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序盤戦欠場も早期復帰のキングスベリーが2連勝。堀島は弱点克服ならずも、五輪への期待をつなぐ
高いターン技術を誇り、ジャッジからの評価の高いグラハムだが、これまではキングスベリーの存在があり、優勝の機会にほとんど恵まれなかった
ここからは、シーズン全体の流れを再確認しよう。今季のW杯は、2020年内に北欧で3戦、年が明けて1月下旬以降に北米ラウンドが4戦、世界選手権を挟み、田沢湖で2戦、カザフスタンで最終戦という全10戦の開催が発表されていた。ところが、早々と中国での世界選手権開催がキャンセルとなり、また、田沢湖でのW杯開催も中止に。のちに世界選手権はカザフスタンでの代替開催が決まったものの、1月末に予定されていたカルガリーでの2戦もキャンセルとなってしまう。つまり、2020年内の3戦から、2月上旬のディアバレーでの2戦まで、2ヶ月近いブランクが開くという断続的なスケジュールとなった。
開幕前、今季のW杯男子モーグルは「キングスベリーが10連覇を果たすか?堀島がそれを阻むか?」というのが大きなテーマだった。ところが、ルカ(フィンランド)での開幕戦で、それがいきなり消滅してしまう。キングスベリーが練習中の転倒により骨折し、まさかの負傷欠場となったのだ。これで、キングスベリーの10連覇の可能性は著しく低くなり、堀島の総合優勝がグッと近づいた……と思われた。そして、開幕戦では下馬評通りに堀島が優勝している。
ところが、堀島はイドレ(スウェーデン)での2戦では今ひとつ噛み合わないまま表彰台から遠ざかってしまう。そして、ブランク期間を経て第4戦ディアバレー大会を迎える。そこには、短期間で驚異的な回復を果たしたキングスベリーの姿があった。予選の段階では本調子には見えなかったものの、結局、第4戦MOで優勝し、続く第5戦DMでもまた優勝。負傷明けが嘘のような復調ぶりを見せたのだった。一方、堀島はやはり噛み合わないまま第4戦が5位、第5戦が9位で自力優勝がなくなる。
そこから、堀島はカザフスタンでの世界選手権に向けて気持ちを切り替えた。この大舞台では秘策を用意していた。優勝するための武器として、コーク1440のトレーニングを強化し、飛びやすいように板の長さを182cmから172cmに変更したのだ。ところが、世界選手権MOではアルマティの固い難斜面に苦しみ予選落ち。DMではなんとか3位に入るが、秘策は不発に終わる。かたやキングスベリーは二冠を達成し完全復活を世界にアピールした。
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