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全文公開! オータムリーグ出場選手インタビュー:青木遥平(日本体育大学4年 187cm/SF/中部大第一高校出身)
バスケットボールレポート by 青木 崇青木遥平(日本体育大学4年 187cm/SF/中部大第一高校出身)
日本体育大の試合を見ていると、大きな声で指示や激励し続ける選手を目にすることができる。彼の名は青木遥平。プレーでチームを牽引したり、観客を沸かすようなことはあまりないかもしれないが、チームが一体となって戦うということでは、日体大に欠かせない存在となっている。チームは1巡目序盤でムトンボ・ジャンピエールの故障離脱で苦境に直面したが、2巡目は6勝2敗と調子を上げ、青木も活躍の機会を増している。70対64のスコアで16勝4敗だった上位の日本大学に競り勝った翌日、J SPORTSのインタビューに応じてくれた。(取材日:10月24日)
Q まずは自己紹介をお願いします。
「日本体育大学4年生の青木洋平です。よろしくお願います」
Q オータムリーグはここまで10勝11敗の成績です。戦いぶりをどう評価しますか?
「1巡目では結構けが人も増加したり、チームの状況的にあんまりいい雰囲気とは言えなかったんですけど。2巡目に入ってからだいぶケガ人も復帰してきたりとか、チームもまとまってきて、勝ちという結果にも表れるようになったり、負けてしまっても雰囲気的に次に繋げようという雰囲気になってきてるので、これからあと残りの5試合でどんどん上げていけるように頑張れたらいいなと思ってます」
Q ムトンボ・ジャンピエール選手が故障で離脱したことで、なかなか勝てない時期が続きました。高校時代から留学生と一緒にプレーしてきましたが、彼の存在が特別だと思える理由があれば、話してもらえますか?
「ジャンピーは他のチームの留学生に比べて、やっぱりウイングスパンもそうですし、運動能力とかもすごく長けてると思います。彼の性格の部分で少し痛いところがあってもチームのために頑張るとか、そういう真面目な部分がすごくチームのみんなから愛されているし、信用されている部分だと思います」
Q 3日連続で試合があるなど、今まで経験したことのないタイトな日程で戦っています。コンディションで気をつけていることや心がけていることなどありますか?
「自分が1年生のときにはリーグ戦も2巡で22試合ありました。そんなにプレータイムはなかったものの、連戦が続くという厳しさとかしんどさっていうのを味わいました。2年、3年のときにはそれができず、そういったしんどさをちょっと忘れてた部分もあったんです。4年生になって空は、1年生のときよりもさらに試合数も増え、素直にしんどいなって感じるときも、朝起きたときに体痛いなって思うこともあります。試合が続くからといって、別にいつもと違うことをしたりとかするつもりは別になくて、いつも通り練習前と練習後にちゃんとケアをして試合に臨むっていうルーティン、いつもと同じルーティンであります。特別に試合だからといって変えることなく試合を迎えることで、気合が空回りしたりとかそういうのをなくせるように僕はしてます」
Q 2、3年生のときはコロナで活動できない時期を経験したことからすれば、過密日程でも試合をできることへの喜びはすごくありますか?
「そうですね。公式戦がしたくてもできない以上に、もうバスケットがまずできないという状況を味わったので、バスケができないという毎日、1日1日がすごく長く感じました。何をしていればいいかも正直わからなくて、モチベーションも上がらないという状態を味わったので、勝ち負けでもちろん悔しいと思ったりすることもあるし、試合で自分の思うようにプレータイムが伸びなかったりとか、プレータイムがあっても自分の思うような結果が出せなかったりということで、メンタル部分で悔しいと思ったりするときもあるんです。でも、悔しさとかを感じられることとか、試合で勝ったりとか、自分が結果を出してうれしいと感じれる時間がすごい今は幸せだなと思ってます」
Q オータムリーグを戦う中でチームが成長していると感じるところは?
