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サイクル ロードレース コラム 2024年8月31日

【ブエルタ・ア・エスパーニャ2024 レースレポート:第13ステージ】ウッズが4年ぶり3勝目…ログリッチが総合で一気に2分詰め寄る

サイクルロードレースレポート by 山口 和幸
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今大会初ステージ優勝を果たしたマイケル・ウッズ

今大会初ステージ優勝を果たしたマイケル・ウッズ

第79回ブエルタ・ア・エスパーニャは8月30日、ルーゴから激坂プエルト・デ・アンカレスまでの175.6kmで第13ステージが行われ、カナダチャンピオンのマイケル・ウッズ(イスラエル・プレミアテック)が23人の先頭グループから最後は単独で抜け出して、同大会で4年ぶり3度目の勝利を収めた。

4度目の総合優勝を目指すプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)は総合優勝を争うライバルたちに大きな差をつけ、首位ベン・オコーナー (デカトロン・AG2Rラモンディアル)との総合タイム差を3分16秒から1分21秒に縮めた。

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スペイン北東部のガリシア地方を舞台とした4日間の最終日。この日のステージはカスティーリャ・イ・レオン地方も通過し、この2つのエリアの境界に位置するプエルト・デ・アンカレスという過酷な山頂にフィニッシュする。獲得標高はなんと3420m。

出場選手は相当疲れているはずだが、集団の中に埋もれていては栄冠はつかめない。カスパー・アスグリーン(ティーレックス・クイックステップ)、カーデン・グローブス(アルペシン・ドゥクーニンク)、ヴィクトル・カンペナールツ、シルヴァン・モニケ(ロット・デスティニー)、マウロ・シュミット(ジェイコ・アルウラー)、シモン・グリエルミ、マティス・ルベール(アルケア・B&Bホテルズ)、エンゾ・レインセ(dsmフィルメニッヒ・ポストNL)、ルーベン・フェルナンデス(コフィディス)がまず抜け出した。

さらにマルク・ソレル、ジェイ・ヴァイン(UAEチームエミレーツ)、キム・ハイドゥク(イネオス・グレナディアーズ)、ホセ・パッラ(エキポケルンファルマ)、ニコラス・ヴィノクロフ(アスタナカザクスタン)、シャビエル・イササ(エウスカルテル・エウスカディ)が加わり、その後すぐにワウト・ファンアールト(ヴィスマ・リースアバイク)とルーカ・ヴェルガリート(アルペシン・ドゥクーニンク)らが続いた。

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【ハイライト】ブエルタ・ア・エスパーニャ 第13ステージ|Cycle*2024

ブランドン・マクナルティ(UAEチームエミレーツ)、サム・オーメン(リドル・トレック)、マイケル・ウッズ、ディラン・トゥーンス(イスラエル・プレミアテック)、ハイス・レイムライゼ(dsmフィルメニッヒ・ポストNL)、ミケル・ビスカラ、シャビエル・イササ(エウスカルテル・エウスカディ)が加わり24人の第1集団が形成された。イササはすぐに脱落して23選手になった。

この逃げ集団には総合成績の上位選手がいなかったため、マイヨ・ロホを着用するオコーナーのデカトロン・AG2Rラモンディアルが第2集団の先頭でペースをコントロールする程度。130kmを過ぎたところでその差は16分50秒にまで広がる。3分58秒遅れの総合3位につけるエンリク・マスの成績を上げようとモビスターがたまらず第2集団をペースアップした。

プリモシュ・ログリッチが総合順位のタイムの差を縮める

プリモシュ・ログリッチが総合順位のタイムの差を縮める

一方、4賞ジャージのひとつ、ポイント賞ですでにグリーンジャージを着ているファンアールトが第1集団で新たな動きを見せた。その日最初の山岳ポイントであるカテゴリー3級のアルト・カンポ・デ・アルブレ(33.9km)とカテゴリー2級のアルト・オ・ポルテロ(75.2km)の頂上を1着で通過。山岳ポイントを獲得しにいくという予想外の展開を見せた。ファンアールトは前日まで山岳賞ジャージを着るUAEチームエミレーツのアダム・イェーツと22点で並んでいた。2つ目のリーダージャージを狙ってきたのだ。

逃げの選手たちは、残り50kmでそれまでの協調体制を打ち切ってステージ勝利に向けてのアタック合戦にシフト変更した。ファンアールト、ヴァイン、マクナルティ、ソレル、アスグリーン、オーメン、ウッズ、シュミット、レイムライゼは、カテゴリー2級のプエルト・デ・ルメラスの上り始めで他選手と差をつけた。ファンアールトが155.6km地点の頂上を先頭で通過。結局、ファンアールトはフィニッシュでも山岳ポイント1点を得て、この日だけで16点を稼いで山岳賞でもトップになった。

大詰めを迎えたステージ勝利争いでは、ヴァインとマクナルティが下り坂でひどいクラッシュに見舞われる。2人とも立ち上がったが、ステージ優勝の可能性はなくなった。ファンアールト、ソレル、オーメン、ウッズ、シュミットが最後の上り坂で激戦を繰り広げる。シュミットは残り5kmでアタック。ウッズがその後ろを走る。そしてカナダチャンピオンジャージを着たウッズがその500m後にカウンターアタックを成功させた。

