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しかし、報告書を見ると最高評価だったオーストラリア/ニュージーランドの評価スコアは412.0であり、392.0の日本との差は“僅差”だった。もし、わずか20ポイントの差を重視するなら、総合スコアが280.5のコロンビアが選ばれるはずがない。しかし、2022年の男子ワールドカップ開催国選びではスコアが最低だったカタールが選ばれて問題になった。要するにFIFA報告書の評価など大した問題ではないのだ。
このように考えれば、日本サッカー協会が「ステートメント」の中で挙げているいくつかの撤退の理由はいずれも“後付け”の理由としか言いようがない。
要するに、日本サッカー協会が集票活動=選挙運動を軽視あるいは失敗したのが唯一最大の原因なのだ。
かつて1990年代に日本はAFCにおけるFIFA理事選挙で苦杯をなめ続けてきた負の歴史がある。2002年ワールドカップ開催国選びを巡る日韓の争いでも、プロの政治家でもあった韓国の鄭夢準(チョン・モンジュン)会長の選挙戦術に振り回された結果、追い詰められて「共同開催」を飲むしかなくなってしまった。
それから時間が経ち、日本は男女ともに世界大会で存在感を示すようになってきている。アジアでも各国に人材を派遣するなど協力を積み重ねてきた。AFCにおける日本の影響力も高まり、選挙下手も改善されていたのかと僕は思っていた。だが、女子ワールドカップ招致争いで、日本は「惨敗を避けるため」に撤退せざるを得ないほど追い詰められてしまったのだ。
田嶋会長は“大失態”の責任を肝に銘じてほしい。ワールドカップ招致が失敗した以上、プロリーグを成功させるためには東京オリンピックもしくは2023年のワールドカップで代表チームが世界一に返り咲くしかなくなったのだ。そのための万全の態勢作りをしてほしい。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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