「Aチームは今4年生が3人で、下級生がどっちかというと多いんですけど。1、2年生は今年全国大会の新人戦があったように、関東の新人戦とかは全国でもすごくいい結果を残してくれました。その試合とかその期間中の練習とかを見て、上級生がすごく刺激を受けましたし、おめでとうという気持ちの反面、やっぱ自分たちがもっと頑張らなきゃといういう焦りの気持ちとかも生まれました。
最初は1、2年生が結果を出した分試合のプレータイムが伸びたりして、上級生がそれに少し不満に感じるではないですけど、その状態で勝ちっていう結果が見えてこなくて、上級生が少し腐りかけてしまうっていうような状態のときもあったんです。でも、だれが出ても同じプレーができるようにというか、もちろんタイムシェアをして勝てた方がいいチームだと思うので、あんまりよくないかもしれないんですけど、下級生についていくっていうような感じで、本当いい結果を出してくれた背中を見て上級生たちがもっと頑張らなきゃという焦りの気持ちをどんどん前面に出していけるようになりました。
下級生のおかげで上級生もすごい気持ちの面でも、プレー面でも負けたくないっていう気持ちで伸びてきたと思います。下級生も逆に上級生がそういう気持ちでやっていると勝手についてきてくれるような状態になったので、試合中でも練習中でもコミュニケーションできるようになったりとか、1、2年生と3、4年生の間でも日常生活の会話が結構増えてるので、バスケ以外のところでも仲が良くなってきたというか、そういうことが何かバスケットにつながっているのかなと思ってます」
Q 今の話につながるかもしれませんが、最上級生としてチームにどんなアプローチを心がけていますか?
「僕は試合に出て得点をだれよりも取るとか、すごいお客さんを魅了するようなかっこいいプレーができるタイプではないです。そういう得点とかで引っ張っていく人ももちろん必要だと思いますが、メンタル面で落ちそうになってる子を頑張って支えてあげるとか、チームとして落ちていっている状況のときにみんなに声掛けして助けてあげるとか、そういう役目を自分が積極的にできたらいいなと思っています。それを1巡目が終わって2巡目になってからより意識できるようになってきてるので、それがチームにとってプラスに働いてるかなとは思っています」
Q 試合中は常に声を出し続けています。自分が声を出し続けることに大きな意味があると感じているわけですね?
「そうですね。やっぱりチームが落ちている状況ですごい葬式みたいになってしまうと、だれもがテンションも上がっていかないと思うし、モチベーションも上がらないと思います。だれか一人でも“ここもう1回頑張ってやろう”という人がいれば、自然と周りもモチベーションをもう1回上げやすくなるのかなって思うので、そういう部分で自分がそういう役目になれたらいいなと思っています」
Q 声を出し続けることを始めるきっかけはありましたか?
「自分はやっぱり小学校からずっとバスケットしていて、高校はすごい上を目指してやっていけるところ頑張ってやっていけたんですけど、中学まではそんな全国大会とかそういう上の世界を目指すような場所ではなかったです。もちろん勝ちたいと思ってやってましたけど、どっちかっていうと楽しくバスケをしていて、中学で止めてもいいかなってぐらいな感じだったんです。
だけど高校にいろんなご縁があって入学させてもらって、やっぱりバスケットがうまいだけでは試合に出られないという状況があったので、その中でやっぱり日頃の練習とか試合とかでバスケットだけじゃなくて他の部分で何か引っ張れる、周りのみんなに良い影響を与えることは何かないかなって考えたときに、やっぱり声出し続けることとか、チームを引っ張ることっていうのが自分にとってもチームにとってもプラスになることだなって考えたんで、それを高校のときは実行するようにしていました。
それがきっかけで声を出すことが大事と思うようになったんですけど、大学に入ってから環境の変化とかで少し怠けてしまったりとか、高校の最上級生から大学の新しい世界に入って一番下からやっていく中で上の人たちに甘えてしまい、声を出すことという大事なこと忘れていました。そういうのが自分のバスケットにも出てしまったと思うので、今4年生になりましたが、もっと早く気づけばもっと良くなってたと思うんですけど、今気づけたことがまだよかったなと思えているので、それを継続できるようにしたいです」
Q きっかけとなった中部大第一高校時代、常田健コーチはすごく個性のある指導者だと思います。どんなコーチでしたか?
「高校在学中はやっぱりもう監督の存在だけですごく怖いと思っていたし、監督がいるっていうだけで正直びびっていました。たわいもない会話とかそういうことを一切できないような監督だったので、最初はすごいやりづらいとまではいかないですけど、やっぱり壁を感じてて、監督の言っていることに本当についていっていいのかというか、これは間違ってないのかなって思うことも結構あったんです。
やっぱ小中でバスケットをしてきて、もちろんいろんなコーチとかが関わってきて、やっぱり監督っていう人は常田先生みたいに、なんかもう威厳があるというか、悪い言い方をすると本当その存在だけで怖くて縮こまってしまうような人…。でも、そんな人の目の前で自分のプレーを出し切らないと生き残っていけないって世界でやってきたので、すごくメンタルを鍛えられたと思いますし、バスケットの指導とか人間性の指導もすごい何もかも正しいことを言っていたと思います。
そういうのに気づいてからは本当に常田先生を信じてやりたいと思ったし、また先生に厳しく言ってもらったからこそ、自分に厳しくできるようになったと思っています」
Q 中部大第一高校でプレーしてよかったことやいい思い出は?
