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AUDI FIS WORLD CUP 2020/21シーズンの男子ワールドカップ展望 コロナ禍のための変則スケジュール 絶対的本命の不在でタイトル争いは混沌
SKI GRAPHIC present’sアルペンスキーコラム by SKI GRAPHIC毎年総合優勝の候補にあげられるアレクシー・パントュロー。今季こそタイトルを手にすることができるか
ただし、そうなったときに鍵になるのが、種目ごとのレース数。ダウンヒルとスーパーGの高速系種目は合計16レースなのに対し、技術系は22レースもあり、これは明らかに技術系寄りの選手に有利なのだ。これらを総合して考えると、今季の男子総合優勝の本命は、クリストッファーセンと予想しておこう。そしてもうひとり気になる存在が、セルデンで行なわれた開幕戦のGSを制したルーカス・ブローテン(ノルウェー)だ。昨シーズンの急成長ぶり、そしてその勢いを持続してのワールドカップ初優勝と、現在乗りに乗っている21歳。GSのみならず、スラロームでの実力も1本目のベストタイムをとった昨シーズンのキッツビュールですでに証明済みだ。したがって彼の成長曲線がこのまま続くとしたら、スラロームの初優勝も近いだろうし、一気に総合優勝争いに食い込んでくる可能性も充分に考えられる。いずれにしても、今シーズンの戦いが楽しみな選手であることは間違いない。
技術系2種目のディフェンディング・チャンピオンとして戦うヘンリック・クリストッファーセン。本来の力を発揮すれば総合優勝の可能性も高いはず
次に種目別のタイトル争いを予想すると、まずスーパーGでは昨シーズンのチャンピオン、マウロ・カビエッツェル(スイス)が怪我のため今季は絶望的。空位となった王座に誰がつくのか。順当ならば昨年2位のヴィンセント・クリーヒマイヤー(オーストリア)だろう。しかし、マティアス・マイヤー(オーストリア)やアレクサンダー・オーモット・キルデ(ノルウェー)、マルコ・オーダーマット(スイス)ら実力者がひしめいており、タイトルの行方は混沌としている。
ダウンヒルは、3年連続ダウンヒルチャンピオン、フォイツの4連覇なるか、昨シーズン中盤までリードしてたものの怪我で戦線離脱したドミニク・パリス(イタリア)がふたたびその強さを取り戻せるかが焦点。実力的にはほぼ互角なだけに、パリスの回復具合が鍵を握るだろう。また昨シーズン2勝をあげているトーマス・ドレッセン(ドイツ)にも注目。まだ無冠だが、高速系ではそろそろ円熟期に入る27歳。初のタイトル獲得に向けて意欲を燃やしている。
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