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そんな常識を完全に覆したのが2001年に太平洋を渡ったイチロー(鈴木一朗)だった。2004年に記録したシーズン安打数262本など、数々のMLB記録を更新。打撃だけでなく、走塁でも、守備でもアメリカのファンを魅了するパフォーマンスを見せ続けた。
そして、さらに大谷翔平の登場である。
単打を積み重ねたイチローと違って、大谷はパワーヒッターだった。2021年シーズンにはリーグ戦の終盤までホームラン王争いを続けた。そして、信じられないことにピッチャーとしても成功を収めるのだ。
シーズンを通じてピッチャーとバッターのいわゆる“二刀流”を実現。サイズでも、パワーでも、持久力でも、並みいる大リーグの猛者たちをフィジカル面で圧倒しているのだ。
30年前の常識ではありえないことである。
サッカー界もそうだ。30年前、日本にはまだプロリーグは存在しなかった(プロ契約の選手はすでに存在した)。ワールドカップはもちろん、1992年大会から23歳以下の大会となったオリンピックや各年代別の世界選手権で、1968年のメキシコ・オリンピック以降、日本は一度もアジア予選を突破することができなかった。開催国枠で出場するしか、世界大会を経験できなかったのだ。
それが、今ではワールドカップ予選で負けるとは誰もおもっていない。たった1敗しただけで、大騒ぎなのだ。
1970年代に奥寺康彦が西ドイツ(当時)で長く活躍したことがあったし、三浦知良という名の高校生が無謀にもブラジルに渡ってなんとかプロ契約まで漕ぎつけたという例外はあったものの、日本人選手がヨーロッパのトップリーグで活躍する時代が来るとは1990年当時、誰もが思ってもいなかった。
ようやく1990年代後半になって、中田英寿という若者がイタリアに渡って思ってもみない成功を収めたものの、そういう選手は例外だと思われていた。少なくとも、日本代表のレギュラーとして活躍した選手だけがヨーロッパに渡っていくものだと、当時は思われていた。
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