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サイクル ロードレース コラム 2017年7月13日

ツール・ド・フランス2017 第11ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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写真:落車に巻き込まれたコンタドール(左)

ラスト22km地点には、もう1つ不幸な落車が待っていた。アルベルト・コンタドールとアシスト役ミヒャエル・ゴーグルが、共にアスファルトへと投げ出されたのだ。グランツール7勝の大チャンピオンにとっては、第9ステージの2度の落車に続く、3度目の不幸だった。臀部を強打し、「今ツールは僕を精神的に限界まで追いつめてくる」(コンタドール、チーム公式リリースより)と改めて実感した。幸いにもモチベーションはいまだ衰えず。ピレネーを無事に乗り切って、アルプスで仕掛けたい……と不屈の王者は誓う。

メイン集団が加速と落車を繰り返したのだとしたら、逃げ集団のボドナールは、残り28km地点で大きな賭けに出た。他の2選手の背後から、突如として弾丸のように飛び出して行ったのだ!!

「ラスト20kmはまるで長くて難しい『スプリント』だった」(ボドナール、ミックスゾーンインタビューより)

ちょうど1年前の、まさに第11ステージでは、リーダーのペーター・サガンを連れて強風の中を飛び出した。あの日はマイヨ・ジョーヌが一騎打ちスプリントを挑み、マイヨ・ヴェールがあっさり蹴散らした。しかし今年、スロバキアの怪人は、第4ステージで大会失格となった。幸か不幸か、おかげでボドナールは逃げに乗る自由を得たし、思う存分得意のルーラー力を発揮するチャンスも与えられた。

「ラスト2kmで後ろを振り返った時、もしかしたら行けるかもしれない、と考えた。でも最後の500mは向かい風に阻まれた。プロトンはとてつもないスピードで追いかけてきた。あと200m短かったら……。200kmも前方を走ったのに、栄光まで、たったの200m足りなかった」(ボドナール、ミックスゾーンインタビューより)



写真:エスケープした3人の選手

敢闘賞モノの逃走が飲み込まれると同時に、集団はそのままスプリントへと雪崩れ込んだ。やはり第4ステージを最後に大会を離れたスプリントリーダー「カヴ」の代わりに、平坦ステージを任されることになったエドヴァルド・ボアッソンハーゲンが、真っ先にもがき始めた。マシューズやディラン・フルーネウェーヘンも、ここぞとばかりに加速を切った。

しかし、今大会いわゆる「重役出勤」を繰り返しているキッテルが……、つまり例年よりスプリント距離を短くして、フィニッシュラインぎりぎりで突如として先頭へと躍り出る作戦を採用してきたドイツ人スプリンターが、またしても余裕たっぷりに一等賞をさらい取った。

「今大会は『後ろの方から飛び出す』という作戦が上手くいっている。ただし、どんな作戦でも、リスクは伴うもの。僕の場合は、前に出るタイミングが遅すぎる恐れもあるし、後方に封じ込められてしまう可能性もある。今のところは毎回上手くいっている。スプリンターには作戦も必要だけど、なにより、脚がなければダメなんだ」(キッテル、公式記者会見より)

緑色のジャージを誇らしげに身にまとい、2017年大会6度目のスプリントフィニッシュで、実に5度目の勝利を手にいれた。キャリア通算ではツール14勝目。あとわずか1勝で、ツール区間勝利数トップ10入りを果たす。

……ただおそらく、次の休養日明けまでは、キッテルの勝利数カウンターが回ることはないだろう。その代わりに、ピレネーの2連戦で、総合争いが本格的に勃発する。マイヨ・ジョーヌ着用日数51日目=史上単独3位のクリス・フルームを、18秒差ファビオ・アル、51秒差ロメン・バルデ、55秒差リゴベルト・ウランが追い落としにかかる。

☐ ツール・ド・フランス 2017
ツール・ド・フランス2017 7月1日(土)~7月23日(日)
全21ステージ独占生中継!

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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