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今回のトップ遠征チームには6枠内においてメンバー変更の条件が付けられた。
『12月までのW杯で6番目になった選手は佐藤幸椰と入れ替える』
前年のW杯に出場、その小柄な体型が似ている岡部孝信コーチの指導を受けて着実に成長してきた佐藤幸椰(雪印メグミルク)が国内に控えていた。
そこで気になるのは、入れ替えメンバーは誰になるのかということ。
これもじつに、シリアスな状況にある。
「負けないから~」さらりとそう言って空港を出立した葛西だ。
冬、スタート時期の遠征がとても重要になるのは自分自身でもわかっていた。
もしW杯ポイントが取れない場合は、長年、続けていたジャンプ週間の出場が途切れてしまう。その時点で成績の良い選手がW杯に出場する。それは勝負の世界における不文律。その分かれ道に葛西はいま身を置いている。
案外、シニカルな彼のことだ。それを楽しむかのように。
今シーズンの海外勢では、やはり強豪のポーランドに注目が集まる。
POL ポーランドは意気軒高そのもの。開幕のビスワ団体戦で優勝を飾り、一気に勢いの波に乗っていこうと目論む。もちろん名選手アダム・マリシュヘッドコーディネーターのもと、チームのまとまりもすこぶる良い。王者ストッフを筆頭に、コット、ジラ、クバツキのトップ4人を軸にして若手数人が加わる見込み。
これに続くのはなかなかの個性派が揃うノルウェーだ。タンデやひげのヨハンソン、フォルファン、ガングネスなど幾人も長身を利したダイナミックな飛びが健在。
GER ドイツは、いよいよ勇者フロイントの復帰がみられる。膝の故障も癒えてあの荘厳なジャンプの復活となる。そこに絵心があるフライタクに明るくうららかなベリンガーと優しき軍人ヴァンクらが続く。
来年2月のゼーフェルト世界選手権の開催を控えて地元での好成績が望まれるオーストリア AUTは、新ヘッドコーチの手腕に浮沈がかかる。クラフトとハイバックの2トップが上手にチームをリードする。
一転、スロベニア SLOはプレフツが不調のまま開幕欠場となりそうで、立ち上がりのインパクトに欠ける状況からのスタート。
今季を技術的にみると、ジャンプの後半に身体からスキーを離していく新テクニックが、さらに顕著にみられそうだ。
これをすでにマスターしている小林陵侑、ストッフおよびノルウェー勢の空中姿勢に着目していきたい。
岩瀬 孝文
ノルディックスキージャンプの取材撮影は28年以上、冬季五輪は連続5回、世界選手権は連続12回の現地入り取材。スキー月刊誌編集長を経て、2007札幌世界選手権では組織委員会でメディアフォトコーディネーターを務めた。 シーズンに数度J SPORTS FIS W杯スキージャンプに解説者として登場。『冬はスキー夏は野球』という雪国のアスリートモードにあり、甲子園の高校野球や大学野球をつぶさに現場取材にあたっている。
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