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サイクル ロードレース コラム 2024年9月1日

【ブエルタ・ア・エスパーニャ2024 レースレポート:第14ステージ】山岳区間でスプリント勝負…グローブスがファンアールトを制して大会通算6勝目

サイクルロードレースレポート by 山口 和幸
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グローブスがファンアールトに僅差で勝利

第79回ブエルタ・ア・エスパーニャは8月31日、ビリャフランカ・デル・ビエルソからビリャブリノまでの今大会最長距離となる200.4kmで第14ステージが行われ、カーデン・グローブス(アルペシン・ドゥクーニンク)がワウト・ファンアールト(ヴィスマ・リースアバイク)を僅差で制して、第2ステージに続く今大会2勝目、大会通算6勝目を挙げた。

この日は山岳賞ポイントが2つある中級山岳ステージだったが、総合成績の上位選手はスプリント勝負を展開した第1集団の中でゴール。首位ベン・オコーナー(デカトロン・AG2Rラモンディアル)がその座を守った。リーダージャージのマイヨ・ロホを着用するのはこれで9日間となった。4度目の総合優勝を目指すプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)は1分21秒遅れの総合2位にピタリとつけ、翌日に行われる第2週の最後の難関で逆転を期すことになった。

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カテゴリー3級と1級の峠があるシンプルなステージだったが、獲得標高は2883m。総合優勝や表彰台を目指す有力選手が動くのか? ロングアタックを得意とする選手たちがステージ優勝のために激しい戦いに持ち込むのか? このステージはあらゆる可能性があったが、翌日に悪魔の激坂クイトゥ・ネグルが待つだけに、多くの選手が体力を温存した。スプリンターたちがカテゴリー1級山岳のプエルト・デ・レイタリエゴスを生き延びて、フィニッシュのビリャブリノでスプリント優勝を争うことになった。

逃げ集団の6選手

この日も逃げが決まった。その戦いはスタートから始まったが、約50km、1時間を費やして先頭に躍り出た選手は、イサーク・デルトロ(UAEチームエミレーツ)、エクアドルチャンピオンジャージを着たジョナタン・ナルバエス(イネオス・グレナディアーズ)、クサンドロ・ムーリッセ(アルペシン・ドゥクーニンク)、マルコ・フリーゴ(イスラエル・プレミアテック)、ヴィクトル・カンペナールツ(ロット・デスティニー)、アロルド・テハダ(アスタナ・カザクスタン)の6人だった。

J SPORTS サイクルロードレース【公式】YouTubeチャンネル

【ハイライト】ブエルタ・ア・エスパーニャ 第14ステージ|Cycle*2024

今大会の最年少、20歳デルトロは今シーズン初めのブエルタ・アストゥリアス・フリオ・アルバレス・メンドで総合優勝するなど、日程の短いステージレースで成功を収めている。しかし、ポイント賞と山岳賞のリーダージャージを持つファンアールトのヴィスマ・リースアバイクがメイン集団の主導権を握り、タイム差を2分以内にするようにコントロールしたため、逃げ集団がゴールまでそのまま行くのは不可能だった。

今大会最年少の20歳デルトロが逃げの先頭を走る

6選手のリードは、この日の勝負どころと思われた登坂距離22.7kmのプエルト・デ・レイタリエゴスに差しかかると1分に縮まる。ナルバエス、フリーゴ、テハダが前に出て、先頭は3人に絞られた。メイン集団はキアン・アイデブルックス(ヴィスマ・リースアバイク)が先頭でペースを上げる。

ナルバエスは峠の最後の7kmになると単独になった。メイン集団はステフェン・クライスヴァイク(ヴィスマ・リースアバイク)が集団の先頭に立った。このクライスヴァイクのペースメークによってナルバエスの野望はフィニッシュまで残り19.5km、山頂まで3kmの地点で終わりを迎えた。

ログリッチは最後の下り坂でメカトラブルに見舞われたが、チームメートのダニエル・マルティネスに自転車を提供されてすぐに集団に復帰。事なきを得た。ステージ優勝争いは60人ほどの集団によるスプリント合戦に。エドワルト・プランカールト(アルペシン・ドゥクーニンク)の牽引によっていいポジションからスプリントしたグローブスがファンアールトに僅差で先行し、今大会2度目のステージ優勝を遂げた。

4度目のステージ優勝を狙っていたファンアールトは届かなかったが、ポイント賞と山岳賞争いでは大差で1位を守り続けることになった。

「本当にいい気分だ。あのようなスプリントになるとは思っていなかったけど、ヴィスマチームがそれをコ
ントロールし、ワウト(ファンアールト)との1対1のスプリント勝負は最高だった」(グローブス)

