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サイクル ロードレース コラム 2023年10月17日

【Cycle*2023 ジャパンカップサイクルロードレース:レビュー】冷雨のサバイバル ルイ・コスタが復活のシーズンにさらなる彩り加える初優勝!

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ルイ・コスタが30回記念のジャパンカップを制覇

ルイ・コスタが30回記念のジャパンカップを制覇

過去にも雨のジャパンカップはあったけれど、ここまでサバイバル化したことはないかもしれない。悪コンディションこそ味方につけようと、2人の元世界王者がレースに火を点けた。冷たい雨をも打ち破る沿道からの熱気と、選手・チームの本気度。大会史に、また新たな1ページが加えられた。

第30回記念大会だったジャパンカップサイクルロードレース。10月15日の開催地・栃木県宇都宮市は夜半から降り続いた雨がレース時に強まり、これまでにないほどの消耗戦となった。そんな中、最後の最後まで最前線で戦い抜いた3人が優勝争い。これを制したのは、元世界王者のルイ・コスタ(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)だった。

「日本に到着したときからファンが出迎えてくれて、レースでも大きな歓声をもらえて本当にうれしかった。今日は上位入りできる自信があって、何の不安もなく臨むことができていたんだ。だから勝てて良かった。雨の中で応援してくれたファンのみんなに“ありがとう”と伝えたいね」(コスタ)

雨のなかジャパンカップサイクルロードレースがスタート

雨のなかジャパンカップサイクルロードレースがスタート

宇都宮市森林公園を基点とする10.3kmの周回コースで、当初は16周回・164.8kmで競う予定だったが、天候やロードコンディションを考慮し3周回減の13周回・133.9kmに変更。名物の上り、古賀志林道は雨水が滝のように流れて、選手たちはそれを逆流するかのごとく駆け上がっていくことになる。

いざレースが始まると、それまでの不安をかき消すように、選手たちが熱い姿を見せた。1周目からUCIワールドチーム勢が動き出し、プロトンを崩しにかかる。この流れに乗れない選手やチームが出てこようとお構いなし。あっという間に集団はいくつにも割れて、2周目に入るとジュリアン・アラフィリップスーダル・クイックステップ)が飛び出した。

2周目にアタックして飛び出したジュリアン・アラフィリップ

2周目にアタックして飛び出したジュリアン・アラフィリップ

「正直、雨は得意ではない。でも今日は良い成績を残したかったから、あえて前を狙う動きをしてみたんだ」(アラフィリップ)

今大会ナンバーワンとの呼び声の高かった元世界王者のアタックに、パスカル・イーンクホールンとマキシム・ファン・ヒルスのロット・デスティニー勢、アクセル・ザングルコフィディス)が追随。序盤から優勝候補の選手たちが先行する、まさか、まさかの展開となった。

J SPORTS サイクルロードレース【公式】YouTube

【ハイライト】ジャパンカップサイクルロードレース|Cycle*2023

メイン集団を追いかける新城幸也

メイン集団を追いかける新城幸也

依然攻めの姿勢をキープするアラフィリップ。3周目に用意された1回目の山岳賞に向かって、再びアタック。古賀志林道の頂上をトップ通過すると同時に、独走態勢を作り出す。これを見送ったイーンクホールン、ファン・ヒルス、ザングルの3人は実質のメイン集団(プロトンが割れに割れて、どこがメイン集団か分からないような状態ではあったが……)へと戻る。いったんレースの流れは落ち着いて、アラフィリップを1分ほどの差でUCIワールドチーム勢を中心とする集団が追う格好に。日本勢では唯一、岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が食らいつき、新城幸也バーレーン・ヴィクトリアス)は、チームメートとともに前線復帰を目指していた。

アラフィリップは、6周目に設定された2回目の山岳賞も1位通過。後ろではアタックとキャッチを繰り返されて、周回を経るたびに集団の人数が、もっと言えばコース上を走る選手が減っていく状況となる。集団に追いついた新城も、この流れで少しずつ遅れていった。

