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スキー コラム 2014年3月7日

銀と銅メダルの威光を受けた葛西、あくまでめざすはW杯個人総合優勝! = スキージャンプW杯・オスロ/ホルメンコーレン プレビュー

鳥人たちの賛歌 W杯スキージャンプ by 岩瀬 孝文
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〔写真1〕風を上半身でうまく受けながら飛距離を伸ばしていた葛西紀明(土屋ホーム)(クリックで写真拡大)

終盤戦のW杯シリーズは北欧から始まった。

ファルン(スウェーデン)、ラハティ(フィンランド)、クオピオ(フィンランド)、トロンハイム(ノルウェー)、オスロ・ホルメンコーレン(ノルウェー)で8連戦となり、3か国間の移動とともに選手の疲労はピークに達する。しかし、それを乗り越えてこそW杯、スキージャンプ真の王者が決定づけられる。

今季は4年に一度のオリンピックシーズン。
葛西紀明(土屋ホーム)はチーム全体を盛り上げ、個人ラージヒルの銀メダルと団体戦では銅メダルを獲得。そこで後輩たちを巧みにリードし、それを見ていたかのようなソチのジャンプ台、彼にカミカゼはしっかりと吹きつけていた。

シャンツェでは、よく一言で『追い風』と表現されてはいたが、実際に体感してみれば、それは山肌に沿った斜め上から、下方向にめがけた駅方面への斜め降ろしの風だった。 ラージヒルの山側には防風ネットが大きく張り巡らされ、ときにきつくあるいは止まり、そして少量の巻き上げとなってノーマルヒルとラージヒルにあがってきていた。
ほんの少しの良い風にあたるかどうかは運次第…。

レジェンド葛西には2本とも素晴らしいカミカゼがあった。それも着地直前に吹くいくらかの向かい風。このメダルへの風を肩口でしっかりと受けとめ飛び抜けた。
かたや隣にあり、ラージヒルよりも風の影響がきつかったノーマルヒルでは、緊張の色を隠せない高梨選手が、見るからに堅くなったジャンプで落とされていた。

また、団体戦では膝の痛みをこらえながら飛んだ伊東大貴(雪印メグミルク)、難病を克服して出場した竹内択(北野建設)、若き勢いにあふれた清水礼留飛(雪印メグミルク)を励まし、元気づけて文字どおりチーム一丸となっての表彰台、価値ある銅メダルとなった。

そのもの一発勝負ではないW杯スキージャンプは最高峰の試合、上位に入り続けて得られる個人総合優勝こそ実力者の証明である。
そういう緊迫感はあれ、スタート前の控室では前年王者のシュリーレンツァウアー(オーストリア)から敬意を持たれて和やかなしぐさでやり取りする葛西選手の姿があり、まわりに笑顔を振りまいてもいた。
その葛西は3月1日付けで土屋ホームの部長に昇格、監督兼選手としてさらに気を引き締めての終盤、W杯転戦であった。

ファルンでは初戦で3位表彰台に立ったが着地の衝撃で右膝を痛めてしまった。そこは、入念な治療で2試合欠場の後に復帰、9位と8位のシングル順位を記録した。
伝統あふれる得意のホルメンコーレンでは、いつもの荒れた風に見舞われる可能性がありそうだが、メダリストとして存在感ある大きなジャンプを見せてくれるに違いない。 まだ残る右膝の痛みに耐えながらも、微笑みを絶やさない秀逸のジャンプに期待だ。

この先にはフライング世界選手権が控える。これはハラホフ(チェコ)で行なわれ、最終戦のプラニツァ(スロベニア)、新設されたラージヒルへと続いていく。

海外勢では、新型ビンディングを手に金メダルふたつを得たストッフ(ポーランド)が、イエロービブのまま表彰台中央を飾るのか、軽やかに飛び抜ける新鋭プレフツの巻き返し、さらには後半に調子の波を持ってきている実力者フロイント(ドイツ)らに注目が集まる。
そのトップ3に鋭く迫りたいレジェンド葛西紀明。
欠場の間に第4位まで順位を落としたが、ひたむきに個人総合優勝をめざしていく、その心に響く勇姿をみよう。

〔写真2〕明るさに満ち若さの勢いで果敢に飛ばしていた清水礼留飛(雪印メグミルク)
〔写真3〕シーズン立ち上がりからの難病と闘いながらジャンプし続けた竹内択(北野建設)
〔写真4〕葛西紀明(土屋ホーム)はここ一番で確かな飛距離を願いスキーに祈りを込めた
(クリックで写真拡大)

〔写真5〕つねに落ち着いた姿勢の伊東大貴(雪印メグミルク)だが膝に痛みを抱えていた
〔写真6〕クールな眼差しで個人総合首位を一時期キープしていたプレフツ(スロベニア)
(クリックで写真拡大)

Photo & Text by 岩瀬孝文

岩瀬 孝文

ノルディックスキージャンプの取材撮影は28年以上、冬季五輪は連続5回、世界選手権は連続12回の現地入り取材。スキー月刊誌編集長を経て、2007札幌世界選手権では組織委員会でメディアフォトコーディネーターを務めた。 シーズンに数度J SPORTS FIS W杯スキージャンプに解説者として登場。『冬はスキー夏は野球』という雪国のアスリートモードにあり、甲子園の高校野球や大学野球をつぶさに現場取材にあたっている。

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