峠の上り坂での駆け引き

「峠の上り坂で集団についていくことに問題はなかった。だれかが攻撃を始めたら少し大変だったかもしれないが、幸いなことにヴィスマチームの選手が本当に速いペースで走っていたので誰も攻撃できなかった。チームメートも私を引っ張ってくれたので、フィニッシュでの態勢をうまくコントロールすることができた。チームは素晴らしい仕事をしたんだ。エドワルト(プランカールト)は第5ステージのセビリアと同じように再びいいリードアウトをしてくれた。今日はためらうことなく、本当にいいスプリントができたと思う。

ワウトとのドラッグレースのように感じたが、最終的には彼に勝てたので十分な結果だ。ブエルタ・ア・エスパーニャのステージ優勝が6つになったことは本当にうれしい。ここでレースをするのが大好きだからね。ブエルタ・ア・エスパーニャは3回目の出場で、優勝は6回目。一貫したやり方と努力が報われたことがうれしい」(グローブス)

「カーデン(グローブス)がほんの少し強かった。スプリントではミスはしなかったと思う。上り坂のスプリントだと分かっていたから、あまり早く行かないことが重要だった。だからいいタイミングで行ったと思う。彼の前に出たと思ったが、最後の数mで足がつってしまいカーデンにまた抜かれてしまった」(ファンアールト)

「レースをもっと難しくしてほしいなんて、あえて言わなかった。そんなことを頼んだらチームメートに殺されてしまうからね! 超ハードなレースだった。序盤は特に多くのライダーが逃げに乗ろうとしていた中で、チームがレースをコントロールしようとしたことをとても誇りに思う。この日レースをコントロールし、スプリントでレースを終わらせようとしたのは私たちだけだった。

最後の上りでは、チームメートに集団をまとめてもらう必要があった。最後に勝てなかったのは残念だが、間違いなくハードな1日だった。山岳賞ポイントでは誰もそれを狙って競り合ってこなかったので、自然な流れでポイントを狙った。基本的に無料で手に入った感じだ」(ファンアールト)

この日もマイヨ・ロホを防衛したオコーナー

オコーナーは、翌日に迫ったクイトゥ・ネグルでの厳しいフィニッシュを考えたライバルたちとともに、この日の山頂を無事に越え、マイヨ・ロホを防衛した。

「ログリッチがメカニカルトラブルを起こした後、何度かアタックがあった。ステージ勝利は行方が決まったわけではなく、何人かは逃げようとした。かなり速いステージだったけど、私にとってはどちらかというと静かなステージだった。逃げ切りが終わるまで長い時間がかかったが、その後ヴィスマチームが本当に素晴らしいコントロールを見せた。もちろん今日も簡単ではなかったため、予想以上に難しかったことは確かだ。

カーデン・グローブスの勝利には驚かなかった。彼はとても上手に上れる。本当に素晴らしく才能があって一流だ。今日、同じオーストラリアの彼が勝ったことをうれしく思った。

2012年に行われた(明日の)クイトゥ・ネグルの映像を見た。かなり壮大で、かなり難しい。私たちはここまでも難しい上りをいくつかこなしてきたが、これはそのリストにまた加わると思う」とオコーナーは翌日の決戦を前にコメントを発した。

ヤングライダージャージを守ったカルロス・ロドリゲスは「集団がメカトラブルで遅れたプリモシュ・ログリッチを待っていたかどうかは分からない。彼らは間違いなくアタックを続けた。僕自身はレースを速くしたくはなかった。不運な瞬間にパンクしたせいで彼がタイムを失うのは不公平だからだ」と当時の状況を語った。

「でも結局、全員一緒に到着した。これが結局大事なことだ。逃げ集団をめぐる激しい戦いを予想していたが、その通りになった。ワウト(ファンアールト)が第1集団に加わると予想していたが、彼はそうしなかった。ヴィスマ勢が一日中コントロールしていた。かなり速いステージだった。結局、全員が疲れて到着したと思う。明日は脚に疲労があることが私にとっていい結果につながるような気もする」(カルロス・ロドリゲス)

翌日の第15ステージはいよいよ第2週最大の山場。インフィエスト〜バルグランデ=パハーレス クイトゥ・ネグル間の142.9kmで争われる。フィニッシュとなる超級山岳クイトゥ・ネグルはフィニッシュ前約3kmに、勾配20%ゾーンが「100m×5か所」も散らばるという凄まじさ。フィニッシュ後に真紅のリーダージャージを誰が着用するのかに注目したい。

文・山口和幸

代替画像

山口 和幸

ツール・ド・フランス取材歴25年のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、日刊スポーツ、東京中日スポーツ、Number、Tarzan、YAHOO!ニュースなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)。2013年6月18日に講談社現代新書『ツール・ド・フランス』を上梓。青山学院大学文学部フランス文学科卒。

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