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女子は金メダル候補の本命と対抗がメダルを手にできない意外な結果に
続いて女子のファイナル3のスコアも検証してみたい。ここでも、唯一客観的な数字であるタイム点が、結果に大きく響いていることがわかる。
■北京五輪女子モーグル上位6名のスコア
1ジャカラ・アンソニー(AUS)
タイム16.86+エア18.13+ターン48.1=83.09
2ジェイリン・カーフ(USA)
タイム18.28+エア15.10+ターン46.9=80.28
3アナスタシア・スミルノワ(ROC)
タイム16.91+エア14.91+ターン45.9=77.72
4ペリーヌ・ラフォン(FRA)
タイム16.40+エア15.36+ターン45.6=77.36
5川村あんり(JPN)
タイム16.45+エア14.37+ターン46.3=77.12
6オリビア・ジアッシオ(USA)
タイム14.64+エア15.07+ターン45.9=76.61
若くして世界のビッグタイトルを総ナメしているラフォン(中央)だが、五輪連覇は簡単ではなかった
女子は、2強とされたラフォンと川村がメダルを逃すというまさかの事態となった。栄冠を得たのは今季のW杯で安定したポジションをキープしていたアンソニー。その力強い滑りは圧巻だった。そして、銀メダルはビブナンバー14番のカーフ、銅メダルは17番のスミルノワと、誰も予想できないリザルトが残った。
期待された日本勢でファイナル2に進んだのは川村のみで、星野純子が13位、住吉輝紗良が15位、冨高日向子が19位。アメリカ勢は4選手全員がファイナル2に進むなど大きく躍進した。
ラフォンと川村あんりはなぜメダルに届かなかったのか?
男子と異なり、女子はメダリスト3名にそれぞれ3点程度の差がある。アンソニーはターン点で2位のカーフに1点強の差をつけているのにくわえ、エア点が2位だったラフォンに3点弱の差をつけているのが大きい。これが、そのままトータル点の差となったといっても過言ではない。
そんなアンソニーをタイム点で上回ったのがカーフとスミルノワだ。とくにカーフは男子のウォルバーグを連想させる超攻撃的ターンを見せた。彼女のタイム点は唯一の18点台。しかも、ジャッジから高く評価され80点台のターン点を獲得した。一方、銅メダルのスミルノワもアンソニーより速くゴールし、ターン点もまずまず。しかし、エア点が高くなかった。彼女は第1エアで、いまでは珍しいストレートローテーションの技(ヘリコプター)を華麗に見せるが、やはり難度の面で不利だったようだ。
では、ラフォンはメダリストたちに何が及ばなかったのか?結論から先にいえば、彼女もキングズベリー同様に遅かったのだ。エアのランディングでバランスを崩すミスがあり、エア点、ターン点も伸びなかったが、それ以上にタイム点が低いのが致命的だった。なにしろ、16.40点はファイナル3進出者の下から2番目なのだ。
そのラフォンを下回る5位となった川村は、タイム点は上から4番目、ターン点は3番目。得意のターンに辛い点をつけられたのは痛かったが、それ以上に彼女をメダルから遠ざけたのはエア点の低さだ。第1エアでバックフリップ、第2エアでコーク720を見せたが、ランディングで微妙に上半身がブレたことがマイナスしたのか、14.37点と6名のなかで最下位だったのだ。これが痛かった。
ただし、トータル点をみれば、銅メダリストのスミルノワ(77.72点)と、ラフォン(77.36点)と川村(77.12点)は極めて僅差である。つまり、各選手がどこかの局面で、ほんの少しだけ違った判断や対応をすれば、メダリストの顔ぶれは違っていた可能性は高いのである。
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