「自分たちが高校3年生のときはインターハイが地元の愛知県での開催だったので、元々愛知インターハイを優勝しようっていう目標でみんな入学してきました。愛知インターハイのときはキャプテンの中村(拓人:大東文化大)がジャパンの活動で抜けてしまっていたので、自分がキャプテンをやらしてもらったんです。
正直、自分のバスケットのレベル的にはそんな決勝まで行って優勝できるほどのプレーヤーじゃなかったんですけど、みんな同じ代の一人一人、ベンチに入ってない子たちも全員がすごく仲良くて、キャプテンの中村も含めて本当にチームっていう感じでした。一人一人のスキルとかではとても優勝できるようなチームと言われなかったと思うんですけど、チーム力で本当に頑張って這い上がれて決勝まで進めました。
決勝ではちょっと負けてしまったんですけど、中部大第一は全国ベスト4が最高の歴史でした。それを超えての準優勝、ウインターカップで1位を目指してやっていこうというチームになれたので、それがすごいいい思い出です。愛知県で開催されたインターハイで僕は岩倉市出身で本当に地元で、中学校の友達がみんな見に来てくれたので、それが今でもすごい頭に残ってます」
Q キャプテンは古橋正義選手ですが、リーダーシップを発揮しているのは青木選手かと思います。自身が参考にしているリーダー像って何かありますか?
「自分が参考にしているリーダー像っていうのはあんまりないんですけど、自分の中で“こうなりたい”っていうのは、先ほど言ったようにバスケで引っ張っていけるプレーヤーではないので、それ以外のところでチームとして何かまとまれる要因になれたらなって思っています。もちろん、プレーではすごい迷惑かけることも多いし、周りからしたら何してんのってなるときもたまにあるんです。でも、みんなからは私生活でもすごい関わりやすいと思ってもらえるような存在になれてきてるなと思うので、キャプテンじゃないですし、最上級生という感じも多分周りからしたらしないと思うんです。でも、本当に友達のようであっても、ちゃんとやるときはすごくついて行きやすいような存在になりたいと思っています」
Q 古橋選手はウインターカップ決勝でマッチアップした後、大学では同級生として切磋琢磨してきたと思います。彼は青木選手にとってどんな存在ですか?
「正義は高校のときはそこまで自分は正義と知り合いぐらいで、別に仲いいとかっていうわけじゃなかったんですけど、同じ大学に行くということで話すようになりました。あういう厳つ目というか、正義はそういう感じがあるので、周りからしたらとっつきにくそうと思われるかもしれないです。
でも、すごい正義はもう多分だれよりもチームのことを考えていて、チームのために自分がどういう役割をしなきゃいけないとか、そのためだったら点が取れなくても泥臭いこととかを一生懸命やりたいっていうタイプです。すごい真面目そうに見えないんですけど、めちゃくちゃバスケットに対して真面目。たまに弱音というかマイナスの発言をしちゃうときとかもあるんですけど、多分マイナスの発言をした自分を悔しいと思って一生懸命練習してたりとか、そういう姿が見えるので、正義のチームで勝ちたいっていうふうに思えるようなキャプテンです。
もちろん私生活では厳つい、ちょっと怖いこと言ったりとかするときもあるんですけど、それが正義っていう感じで、正義のこと嫌いっていう人は多分一人もいないと思います」
Q 自分の中で一番自信を持っているプレーとは?
「自分は高校1年生のとき入学して本当にディフェンスができなくて、“このチームはディフェンスできないと試合に出れないよ”とずっと常田先生に言われてきたので、練習後の自主練とかディフェンスができるようにひたすら練習しました。高校3年生ときはディフェンスを評価してもらって試合に出してもらうようになりましたし、それはすごい自分にとって自信に繋がっています。高校のときにいろいろな相手のエースとかとマッチアップできるようになってきたことがさらに自信になったので、それは今でもやっぱり周り(選手)に比べてディフェンスはすごく自信がありますね」
Q 春のトーナメント以降、夏の間にレベルアップしたいと思って取り組んだことはどんなことですか? その成果はオータムリーグで出ていると感じますか?
「自分はシュートどん狙ってほしいというポジションで(試合に)出してもらってるので、やっぱり自信を持ってシュートを打って確率良く決めていかないと、やっぱチームにとっての仕事はできてないってことになると思います。シューティングする時間は多く自分の中で作ってきたし、試合に出て自信を持ってシュートを打てるように試合でよくあるシチュエーションでシューティングをしたりとか、シューティングの数を純粋に増やしたりとか、そういうふうにしてきました。
公式戦になると緊張とかでシュートを打てるタイミングで打てなくなったりとか、そういうときが春夏もそうですし、オータムリーグの最初の方とかもありました。それでも自分がシューティングしてきたということを思い出し、思い切って打つようにしていますし、最近は確率良く決まるようになってきています。試合でのプレータイムがなくても、シューティングすることを止めなくてよかったなと思っています」
Q 先週末は筑波大戦で32分13秒プレーし、競り勝った日本大戦も9点とオフェンスで貢献度が上がったと思います。シューティングを一貫してやり続けた成果が出てきたことと、残りの試合に向けて大きな自信になりましたか?
