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サイクル ロードレース コラム 2018年2月28日

【パリ~ニース プレビュー】シーズン本格開幕!スタースプリンター集結!春めいたコートダジュールで、マイヨ・ジョーヌを纏うのは誰か!?

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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北極圏からの冷たい風が猛威を振るい、開幕4日前の朝にも、ニースの浜辺に白い雪を降らせた。だけどパリ~ニースが、きっと今年も、プロトンに春を連れてきてくれる。一行がパリ郊外を走り出す週末までには、予報によると、氷点下の世界とはきっぱり別れを告げている。しかも雨模様の北を抜け出すと、地中海岸では明るい陽光が待っている。「太陽へ向かうレース」の別名は、伊達ではないのだ。

「ミニツール」という愛称でも良く知られるが、今年に限って言えば、本家ツール・ド・フランスでもめったに見られないほどのスタースプリンターが勢揃いする。キッテル、グライペル、クリストフ、デゲンコルプ、フルーネウェーヘン、ヴィヴィアーニ、トレンティン、デマール、ブアニetc……。まるで玉突きのようにチームを移籍した3人組(ヴィヴィアーニ→キッテル→クリストフ)の新列車の仕上がりは見ものだし、因縁のブアニvsデマールならぬ、同じチーム内での「絶対リーダー」ブアニvs「新リーダー」ラポルトの動向も気になるところ。昨夏シャンゼリゼで24歳のフルーネウェーヘンが栄光を掴んだのだとしたら、中東でキッテルその他を蹴散らして優勝をさらった23歳のフィル・バウハウスが、今大会はトップスプリンターの座に駆け上がってしまうかもしれない。

ただ実のところ、「ピュア」スプリンターたちに与えられるチャンスは、実際は大会2日目しかなさそうだ。パリ郊外で行われる第1ステージで勝つための条件は、「上れる」という枕詞の付く脚質であること。なにしろラスト1.9kmは平均勾配6%の上り坂。本物のパンチャーたち、つまりアラフィリップやゲランス、D・トゥーンス、ヴァルグレン等々の、アルデンヌクラシック表彰台経験者たちと、対等に渡り合わねばならない。しかもニースでの総合リーダーの座を狙っている選手たちが、いきなり先頭に躍り出る可能性さえある。

幸いにも2日目は、ステージを通して起伏はほとんど登場しない。それでも軽い上りフィニッシュだから、それでもちょっとしたパンチ力は必要だ。この地域特有の強い風にも要警戒。3日目は210kmと長距離な上に、ステージ終盤に3級峠が3つ続けて登場する。しかも3つ目の山頂はフィニッシュ手前約10km。もしもスプリンターが勝ちたいなら、アシスト総出で逃げ集団のコントロールからエースの山岳牽引、最終峠では上りも下りもアタック潰し……と懸命に働かねばならないだろう。

4日目の18.5kmの個人タイムトライアルから、総合争いの幕が切って落とされる。いよいよザカリン、チャベス、S・イエーツ、モレマ、フグルサング、マーティン、ヴァンガーデレンといった、グランツールライダーたちの出番だ。将来が楽しみな24歳ソレールと22歳オーメンや、バルギル、カルメジャーヌ、ギャロパン、ローラン、アラフィリップというひときわモチベーションの高い地元フランス勢も、勝負を活気づけてくれるだろう。もちろん過去6大会中5大会を勝ち取ってきたスカイ軍団こそが、戦いを完全制圧しようと試みてくるはずだ。

2018年大会の南仏バトルは、いつもより1日早く始まる。ただ第5ステージ中盤に控える1級ラガルド・ダプト峠(全長11km、平均7%)は、ほんの足慣らしに過ぎない。翌6日目は「リエージュ風」と呼ばれるほど細かな起伏が続く。しかもステージ折り返し地点から4つの2級峠をこなした上に、フィニッシュ手前約10kmから1級コル・シュル・ルー(1.8km、10%)をよじ登る。この小さな鷹の巣村から一旦下った後でさえ、再びフィニッシュまで上り詰めねばならない。ちなみにこの日最後のスプリントポイント、サン・ポール・ド・ヴァンスはピカソやシャガール、コクトーといった芸術家たちに愛された村として有名で、フィニッシュ地のヴァンスには、アンリ・マティスのデザインした美しき礼拝堂が建っている。

連日上りフィニッシュではあるけれど、7日目こそが本物の山頂フィニッシュだ。海抜19mのニースの海岸通りから走り出し、途中4つの難関峠を経由して、ラストは標高1500mのヴァルドブロール・ラ・コルミアーヌへ。「ニースから車で1時間!」が謳い文句のスキー場へと向かう、登坂距離16.3km、平均6.2%の山道で、果たして総合争いは一気に決着がついてしまうだろうか?

もちろん大会主催者の希望するシナリオは、最終日まで勝負がもつれこむこと。「大どんでん返し」を企む選手が、スリリングなレースを創り出してくれること。ただでさえニースのプロムナード・デ・ザングレ(英国人の散歩道)では、毎年のように、デラクルス、ウェレンス、ガロパン、ヴィショ、シャヴァネル、デゲント……と勇猛果敢な選手たちが雄叫びを挙げてきたものだ(そして彼らは今年も何かをしでかしてくれるだろう)。しかし過去2大会の最終日は、あのアルベルト・コンタドールこそが、戦いを大いにかき回した。いずれも逆転優勝にはあとわずか及ばなかったが、最後のフィニッシュラインを通過する瞬間まで、最終結果の行方はまるで分からなかった。

今年は110kmという短いステージに6つの峠がギュウギュウに詰め込まれた。ただ過去4年とは違い、大会のラストを飾るのは、おなじみエズ峠ではない。1級エズ後に高速ダウンヒルをで一旦ニースまで駆け下りたら、もう一度選手たちはエズの中腹=2級キャトル・シュマンまで上って下りる。小さなコース変更が、優勝争いにどんな変化を生み出すか。すっかり春めいたコートダジュールで、マイヨ・ジョーヌを身にまとうのは誰だろうか。

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■パリ~ニース
3月4日 (日) 午後11:20~ 生中継&LIVE配信
■注目選手情報
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※随時更新予定

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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