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サッカー フットサル コラム 2021年5月7日

市立船橋がようやく手にした今季初勝利。その歓喜を支えた2人のフォワードの想い【高円宮杯プレミアリーグEAST 横浜F・マリノスユース×市立船橋高校レビュー】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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「自分は途中から入ったので、声も一番出せると思いますし、やっぱり走ることを強みとしてやっているので、いつもスタートで出ている時より、もっと走らないといけないという気持ちで臨みました」。自分に託された役割は十分に理解している。とにかく走る。キャプテンは、とにかくピッチを走り続ける。

そんな平良と同様に、こちらは試合開始から変わらず、前線の位置で相手とボールを追い掛け続けていたのが松井だ。「相手にプレッシャーを掛けることと、前での運動量は自分のストロングポイントにしていかないといけない所なので、そこは外せないです」。二度追い、三度追いは当たり前。あるいは攻撃以上に守備へと奔走し、チームメイトを助けていく。

後半から降り出した雨の勢いも一層強まった85分。サッカーの神様は、ハードワークの対価に“ご褒美”を用意していた。自陣で味方のクリアを拾った松井は、40メートル近くをドリブルで運ぶと、そのまま右足一閃。相手DFに当たったボールは雨粒を切り裂きながら、美しい軌道を描いてゴールへ吸い込まれていく。「ちょっと時が止まったような感じでしたね」と波多監督も笑顔。最後は1点を返されたものの、2-1で逃げ切った市立船橋高校は、ついに今シーズンのリーグ戦初白星を手にした。

「自分はスタートで出れなくて、凄く悔しい気持ちはあるんですけど、練習試合でも勝てていなかったですし、プレミアでも勝てていなかったので、『勝った!』という喜びがこみ上げてきました」。個人の結果を追求する想いを、チームの勝利を願う想いが、平良の中で上回る。そんなキャプテンの人間性がチームメイトに与えている影響も、また小さくないはずだ。

あれだけスプリントを繰り返していた松井は、試合後にこう話していた。「僕はまだ終盤になると足が攣っちゃうというか、疲労が溜まるんですけど、同じポジションだと平良も凄く走れるので、自分もそれを見習って、もっと走らないといけないなと思います」。このチームのフォワードにとって走ることは絶対条件。その上で何をプラスアルファとして乗せられるかが、彼らには求められている。

試合終了とほぼ同時に雨は降りやみ、気付くと西の空に覗いた晴れ間からは光が差し込んでいた。その景色のように、ようやく長く続いた暗闇から光が見えてきた市立船橋高校の中で、フォワードが繰り広げるポジション争いは、熾烈でいて、お互いへの敬意に満ちた、うらやましくなるような関係の下で、これからも繰り広げられていく。

文 土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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