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混沌とするW杯タイトル争い 佐々木明はこれが最後のワールドカップとなるのか? = キクラニスカ・ゴラ/スロベニア プレビュー
アルペンスキー・ワールドカップ(白いサーカス)転戦記 by 田草川 嘉雄 0ソチ五輪のために中断していたアルペンスキーのワールドカップは、先週から再開され、男子はクヴィットフェルで高速系3レースが行なわれた。そして今週末は技術系レースが再開。スロヴェニアのクラニスカ・ゴーラで行なわれる。土曜日がジャイアント・スラローム第7戦、そして日曜日がスラローム第8戦だ。
シーズンも大詰めを迎えて総合、及び各種目別のタイトル争いも白熱してきた。一発勝負のオリンピックとは違う、シリーズ戦ならではの難しさがワールドカップのタイトル争いである。
総合では、アクセル-ルンド・スヴィンダール(ノルウェー)がリードしている。地元クヴィットフェルの高速系3連戦を5位、6位、4位と着実に得点を重ねトップに立った。オリンピック前まで首位にいたマルセル・ヒルシャー(オーストリア)はこの遠征に参加していない。したがってスヴィンダールとしてはライバルがいない間に、少しでも得点を稼いでおきたかったところだが、3レースとも表彰台に立てなかったのは不本意だろう。スーパーGのタイトルは早々と確定したが、総合でのリードはやや心もとない。現時点でふたりの差は77点。残りレースの種目を考えると、ヒルシャーにやや分があるとみるのが妥当だろう。
一方ジャイアント・スラロームでは、ランキングの上位3人、マルセル・ヒルシャー、アレクシ・パントゥロー(フランス)、テッド・リゲティ(アメリカ)の争いとなっている。この3人ならば、誰にクリスタル・グローブが渡ってもおかしくはないが、注目はやはりリガティだろう。現時点で種目別ランキングは3位にとどまっているが、ソチオリンピックで見せた圧倒的な速さは、さすがと言う他はない。とくにクラニスカ・ゴーラのGSには滅法強く、通算5勝をここであげ、しかも昨年まで2連勝中。もし彼の連勝記録がさらに延びるようであれば、GSチャンピオンの行方はますます混沌としてくるはずだ。
さてクラニスカ・ゴーラのスラローム。今季限りで第一線のアルペンレースからは身を退く佐々木明にとっては、おそらく最後のワールドカップとなる。2001年志賀高原大会でのワールドカップデビュー以来、143レース目となる締めくくりだ。このクラニスカ・ゴーラは、彼にとっては比較的得意とするコース。2004年にはトップとわずか0秒32差の4位を記録している。現在の彼にその再現は厳しいかもしれないが、最後まで頂点を目指すと言う佐々木のこと、仮に表彰台に立つことがあれば、翌週の最終戦への切符も手に入る。結果はどうあれ、最後の意地に期待したい。
ウェンゲンで右足首を骨折してソチ五輪の出場が危ぶまれていた湯浅直樹は、懸命なリハビリの結果ギリギリでオリンピックに間に合った。2本目で途中棄権したものの、1本目はトップと2秒04差と、負傷明けとは思えない滑りを見せた。もちろん本調子にはほど遠いだろうが、得意のコースで上位を狙いところだ。現在のポイントランキングは20位。他の選手の成績次第で変動するが、種目別25位までが出場できる最終戦には、おそらく進めるだろう。シーズン終盤で、もう一度彼の素晴らしいスラロームを見たいというファンは多いはずだ。
スラロームの種目別は、マルセル・ヒルシャー、ヘンリック・クリストッファーセン(ノルウェー)、フェリックス・ノイロイター(ドイツ)の争いとなりそうだ。ソチ五輪で銅メダルを獲得したクリストッファーセンは、オリンピックの後、ジュニア世界選手権に出場。同世代の選手の中では格の違いを見せつけてスラロームで優勝。依然好調を維持しているようだ。また交通事故で頸部を痛めたノイロイターは、オリンピックではメダル無し。その悔しさをスラロームタイトル争いにぶつけてくるだろう。どこまで調子を取り戻しているか注目される。
ヒルシャーはスラロームのタイトル防衛はもちろんだが、総合優勝もかかっているので、戦略的に戦う必要もあるだろう。必要以上にアタックをかけてゴール出来ない、というミスは避けたいはず。そんな状況のなかで、はたしてどんなスラロームをみせるのか、これも大きな焦点となるだろう。
〔写真1〕クラニスカ・ゴーラのGSは2連勝中。ソチ五輪でも見せた圧倒的な速さでタイトル争いの逆転を狙う
〔写真2〕おそらく、このレースが佐々木明の最後のワールドカップとなるだろう。悔いのないレースを期待したい
(クリックで写真拡大)
田草川 嘉雄
白いサーカスと呼ばれるアルペンスキー・ワールドカップを25年以上に渡って取材するライター&カメラマン。夢は日本選手が優勝するシーンをこの目で見届けること。
≫[email protected] ≫ReplaySkiRacing
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