて、パウレスが優勢になっていく。
懸命に追う集団を尻目に、最後の最後までペースが落ちなかったパウレス。何度も振り返って後ろとの差を確認したが、リードは十分。優勝を確信すると、最後の50mは両こぶしを掲げてのウイニングセレブレーション。第108回グラン・ピエモンテ制覇は、昨年2月以来となる勝利だ。
「やり遂げられたことがとても誇らしいね。今年の春は膝の痛みで辛い日々だったんだ。家族がずっと寄り添ってくれて、リハビリや長時間のトレーニング、レースに向けた遠征と、すべてで僕の支えになってくれていた。僕の夢のために時間を費やしてくれたことに心から感謝しているよ。今日、それが報われたんだ」(パウレス)
大きな喜びとともに、視線の先には2日後に控えるイル・ロンバルディア、そして2年前に勝っている宇都宮ジャパンカップサイクルロードレースが。
7秒差のスプリント勝負はストロング、アランブル
「ロンバルディアではトップ10フィニッシュが目標だよ。タデイ(ポガチャル)は(UCI世界選手権大会のように)残り100kmで飛び出してしまうかもしれないね。僕にはそこまでの爆発力がないけど、良い結果は残せると思う。ベストを尽くすよ」(パウレス)
パウレスを追いきれなかった集団は、7秒差でフィニッシュに到達。最後は約30人でのスプリントになって、コービン・ストロング(イスラエル・プレミアテック)が先着し2位。アレックス・アランブル(モビスター)が3位とし、それぞれ表彰台の一角を占めた。
シーズンの終わりが見えてきているロードレースシーンだけど、最後の最後までレースから目が離せない。次はいよいよ、イル・ロンバルディアだ。
文:福光 俊介
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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