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サイクル ロードレース コラム 2022年3月20日

【Cycle*2022 ボルタ・ア・カタルーニャ:プレビュー】ジロを目指す強豪たちが集結!リチャル・カラパス擁するイネオスが完全支配を目論む。若き才能や、41歳アレハンドロ・バルベルデにも注目

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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前回大会表彰台を独占したイネオス・グレナディアーズ

前回大会表彰台を独占したイネオス・グレナディアーズ

コスタ・ブラバに広がる地中海を眺めながら、カタルーニャ海岸山脈で殴り合い。昨シーズン記念すべき100回大会を祝ったボルタ・ア・カタルーニャは、伝統的に上れる男たちを輝かせてきた。数あるワールドツアー大会の中でも指折りの山岳ステージレースで、2022年大会も、とっておきの登坂バトルが繰り広げられる。

新たな100年へと走り出す今年、新たな開幕地が選ばれた。過去10年間初日の舞台となってきたビーチリゾート地のカレリャを離れて、3月21日の月曜日、港町サン・フェリウー・デ・ヒショロスへとプロトンは集結する。

ただステージ地を変えても、コースの性質は、あえて変えなかった。過去2年間は初日に逃げ切りが実現し、特に昨大会はぎりぎりの展開だった。だからこそ今年も、第1ステージからそんなどきどきはらはらを演出すべく、適度な起伏をコース上に散りばめた。逃げ切れるかもしれない、逃げ切れないかもしれない。そんな期待を込めて。

2日目はなんとフランスへと突入する202.5km。長い国境越えのステージ中盤には、3つの3級峠が待ち受けるものの、終盤は比較的フラット。ただしスプリンターを連れてくるチームが圧倒的に少なく、開幕2日前の仮スタートリストを眺めた限りではマイケル・マシューズとソンニ・コルブレッリ程度だから……、セオリー通りの大集団スプリントとは行かない可能性も大いにあり。

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ちなみにスペインを飛び出すけれど、カタルーニャを飛び出すわけではない。フランス南西部のこの一帯は北カタルーニャ地方に属する。だからフィニッシュ地は公用語であるフランス語ではペルピニャンながら、本来はカタルーニャ語でパルピニャーと呼ぶ。

67年ぶり3度目のカタルーニャ一周を歓迎するこのパルピニャーから、難関山頂フィニッシュ2連戦に突入する。舞台はピレネー。しかも近年の「勝負地」とも言える、ラ・モリーナだ。

まさかの3日目でいきなり大会のクライマックスを迎えてしまうのかもしれない。なにしろラ・モリーナは2014年大会から6大会連続で区間フィニッシュを迎え入れ、うち4回が、この山の勝者=大会総合覇者だった。

ステージには3つの1級峠がそびえ立つ。標高1565mの1級モン・ルイ山頂を通過し、スペイン本土へと帰り着くと、そこから1級コリャダ・デ・トセスへ。そして1級ラ・モリーナ山頂へ。全長12.1kmの山道は、平均勾配こそ4.4%ながら、前半5kmは7〜8%台の厳しい勾配が続く。

つまり最終2峠は、2016年や2017年大会と同じ順番で登る。ただしラ・モリーナの二重登坂を行った過去2大会と違って、今回は1度きり。水曜日に早々と総合争いを終わらせてしまいたくない、そんな開催委員会の意志の表れかもしれない。

だからこそ木曜日の第4ステージも、とびきり厳しいコースが用意された。やはり3つの1級峠が選手たちの前に立ちはだかり、しかも終わりに待ち構えているのは、今シーズン初めての標高2000m超え!

ラ・モリーナへの帰還が2年ぶりならば、この日のフィニッシュ地、1級ボイ・タウイの山頂がカタルーニャ一周を迎え入れるのは実に20年ぶり。ただ20年前にこの山道で争われたのは、10.8kmの個人タイムトライアルだった。2022年のプロトンは166.7kmのコースの締めくくりに、全長13km、平均勾配6%の山道をよじ登る。

そんな過去20年間で、ボルタ・ア・カタルーニャの総合優勝は、7割5分が第4ステージまでに決している。最終日にまでもつれ込んだのはたったの1度だけ……。だからといって残り3ステージに、まるで動きが見られないわけではない。

再び海辺へと帰り着く第5ステージこそ、平地巧者が本気で頑張らねばならないが、第6ステージは再び選手たちに上れる脚を要求する。下れる脚もまた、必要だ。スタート直後に1級山頂が待ち構えるのだとしたら、残り28km地点にある最終山頂からのダウンヒルは、凄まじいヘアピンカーブの連続。「白地に胸に3本の緑横縞」総合リーダージャージを着る者は、反逆者たちのクレイジーな攻撃に耐え切らねばならない。

険しい山岳コースが選手を待ち受ける

険しい山岳コースが選手を待ち受ける

最終日の伝統のバルセロナ最終ステージだって、決して平穏には終わらない。まるでアルデンヌクラシックの予習のような、モンジュイックの丘(2km、5.7%、8%)を、全部で6回上り下りしなければならないのだから!

こんな7日間の激闘に、ワールドツアー全18チームを含む24チームが参戦する。1年前にアダム・イェーツ、リッチー・ポート、ゲラント・トーマスで上位3席を独占したイネオス・グレナディアーズは、今年もリチャル・カラパス、ポート、カルロス・ロドリゲス、パヴェル・シヴァコフ……と再び表彰台を完全支配できるメンバーで大会に乗り込む。

カラパスがジロ制覇を目論むように、今季最初のグランツールを目指す強豪たちにとっては、迫りくる本番に向けた大切なステップでもある。サイモン・イェーツ、トム・デュムラン、ジョアン・アルメイダ、ヒュー・カーシー、ジャイ・ヒンドレー、ジュリオ・チッコーネ、エステバン・チャベス、ギヨーム・マルタン……と、イタリア組がこぞってスペインに上陸だ。

昨ツール・ド・ラヴニール覇者にして、この2月にエトワール・ド・ベセージュ総合3位に飛び込んだトビアス・ヨハンネセンは、人生初のワールドツアーステージレースに挑む。またアンダーカテゴリーでこのヨハンネセンと激しくしのぎを削ったフアン・アユソやカルロス・ロドリゲス等々の、若き逸材たちにも注目したい。

もちろん、彼らの約2倍の人生を生きてきた41歳アレハンドロ・バルベルデは、総合3勝・区間9勝と栄光を積み重ねてきた祖国の今大会で、最後にもう1度栄光を味わいたいはずだ。

そうそう、カタルーニャと言えば、忘れてはならないのがトーマス・デヘント。ステージ6勝、総合リーダージャージ着用4日間、山岳賞とポイント賞をそれぞれ1枚ずつという現役屈指の逃げ男は、1年前の最終日で逃げ切りを決めたように……今年もなにかきっとしでかしてくれるに違いない。

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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