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「良いジャンプを続けられればと思います。2本目もきっと緊張すると思いますが、自分のイメージで飛んでいきたいです」1本目の後に冷静に語った小林陵侑。
迎えた2本目。最終ジャンパーの小林陵侑は、空中の90m付近において追い風にしてやられたが、そこは足首の柔らかさで無難に飛び抜けて99.5mで着地。しかも、きれいにテレマークを決めて、見事に金メダルを獲得した。
スタートしてからアプローチの滑りを眺めてみると肩の力が抜けているのがわかる。そして空中では柔らかく風に対応できる上半身を持って、これらにも葛西紀明監督の教えがある。それで、慌てることなく丁寧に飛んでいった。
またメンタル的にも落ち着いて2本ともいいジャンプできたと静かな笑顔をみせた。ジャンプを待つ控室では、他の選手の様子を目で追うこともなく、ひとり瞑想に入り両手を広げて目をつぶっていた。
1本のジャンプにおけるシミュレーションを重ねメンタルを集中、最後は着地でテレマーク、空想のガッツポーズに至るまで良いイメージを構築させていた。
「強風の予選を飛べて良かったです。いつもどおりのジャンプができました。それが自信のひとつになりました」
小林陵侑は、追い風のままの悪条件でも、それなりに工夫して飛距離を伸ばしていった。
日本は24年ぶりのジャンプ金メダル(1998長野五輪船木和喜選手以来6大会ぶり)だ。
2位にはフェットナー(オーストリア)が入り、3位には復調を果たしてきたクバツキ(ポーランド)がきた。
ときに賢明にアドバイスを送っていたのは葛西紀明監督だ。
小林陵侑が昨年11月に新型コロナウイルスへ感染し、フィンランドのクーサモ・ルカへ隔離された10日間に、ここでふてくされてしまうのは良くないと、頻繁に連絡を取っていた葛西監督。憤る小林が放つ愚痴の数々を黙って聞いていた。
「その怒りを次の試合にぶつけていきなさい」
と、短く一言。それが功を奏した。
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