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浅田真央 後編「五輪だから笑顔で終わりたい」 | フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部現役時代を振り返る浅田さん
フィギュアスケートファンの“もっと選手の素顔を知りたい!”という熱い想いに応えるべくスタートした、「フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋」。元アイスダンサーであり世界を股にかけ活躍するコレオグラファー(振付師)宮本賢二が日本を代表するトップスケーターをゲストに迎えてお届けします。
今回のゲストは浅田真央さん。幼い頃から天才少女と呼ばれ、日本の女子フィギュアスケート界を牽引。今もなお多くのファンに愛されている浅田さんがスケートリンクをオープン。長年の夢だった「MAO RINK TACHIKAWA TACHIHI」を舞台に、KENJIの部屋をお届けします。
ここでは番組の書き起こしコラムを全4回に分けてお届け。1回目は、感動を呼んだ伝説のソチ五輪フリーの舞台裏などを聞いていきます。
フィギュアスケート史上に残る伝説のフリー
KENJI:2013〜14シーズンは、キャリアの集大成と位置づけたソチ五輪がありました。
浅田:このシーズンは、本当に私のスケート人生の中でベストな状態でした。準備は完全に整っていたシーズンです。
KENJI:伝説のフリーは本当にすごかったよね。
浅田:自分の実力が出せたという感じではありますけど、ショートがすごく残念な結果でした。それもあって皆さんがフリーを「すごく良かったよ」って言ってくださっているんですけど、自分の中では、いつもの演技を出せた感じだったんです。
KENJI:ショートが終わった後は、どういう持っていき方をしたの?
浅田:ショートが終わったのがすごく遅くて。次の日は、グループが前の方だったので、気持ちの切り替えができていないままでした。フリーの当日練習で、もう何にも飛べなくなっちゃって……。それを見ていた姉が、私に電話をしてきてくれていろいろ話したんですね。その時はまだ、気持ちが折れていたので、あのまま行っていたら、また同じように弱い自分でソチ五輪が終わっていたと思うんです。でも姉が「楽しんでやったらいいよ」ってすごく軽くアドバイスをしてくれて、私の中でのスイッチが切り替わった感じでした。あの時は「楽しんでいられるわけないじゃん」って、ちょっと私が強く言ったんです。でも、それがきっかけで弱かった自分がすごく強くなれて「このままじゃダメだな」と思って。そこから気持ちを振るい立たせて「失敗してもいいから思い切っていこう」と思うことができました。
ソチオリンピックのフリー演技は伝説と称された
KENJI:素晴らしい演技でした。最後のポーズも。氷の上だから涙を流さないように我慢して、お辞儀の時には笑顔やったから、それもすごく感動したの。
浅田:あのポーズが終わった後は「救われた」って逆に思いました。それまでは本当に「もう日本に帰れないんじゃないかな」って思うぐらい、すごく追い詰められていて。自分のスケートの人生の中でも、五輪というスペシャルな試合で、あのような演技でした。だから、(フリーが)終わった瞬間は、本当に救われたって思ったんですよね。ただ、自分の感情をあまり出してしまっても、という思いもあって。せっかくの五輪だから笑顔で終わりたいという気持ちがありました。
KENJI:そこがまたすごい。バンクーバーとソチ。2回冬季五輪に出場されましたけど、他の大会とは違いましたか。
浅田:違います。小学生の頃から五輪を目指してきました。周りの人も4年に1度の五輪にはすごく気持ちが入りますし。世界的に注目されて盛り上がる大会という面でもスペシャルだなと思います。
KENJI:楽しみの方が強い?
浅田:バンクーバーはすごく楽しめました。ただ、ソチはあまり楽しめませんでした。自分の中でも、もうギリギリでやっていた感じです。
KENJI:話の内容が本当にすごい。そして、そこから1年間休養するわけですけど、その時はどんなことをしていたの? 
浅田:ソチ五輪が終わって、悔しさもある中で世界選手権に出場して、自分の目指す金メダルが取れました。でもソチ五輪はスケート人生の中で本当にきつかったので「これでもうスケートはいいかな」って。やめようと思って、一度休養という形を取りました。
パワースポットを巡ってとにかくパワーをもらった休養期間
KENJI:昔からずっとスケートだけをしてきたと思うけど、やりたかったこととかはなかったの?
浅田:スケート靴を持たずに一人旅に行きました。海外に行くときもスケートの練習(が目的)だったので、今まで一人旅にも行ったことないですし。でも、スケートに関係なく(旅行に)行けるので、すごくワクワクしました。
KENJI:どこに行ったの?
浅田:スリランカです。アーユルヴェーダにすごく興味があったんです。デトックスできるメニューがあって、その宿に行きました。海外はそこだけで、あとは日本の神社やパワースポットを回りました。
休養中に満喫したひとり旅について話す浅田さん
KENJI:ごめん、ちょっと日本国内の頭になっていたから、スリランカって驚いたし、その後の神社やパワースポット。僕からすると真央ちゃんにこうしたい(と浅田さんに向けて両手をかざす仕草をする)し、真央ちゃんから力をいただきたい。
浅田:いやいやいや、全然そんなんじゃないです(笑)。私は自然がすごく好きなので、自然のあるところに行って樹齢何千年の木に触れたり、とにかくパワーをもらって。そんなふうに過ごしていましたね。その時にははじめて違う世界を見るって大切だなって思ったんです。今までは一日も練習を休んだことがないような感じだったんですけど、スケートを休んでいると、まだまだ体も動きますし、このまま終わっていいのかなっていう思いがちょっとずつ出てきて。もう一度だけ「最後に挑戦してみよう」って思うようになりました。
体も心も技術も限界を迎え「これで最後にしよう」
KENJI:その後、復帰をするわけですが、1年目を振り返ってみてどうでした?
浅田:復帰したシーズン当初はスムーズにいったんですけど、五輪が終わると、ルールやスケーターも変わります。自分の世代よりもさらに若い子たちも出てきて、ついていくのに必死。「ついていけてるかな」という気持ちもありながら、「自分がどこまでできるのか」と、すごくワクワクした気持ちでもありました。
KENJI:そして、現役最後のシーズン。このシーズンはどういう気持ちや思いで滑っていたんですか?
浅田:ソチ後の五輪は平昌。自分自身も「平昌を目指してやろう」と思って復帰したので、その思いがどこかにはあったんです。でも復帰してからのシーズンを続けていく中で、自分の体と心と技術がなかなかうまくいかなくて……ずっとずっと歯車が合わないまま無理して進んでいた感じでした。次の五輪を目指すとやってきて、でも思うようにいかず、グランプリシリーズも結果が出ず。はじめて練習に行かなかったのが、このシーズンだったですね。体も心も技術も限界を迎えていて、全日本選手権の1週間ぐらい前に「これで最後にしよう」と思いました。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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