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AUDI FIS SKI WORLD CUP 2017/18 2017/18シーズンを振り返る
アルペンスキー・ワールドカップ(白いサーカス)転戦記 by 田草川 嘉雄 0男子のワールドカップ総合はマルセル・ヒルシャー(オーストリア)の独走優勝だった。2位ヘンリック・クリストファーセンに大差をつけて悠々と逃げ切り、2011/12シーズン以来の連勝記録を7に伸ばした。もちろん、ワールドカップ史上初の大記録だ。
シーズン序盤、ヒルシャーは大きな不安のなかにいた。8月半ば、彼にとっては最初の雪上トレーニングで左足首を骨折したからだ。当初の診断は全治15週間。つまりレースへの復帰は早くても12月。それまでの出遅れを考えれば、本来の滑りができるのは年が明けてからになるだろうと思われた。彼自身、当初は「怪我をしてしまったのは仕方がない。2月の平昌オリンピックに間に合えばいい」と思っていたという。ところが、実際には回復は驚異的なスピードで進んだ。11月12日に行われたスラローム第1戦(レヴィ/フィンランド)には早くも強行出場。それに先立つ10月末に行われるはずだったGS第1戦(セルデン/オーストリア)が悪天候のために中止となっていたため、実質的に怪我のために欠場したレースは、ひとつもなかったわけである。レヴィのスラロームではさすがに本調子とはいかなかったものの、2戦目のビーヴァー・クリークGSでは早くも優勝。ライバルたちを驚かせた。以降の快進撃は凄まじく、まさに連戦連勝。結局今シーズンのヒルシャーは、全部で20レースに出場し、16レースで表彰台に立った。さらにそのうち13レースで優勝。シーズン13勝はインゲマル・ステンマルク(1978/79シーズン)、ヘルマン・マイヤー(2000/01シーズン)と並ぶ最多勝タイ記録である。 「一時は選手生活が終わるかもしれないと思ったが、終わってみればこれまでの最高のシーズンとなった。自分でも信じられないくらいだ」とヒルシャー。シーズン最後のレースとなったGS最終戦でも優勝し、ワールドカップの通算勝利数は58となった。
総合2位のクリストファーセンは、昨年の3位からひとつ順位を上げたが、ヒルシャーには遠く及ばなかった。表彰台に上った回数は15回とほぼ互角だが、優勝はキッツビュールのスラローム1レースのみ。2位が11レースあり、そのうち優勝ヒルシャー、2位クリストファーセンというパターンが9レースもある。さらにいえば銀メダルを獲得した平昌オリンピックのGSも、優勝したのはヒルシャーだった。こうしてすっかり脇役に回ってしまったクリストファーセンだが、その成績を改めて振り返ってみると、ワールドカップでは出場した全レースで完走し途中棄権が1度もない。デビュー当時から失敗の少ないタイプではあったが、最近の彼の安定感は素晴らしい。早くから活躍しているために、すっかり忘れてしまいがちだが、彼はまだ23歳なのだ。唯一ゴールできなかったのが、平昌オリンピックのスラローム2本目。同じく1本目でヒルシャーがアウトしているように、やはりオリンピックには、とくにスラロームには魔物が潜んでいるということなのだろうか。
総合3位は、アクセル・ルンド・スヴィンダール(ノルウェー)。一昨年のキッツビュールDHでの大クラッシュの影響で昨シーズンは精彩を欠いていたスヴィンダールだが、今季はかなり復調し、3レースで優勝した。総合、種目別のいずれもタイトルには届かなかったものの、彼が元気で戻ってきたことで、ワールドカップは大いに盛り上がった。しかも平昌五輪ではダウンヒルで金メダル。35歳2か月でのオリンピック優勝はアルペン競技の全種目を通じて最年長記録となった。
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