「はい。やっぱり今までの青木は3ポイントを打つだけというような、周りからしたらそういうふうに見られていたと思うし、自分の中でもそれが仕事だからそれをやってればいいっていうふうに思っていたんです。でも、相手からしたらそれだけじゃ怖くないし、自分がもしディフェンスの立場で“シュートを打たせなければこいつは大丈夫っ”という風に思うので、思い切ってシュートを狙っていく分チェックとかも激しくなってくるので、その時にドライブしたりといったオフェンスの基本的なこと、リングにアタックするっていうことを忘れちゃいけないと思っています。シュートを思い切って打てるようになって、それが決まるようになってきたことでドライブとかリングにアタックできるようになったこともつながっているかなと思います」
Q 1年生の時から出場機会を得ているわけですが、藤田将弘コーチの下でプレーして学んだことや印象に残っていることはありますか?
「藤田さんはチームの練習だけでなく、自主練をしていることとかもちろん見てくれていると思うんですけど、試合で結果を出さないといくら練習してても結果を出した人をやっぱり使うとずっとおっしゃっていました。もちろん自主練してて試合で結果が出ない人よりも、何も練習しなくても試合で結果を出す人を使うっていう方だったので、自分はそれを最初重圧に感じたというか、(僕のほうが)練習しているのにあいつの方が試合に出てるとかそういうふうに思っていたときもありました。
やっぱり藤田先生が言うように結果出すことがチームの勝ちに繋がることだし、チームの勝ちを一番に考えていると思ったので、練習もそうですけど、結果につながる練習っていうのを自分の中で意識できることになりました。“結果を出せ、結果にこだわれ”と藤田先生がおっしゃってるのはだいぶ印象に残ってます」
Q マッチアップするのが楽しい、ワクワクするような選手はいますか?
「やっぱり毎試合平均で20点取っている選手とか、得点ランキングが上の選手とか、毎回のようにチームハイ(の得点)を取っている選手、要するにエースと言われるような選手とのマッチアップになるときは、もちろん緊張するし、大丈夫かなって不安になるときもあるんです。でも、本当に止めて1ケタに抑えたときに本当にもう心の底から“よっしゃ!”って思えるので、そういう相手とマッチアップできるときは、いつもより気合が入るし、いつもより何か足も勝手に動くかなって感じがします」
Q 先週末は能力の高い選手たちとマッチアップして、昨日の試合に勝てたことがすごくうれしいですよね?
「そうですね。日大さんは本当しばらく公式戦で勝てていなかったですし、勝てるイメージが日体としてもだいぶ薄れてきていると思うので、そういう中で昨日勝てたというのは、すごい今後のリーグやインカレに向けてすごい大きなことだと思います」
Q オフコートの話題を一つ。アルバイト先でラテアートに挑戦中という情報が入ったのですが、本当ですか?
「はい、そうです。今練習しています。めちゃくちゃ基礎的なんですけど、ハートのアートはだいぶ安定してきたなと思います。(ラテ作るのは)めっちゃ楽しいです」
Q では改めて、残りのオータムリーグに向けての意気込みをお願いします。
「やっぱり1巡目の悪いイメージっていうのを、だいぶこの2巡目に入ってからみんないいイメージに繋げてくれていると思います。本当にケガなく一つでも順位を上に上げて、インカレにつなげられるようにしたいです。もちろん、インカレ出場というのはもう最低限だと思っているので、一つでも順位を上げて、自分たちの目標であるインカレで日本一になるっていうのを叶えるために、リーグの1試合1試合をインカレ優勝に向けてつなげられるような内容にして終えるということが目標だと思います」
Q この24時間でちょっとだけハッピーだったこと、何かありますか?
「実は朝からバイトに入ってたんですけど、ちょっと朝寝坊してしまい、5分ぐらい遅れてしまい、自分が悪いんですけど気持ち的に萎えていました。店長がお昼からの出勤だったんですけど、午前中にカフェでバナナのパンのケーキを買ってきてくれていたことが少しハッピーでした。美味しかったです」
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青木遥平(日本体育大学4年 187cm/SF/中部大第一高校出身)| 第98回関東大学バスケットボールリーグ戦 出場選手インタビュー
文:青木崇
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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