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最終戦で花咲いた佐藤幸椰と有終の美を飾った伊東大貴
最終戦で欧州ファンの度肝を抜いたのは、佐藤幸椰(雪印メグミルク)が記録したパーソナルベスト242.5m。スロベニアのプラニツァで尻上がりに好調の波に乗り、身体を低くしてたたみ込むアプローチから爆発力を持って弾丸のごとく飛び出し、地元スロベニア勢の追随を許さず、見事に2位表彰台へと昇った。これは雪印メグミルクチームのベテラン鈴木彰サービスマンと、長年一緒に前を見据えて考え歩む道、それが一気に開花した結果であろう。
そして忘れてならないのは、今季限りで引退を表明した伊東大貴(雪印メグミルク)。札幌市内で引退記者会見を行い、国内最終戦の伊藤杯ファイナル札幌大倉山で飛んだ後、W杯プラニツァ大会団体戦で有終の美を飾るジャンプを見せてくれた。
引退後は雪印メグミルクのコーチに就任する。「チーム間の垣根を越えてなんでも聞いてきて」という人望の厚さや故障に悩んだ自身の経験は、今後のコーチ人生に活かされるに違いない。
伊東大貴(雪印メグミルク)引退記者会見
この冬、困難を乗り越えた日本チーム。小林陵侑の活躍に目が行きがちだが、卓越したリーダーシップが光る小林潤志郎(雪印メグミルク)の存在は大きかった。弟・陵侑のサポートもさることながら、長期欧州遠征で気がめげそうな選手に盛んに声をかけて上手くチームをまとめあげていた。このような功績も見事なものである。
またマイペースながら賢明に飛ぶ中村直幹(フライングラボラトリー)は、W杯初優勝を飾り“複合女子クロスカントリースキーベストスキーヤー賞”に輝いた妹・安寿の活躍に良い刺激を受けていた。若き佐藤慧一(雪印メグミルク)は惜しくも五輪を逃したが、これから伸び盛りを迎える。故郷の北海道下川町へと休息に戻り、慣れ親しんだ地元のジャンプ台を見つめながら軽くランニング。気持ちを入れ替えて、前向きな姿勢で次のシーズンへと進んでいる。
楽しみな国内のジャンプシーン
一方2030札幌五輪が望まれる国内のスキーシーンに目を移そう。
感染症下で静まり返る地元札幌の商店街を何とか活性させたいと願う市民の想いもある。そこに小中学生の子供たちの夢が重なり、指導育成を担う五輪金メダリストの阿部雅司氏(札幌オリンピックミュージアム名誉館長)らオリンピアンの方々の地道な活動も脚光を浴びてくる。そこに引退した伊東大貴コーチが加わり、2030におけるメダル獲得の目標と素晴らしいパフォーマンスを目指そうという熱い思いに包まれる。スポーツは人と豊かな人間性を作り上げる一助に成り得るのだ。
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