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キングズベリーが、“北京五輪を区切りにリタイア”といった選択肢を選ばない限り、来季はさらに差が縮まったキングズベリーvs堀島の対決を楽しめそうである。
北京五輪のジャッジは今後のモーグルをどう変えるのか?
相変わらずの強さを発揮したキングズベリーにも課題が見えたシーズンでもあった。最大の目標であったはずの五輪連覇を達成できなかったのだ。少なくとも、ジャッジは北京のファイナル3でキングズベリーの完成度の高い滑りより、ウォルバーグの恐れを知らぬ攻撃ターンを支持した。女子でも攻めの姿勢が評価された傾向が顕著に見られている。もし、より高い攻撃性がモーグルの新たなトレンドとなるのなら、30代を迎えたキングズベリーは体力を維持しながら、それに対応していく必要が生まれる。
ただし、ウォルバーグのようなスタイルは、転倒や怪我のリスクとも隣り合わせである。実際、彼は今季のW杯でも上位に入れないレースがいくつかあり、それが上位2選手との差となった。攻撃性と安定性をより高い次元で両立させられる選手こそが新時代の覇者となる。
北京でのウォルバーグの勝利は、今後のモーグルの流れを変える出来事となるか?
また、もう一つ、キングズベリー、堀島、ウォルバーグに限らず、すべての男子選手に突きつけられている問題がある。「エアを進化させるか?」という点だ。’19シーズン、開幕戦で堀島が初トライし、秋田たざわ湖大会でキングズベリーが初めて成功させることで、コーク1440が北京五輪に向けた新次元エアとして注目された。しかし、その後も先駆者2名もこの高難度トリックを恒常的に繰り出すことをせず、世界選手権、北京五輪でも披露しなかった。堀島の初挑戦から3シーズン、今季も4回転時代は到来せず……と思われた。しかし、最終戦でニック・ペイジ(USA)が1440をでっかく飛んで成功させ、止まりかけていた時計の針を進めたのだ。今季はペイジに限らずイキのいい若手が台頭してきたが、エアに関してイニシアチブを握っているのはそうした選手達なのかもしれない。
全体で世界トップのリザルトを残した日本チーム
最後に、日本チームについてまとめたい。堀島のMO、DMの総合2位は、日本の男子選手で史上最高位として誇るべきリザルトだ。そして、北京五輪のレース直後、銅メダルを歓びながらも「本当の夢は金メダル」と話していた彼は、すでに4年後に向けて走り出している。
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