ウッズは37歳のカナダ人クライマーだ。逃げ集団の中から最後に抜け出して4度目となるグランツールのステージ優勝を果たした。ブエルタ・ア・エスパーニャでは3回目の勝利。2023ツール・ド・フランスのピュイ・ド・ドームに続くグランツール勝利だった。

マイケル・ウッズは「この年齢で勝つのはいつもうれしいし、この勝利を味わいたい」とコメント

マイケル・ウッズは「この年齢で勝つのはいつもうれしいし、この勝利を味わいたい」とコメント

「今は最高の気分だ。私の大きな目標は、カナダのチャンピオンジャージを着てレースに勝つことだった。今シーズンはこれまで厳しいシーズンで、厳しいレースばかりだった。これで大きな解放の瞬間となった。プレッシャーが高まってきていたので、今この勝利を手にすることができて、最高の気分だ」とウッズ。

チームメートのディラン・トゥーンスとライリー・シーハンと一緒に逃げ切ることができたのは本当にラッキーだったとウッズは語った。2選手はウッズが最後に逃げ切れるようにアシストに徹した。その後、UAEチームエミレーツのヴァインとマクナルティ、ソレルが難敵となるウッズをふるい落とそうと攻撃すると、ウッズは孤立して窮地に陥った。ところがヴァインとマクナルティが下り坂でクラッシュ。「本当に怖かった。彼らが無事であることを願う」とウッズはゴール後に回想している。

「私は上りで勝つべき男だと分かっている。頭の中にはツール・ド・フランスでのあのピュイ・ド・ドームがあった。たとえ誰かに逃げられても射程圏内にいる限り、この上りは私に本当に合っていたため、勝つチャンスがあると感じていた。マウロ(シュミット)がアタックしたとき、こんなに長い距離を残して行きたくなかったけど、そうしなければならなかった。1人で走るには4kmは長かった。ブエルタ・ア・エスパーニャの3勝は本当に誇りに思う。歳を取っているから、この年齢で勝つのはいつもうれしいし、この勝利を味わいたい」

プリモシュ・ログリッチが総合順位のタイムの差を縮める

プリモシュ・ログリッチが総合順位のタイムの差を縮める

総合順位の上位選手の中ではログリッチがライバル全員、とりわけオコーナーにプレッシャーをかけてメイン集団の主導権を握った。ログリッチを擁するレッドブル・ボーラ・ハンスグローエがペースを上げ、残り約4kmでたまらずオコーナーが脱落。ログリッチは自らの手でさらに突き放そうとスパート。最終的にミケル・ランダ(ティーレックス・クイックステップ)に35秒、マティアス・スケルモース(リドル・トレック)に38秒、カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ)とダヴィド・ゴデュ(グルパマ・FDJ)に44秒、リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)とマスに58秒、そしてオコーナーに1分55秒の差をつけてフィニッシュした。

オコナーは総合成績でログリッチに1分21秒、マスに3分01秒の差をつけ、この日はなんとか総合1位をキープした。

「かなり疲れた。悲しいことだが、まだマイヨ・ロホを着ているので、少なくともそれだけはいいことだ」とオコーナー。

「正直に言うと、ログリッチがスパートしたときはすでに集団から脱落していたので、ほとんど気づかなかった。今日はあまり調子が上がらなかったので、自分の努力でコントロールしようとしていた。グラナダでは調子がよかったが、今日は本当になにもできなかった。これからどうなるかは誰にもわからない。明日のために回復に最善を尽くし、マイヨ・ロホを土曜日にもう1日着て、日曜日がどうなるか見てみたい」

ファンアールトは「今朝も山岳賞ジャージに興味はなかった。でもカーデン・グローブスが早い段階で逃げに出たのを見た。彼はまだグリーンジャージのライバルなので、先頭集団に加わることにした」と言う。

「逃げの中に入ったら、とにかく厳しい1日になるだろうと分かったから、コース上にあるにあるものをすべて掴もうと思ったんだ。ツール・ド・フランスでは、山岳賞のポルカドットジャージに近づいたこともあったけど、実際にその獲得に挑戦しなかったことを少し後悔している。だから、今日は挑戦するのにいい日だったし、そのジャージを着ることができて本当に誇りに思う。

正直に言うと、この日はステージ優勝が可能だとは思わなかった。特に、ヴァイン、マクナルティ、ウッズのようなライダーが先頭集団にいたので、彼らの方が急な上り坂のフィニッシュではるかに優れていることは分かっていた。それに、途中のポイントに集中しすぎて、最後の上りで競うためにエネルギーを無駄にしすぎてしまった。勾配が6~7%未満の場合は、かなりうまく上れる。でも急勾配になるとチャンスはない。明日はいいステージなので、峠を乗り切れるように努力して、山岳ジャージの防衛が可能かどうか見てみたい」

文・山口和幸

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山口 和幸

ツール・ド・フランス取材歴25年のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、日刊スポーツ、東京中日スポーツ、Number、Tarzan、YAHOO!ニュースなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)。2013年6月18日に講談社現代新書『ツール・ド・フランス』を上梓。青山学院大学文学部フランス文学科卒。

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