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だが、ボールを奪い返すことだけを考えて相手を追い回していたのでは、ボールを奪い返した瞬間に攻撃の体形ができていないために攻めに転じることができなくなってしまう。奪い返してから、うまく攻めに切り替えるためには、攻から守に切り替えてプレスをかけに行っている時も、常に攻撃をイメージしながらポジションを取ることが必要なのだ。
今シーズンのJリーグでは、そういう意識が高いチームがいくつか存在する。その結果が、カウンター(ショート・カウンターも、ロング・カウンターも含めて)による得点の増加につながっているのではないだろうか。
つまり、これまでよりも一歩進んで「ボールを奪い返してからどのように攻め崩すか」ということをテーマに戦術を整備してきたチームが多いということだ。
今シーズン、J1に昇格して善戦を続けている横浜FCはボールを奪い返したその瞬間に攻撃のための配置が出来上がっているため、素早く攻めに転じることができる。守備を整備したセレッソ大阪も、守から攻への切り替えの速さが武器になっている。そして、川崎フロンターレは、パス能力の高さを生かしてロング・カウンターを常に狙い続けている。
このように考えてくると、第17節の2試合(柏対広島と浦和対川崎)で、どこか似たようなイメージのゴールを目撃することになったのは、どうやら偶然の出来事ではないように思えてくるのだ。
Jリーグも、毎年のように進化を続けている……。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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