8周目まで逃げ続けたジュリアン・アラフィリップ

8周目まで逃げ続けたジュリアン・アラフィリップ

そうして自然とペースが上がっていた集団は、8周目にアラフィリップをキャッチ。レースがふりだしに戻ると、スーダル・クイックステップは今度、ジェームズ・ノックスが9周目に設定された3回目の山岳賞をトップ通過。次の周回ではまたもアラフィリップがアタックし、アグレッシブに攻め続けた。

ただ、アラフィリップの勢いは1周程度逃げたところで弱まり、単独で追いかけたファン・ヒルスもろとも集団へ戻される。このタイミングを利用して動いたのはコスタ。そのままこの日最後の山岳賞(12周目)を獲ると、合流したフェリックス・エンゲルハルト(チーム ジェイコ・アルウラー)、ギヨーム・マルタン(コフィディス)と逃げの態勢に入った。

「後ろから2人(エンゲルハルトとマルタン)が近づいてきていたので、だったら3人で行こうと。集団との差が開いていたので、3人で逃げた方が得策だと思ったんだ」(コスタ)

先頭3人で最終周回へ

先頭3人で最終周回へ

その通り、この一連の動きが決定打になった。最終周回の鐘を聞く頃には、後続との差は1分以上に。3人の中から優勝者が出ることはほぼ間違いない情勢となった。周回後半でマルタンが再三アタックしたけど、どれも他の2人を引き離すまでには至らない。

そして3人のままで最終局面へ。この中で一番若い(23歳)エンゲルハルトを前に出したコスタとマルタン。まずマルタンが早めにスプリントを開始したが、加速しきれない。逆に最後のストレートまで仕掛けどころを待ったコスタが、フィニッシュまでの150mを一番に疾走。30回目のジャパンカップの王者となった。

「めまぐるしく変化するレースで、雨と寒さがそれに追い打ちをかけた。どれだけ耐えられるかと集団内の良い位置を押さえておくことが重要だった。集団にはチームから3人が残っていたので、数的に有利だったことも味方したね。これ以上ないシーズンの締めくくりになったよ!」(コスタ)

ジャパンカップ初制覇にVサインのルイ・コスタ

ジャパンカップ初制覇にVサインのルイ・コスタ

2013年にロード世界選手権を勝ち、マイヨ・アルカンシエルにも身を包んだことのある37歳。その年にはツール・ド・フランスさいたまクリテリウムにも参加していて、それ以来の来日だった今回。「良い印象しかない」という日本で、最高の走り。今季はブエルタ・ア・エスパーニャ第15ステージで勝利を収めるなど、シーズンを通して好調を維持。思い通りに走れない時期が長かったが、ここへきて完全復活を印象付けている。

そこで気になるのが、来季に向けた動向。今大会前にはヨーロッパのサイクルメディアを中心に移籍の可能性が報じられていた。「来年もUCIワールドチームで走るのは間違いない」とコスタ自身が語ったとされる報道もあったが、この走りで一層注目が高まっている。

表彰台の頂点こそ逃したものの、エンゲルハルトが2位、マルタンが3位。それぞれに将来が有望視されるパンチャーと、2年連続のツール・ド・フランス個人総合トップ10。冷たい雨の中でも、その力が反映された結果になったと言えよう。

なお、日本人トップの15位で走り切った岡本がアジア最優秀選手賞を獲得。出走107人、完走は半数以下の48人と、トップライダーにしても攻略が難しかった雨の宇都宮で、世界の一線級に対峙すべく奮闘した。

ジャパンカップクリテリウムはエドワルト・トゥーンスが3連覇

ジャパンカップクリテリウムはエドワルト・トゥーンスが3連覇

また、ロードレースに先立って14日に行われたジャパンカップクリテリウムは、エドワルト・トゥーンスリドル・トレック)が前人未到の3連覇。宇都宮の中心部を走った33.75kmのハイスピードバトルも終始UCIワールドチーム勢が中心に展開し、最後は大混戦からトゥーンスが頭一つ抜け出した。宇都宮でのスプリントを知る男が、そのスピードと経験を生かした。何より、新型コロナによる中止期間(2020年・2021年)をはさんでの連覇に、大きな価値が現れている。

“This is it, the 30th Japan Cup”を掲げた第30回のジャパンカップ。宇都宮と、日本と、世界とがつながり、この日ばかりはサイクルロードレースシーンの中心地となっていた。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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