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この負け方だけが嫌だった、そう言ってもいいくらいの内容だった。まさに八方ふさがり。いくつもの手を打ってなお、一度も試合のペースを握れなかった。ウインターカップ2018第71回全国高校バスケットボール選手権大会は24日に第2日を行い、男子の近大附属(大阪)は61-97で前橋育英(群馬)に敗れて1回戦敗退に終わった。近大附属の大森健史監督は「完敗。何も良いところが出ず、負けてしまった。相手が強かったけど、こんなゲームは初めて。どことやっても、90点台を取られることなんて、ない」と愕然としていた。
内容がショッキングだった。立ち上がりは、最悪。前橋育英は、パスもドライブもスピーディー。3ポイントシュートの精度も高く、絶好の滑り出しを見せた。一方の近大附属もパスワークは良かったが、簡単なシュートが入らず、フリースローも落とした。ファインショットとイージーミス。対照的な両チームに点差が生まれたのは当然。ガードの柴田夏気(3年)は「相手のシュートが思ったより入って、惑わされ過ぎて(外角を警戒して)リバウンド、ディフェンスの対応も悪く、全部が中途半端になってしまった」と苦しい時間を振り返った。
出だしが悪くても持ち前のディフェンスで流れを呼び込み、最後に追いつくのが近大附属の持ち味だ。選手は個々にシュートがダメならリバウンドやディフェンスに体を張り、ベンチは選手の総入れ替えや、オールコート、ゾーンのディフェンス変更を仕掛け、スタンドの応援団も明るいノリで元気づけたり、熱い声援で勢いに乗せようとしたりと、ありとあらゆる手を打っていた。しかし、この日は変化を求めて打った手が何一つ効かなかった。一度もリズムを取れず、磨いてきたプレーを見せられなかったことが、何よりも悔しい。エネルギッシュにプレーした主将の野崎海斗(3年)は「やれることはやってきたつもりだけど、それを出し切れていないというのが悔しい。最後は、悪あがきですよ」とやり場のない気持ちを押し殺しながら、試合を振り返った。
八方ふさがりで手応えのない試合を、次にどう生かすのか。答えは下級生が見つけるしかない。一番の改善策はベースアップだが、近大附属は、日曜日をオフに充てるなど、勉学を筆頭にバスケット以外の活動も重視する方針が特徴だ。今大会でもインターハイに続き「I love basketball,but….basketball is just a chapter in life」のメッセージを込めたTシャツを着用していた。U-16代表の経験を持つ岩崎光瑠(2年)は「練習時間が短いことを言い訳にしたくない。勉強と両立すると言ってこのバスケをやっている。シュート力を上げるのは、それぞれの努力次第。そこを補って、また来年、インターハイとウインターカップに戻って来たい」と話した。限られた時間だからこそ、苦しみ続けた試合を経験したからこそ生まれる工夫の中で、下級生は答えを探しに行く。
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
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