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したがって、選手たちはそれを前提に心身のコンディション作り、モチベーションの維持が必要になってくる。特に総合優勝を狙う選手は、いつシーズンがカットアウトになってもおかしくないつもりで戦わなければならないだろう。
もちろん、カザフスタンで予定されている最終戦まで無事に全戦が行われ、そこで世界トップレベルのパフォーマンスの競演がマックスで展開されるに越したことはない。そうなることを祈りつつ、以下はポジティブに、フルスペックのW杯が行われることを前提に展開していきたい。
キングズベリーの10連覇はあるのか? 堀島がそれを阻むのか?
世界選手権、そして五輪の舞台となる中国タイウーで行われた昨季のW杯MO表彰台。ここで勝ったことが堀島には大きな自信となった。
かつて、男子モーグルの常勝チャンプたちには、キャリアの後半にその存在を脅かす急成長の若手が登場し、追撃を受けている。
ヤンネ・ラハテラ(FIN)にはデイル・ベッグ-スミス(AUS)が、デイル・ベッグ-スミスにはアレキサンダー・ビロドウ(CAN)が、アレキサンダー・ビロドウにはミカエル・キングズベリー(CAN)が……といった具合である。
だが、W杯9連覇を果たしたキングズベリーに関しては、彼を王座から追い落としそうな勢いと、カリスマ性のある若者がなかなか登場しなかった。だからこその連続優勝なのである。そして、いよいよ前人未到、空前絶後の10連覇がかかったシーズンを迎える。
そんななか、昨季、ただひとり絶対王者に勝っている選手が堀島行真だ。10戦中、キングズベリーは7勝で堀島は3勝。つまり、他に優勝した男子選手は存在しない。実際は昨季もトータルで300点以上のポイント差があり、50/50のライバル関係ではないものの、現状で打倒キングズベリーを果たせる可能性を有した唯一の選手が堀島であることは確かなのだ。
昨季、キングズベリーはどの大会でも、まるで同じ映像を繰り返して観ているかのような滑りを見せた。だが、実際は同じ滑りをしているのではない。雪質、コブの形状、固さなどコンディションの異なる各大会の斜面にいずれも対応し、その都度、違った技術を用いてベストなランを見せているのである。彼の凄さはその引き出しの多さにある。舞台を選ばないのだ。そのため、堀島に負けた3戦でもすべて2位となり、確実に80ポイントを稼ぐことに成功している。
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