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【テーマ2】黄金時代再び!? 日本チーム全体のランクアップ
W杯では堀島の後塵を拝したが、世界選手権ではMO、DMで3位と大舞台での強さを見せた原
今季はまた、日本勢の健闘もひとつのトピックだった。
シーズン前に予想されたように、男子は'17世界選手権二冠の堀島、平昌五輪銅メダリストの原という2大エース時代が本格到来した印象だ。
堀島はW杯で優勝1回、2位3回で総合2位。原はW杯で3位1回、4位2回で総合6位に加え、世界選手権でMO、DMともに3位。どちらも、過去の日本の男子選手が未踏の領域に達したといるだろう。
興味深いのは、両者が技術面もメンタル面もまったくタイプが異なるということ。たとえば、堀島はエアの難度を追求し、原はオリジナリティを求めている。大舞台に際しては、堀島が緊張感を高めレースに集中するタイプなのに対し、原は周囲の雰囲気も含め全体を楽しみながら自らをノセて滑る。ある局面では、堀島の特性が力を発揮し、別の局面では、原の持ち味が大きくプラスに作用するということなのだろう。そのことが関係しているのか、今のところ世界大会で両者が並んで表彰台に立ったことは1度もない。
他のW杯レギュラー組では、四方元幾が21位、藤木豪心が総合25位という結果に。この2名とも複数回の決勝進出を経験し、昨季より成長した姿を見せた。一方で、スポット出場した他の若手選手は、大きな爪跡を残すに至らず。来季は、そこから抜け出してくる選手が現れるだろうか? 注目したい。
女子は予想を上回る頑張りだった。総合ランキングで星野純子が8位、冨高日向子が9位、住吉輝紗良が13位。全員がスーパーファイナルを経験。星野は4位1回、冨高は全戦予選突破、住吉は第5戦でファイナル1を1位通過と大健闘。3名ともあと1歩で表彰台を狙える実力があることを示した。
また、伊藤みきの秋田たざわ湖大会での復活劇(MOで決勝進出)も、特筆に値する。昨季は五輪出場を逃し、今季は強化指定選手を外れたこのベテランの奮起は、若い選手にも大いに刺激になるだろう。
【テーマ3】北京五輪のメダル候補が続々!? 出揃った各国のニューカマーたち
アンソニー(左)は、最終戦に不出場も総合3位。'98年生まれの20歳だ
'19季は、新陳代謝が大きく進んだシーズンともいえた。平昌五輪後にベテラン選手の引退が目立ち、その一方で、各国の若手選手が上々の結果を残したのである。
女子総合3位のジャカラ・アンソニー(AUS)、男子総合4位のウォルター・ウォルバーグ(SWE)がその筆頭格。両者とも昨季のランキング(アンソニー17位、ウォルバーグ12位)を大きく上げ、表彰台に度々上がる飛躍を見せた。
女子ではほかに、2000年代生まれの選手として初の優勝者('18第9戦)であるテス・ジョンソン(USA)は確実に上位に入る選手に成長。また、まだまだ未知数ながら、オリビア・ジアッシオ(USA)、ソフィアン・ギャニョン(CAN)、アナスタシア・スミルノワ(RUS)が要注目選手だ。ジアッシオはすでに2シーズン前に2000年代生まれの選手として初のW杯表彰台を経験。'99年生まれのギャニョンは怪我で途中離脱したが、複数の一桁順位を記録し、世界選手権ではMO、DMともに10位と次期カナダチームのエース候補に急浮上。21世紀生まれ('02年)のスミルノワは、世界選手権MOで4位というリザルトが光る。ジョンソン、冨高、住吉も含め、今の女子モーグル界は過去に例がないレベルで、ティーンエイジャーが席巻しているのである。
男子で存在感を増したのがスウェーデンチームだ。ウォルバーグだけではなく、今季W杯本格デビューのオスカー・エロフソンが第3戦でスーパーファイナル進出し、2位表彰台をゲットしている。
アメリカ勢では、ケイシー・アンドリンガがユニークな存在だ。いかにもアメリカ流のフリースタイルスピリッツを持った選手で、ターン、エアともに一か八かのアタックをかける姿勢が魅力。エースのブラッドリー・ウィルソンがそうだったように、シーズンを通した戦績にはムラが出がちだが、順位争いを引っ掻き回すジョーカー的な存在として注目に値する。
カナダの一強時代はすでに遠い過去の話となり、今のモーグル界は、カナダ、アメリカ、フランス、日本、カザフスタン、オーストラリア、スウェーデンにそれぞれ上位選手が存在する戦国時代である。ここに名前を挙げたような若手の成長が、さらにシーンをエキサイティングにしてくれるだろう。
STEEP
スキー・スノーボードの本質を追いかけるWEBメディア。90年代からフリースタイルスキーを追う編集部による、モーグルW杯の見どころを紹介。サイトでは様々な情報を更新中。https://steep.jp/
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