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スキー コラム 2013年3月7日

3月10日 男子スラローム第10戦クラニスカ・ゴーラ(スロヴェニア)

アルペンスキー・ワールドカップ(白いサーカス)転戦記 by 田草川 嘉雄
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シュラドミング世界選手権による中断をはさみ、長い間レースの行なわれていなかったワールドカップ男子スラロームが今週末に再開する。第10戦の会場はスロヴェニアのクラニスカ・ゴーラ。1月27日にキッツビュール(オーストリア)で行なわれて以来の開催なので、約1カ月半ぶりのワールドカップスラロームである。もちろんこの間もレース自体は行なわれていたのだが、ワールドカップのスラロームとしては久々の実戦。ここで今シーズンの戦いを簡単に振り返っておこう。

ランキングのトップを走るのはオーストリアのエース、マルセル・ヒルシャー。ミュンヘン、モスクワのシティイベント(パラレルスラローム)を含めれば、スラローム9戦のうち優勝5回2位3回3位1回とすべてのレースで表彰台に立っている。さらには世界選手権のスラロームでも優勝。オーストリアに男女を通じて個人種目唯一の金メダルをもたらし、同時に開催国としての面目も保った。昨シーズンは内スキーでポールをまたぐ“片反”をたびたび犯していたヒルシャーだが、今季は一度もなし。誰よりも直線的なラインを攻め、ほとんどのポールをすねというよりも足首で倒していく攻撃的な滑りにもかかわらず、けっしてひっかけないのは、もはや神業に近い。きわめて高い完成度を持つスラロームなのだ。したがって今シーズンの彼に失敗しそうな気配はまるで感じられず、毎レース当然のように表彰台に上がり続けている。種目別ポイントでは2位フェリックス・ノイロイター(ドイツ)に対して184点もの大量リード。計算上はノイロイターにまだ逆転の可能性はあるが、そのためにはノイロイターが2レースともに優勝しヒルシャーが2レースともに無得点という条件が必要だ。現実的にはヒルシャーの2年連続スラローム・チャンピオンはほぼ確定したといってよいだろう。

ヒルシャーは、総合でも現在首位を保っているが、こちらは2位アクセル・ルンド・スヴィンダール(ノルウェー)とわずか29点差という接戦だ。3位にはジャイアント・スラロームで圧倒的強さを誇るテッド・リガティ(アメリカ)がつけているが、得点差を考えれば、逆転の目はほとんどない。最終戦を含めれば残り6レース。高速系ではスビンダルが、技術系ではヒルシャーが優位に立つという構図だが、得点争いでは最後までもつれることが予想される。ヒルシャーが逃げ切れば昨シーズンに続く総合2連覇となり、スヴィンダールが土壇場で逆転すれば4シーズンぶり3度目の総合優勝。どちらにしても接戦となることは間違いなく、今シーズンは最後までスリリングなタイトル争いが見られるだろう。

さて、そんななかで迎えるクラニスカ・ゴーラ大会。9日(土)がジャイアント・スラローム第7戦、10日(日)にはスラローム第10戦が行なわれる。クラニスカ・ゴーラはヨーロッパアルプスのほとんど東端に位置するスロヴェニアの代表的スキーリゾート。スケール的には特筆するような規模ではないが、美しい山々に囲まれた静かなリゾートである。 大会コースは、街の中心部からは約2km離れたところに位置する“Podkoren3”。全長1237mのクワッドリフト沿いに変化に富んだコースが延びる。上部は短い急斜面と緩斜面が交互に現われれ、下部はほぼ一枚バーンの急斜面だ。北向きで日照時間の短いコースは例年硬く氷結。技術的に難度高く、いつも多くの選手を悩ませていた。しかし最近は2月末、最終戦の前の週末に行なわれることが多くなり、逆に春の軟らかい雪への対応がコース攻略のポイントとなっている。

昨シーズンのスラロームはアンドレ・ミューラー(スウェーデン)が優勝している。ヒルシャーは2本目の中間付近で片反。この時点ではまだ種目別でヒルシャーがリードしていたが、最終戦でまたしてもヒルシャーが失敗し、土壇場での大逆転でミューラーがスラロームの種目別タイトルを獲得している。速いには速いが、同時に失敗も多かった昨シーズンのヒルシャーを象徴するような滑りが続いたわけである。はたして経験を積み技術的な完成度を飛躍的に高めた今季のヒルシャーが、変化に富んだ難コースをどう攻略するかが注目される。

日本選手は湯浅直樹(スポーツアルペン)と佐々木明(ICI石井スポーツ)がエントリーする。ふたりとも世界選手権の後に一時帰国。湯浅は今季つねに悩まされてきた腰の治療をするとともに、世界選手権前と同様、菅平高原でミニ合宿を張り技術のブラッシュアップとマテリアルのチェックを行なった。現時点では彼の種目別ランキングは23位タイ。ワールドカップ最終戦に出場できるのは当該種目のランキング25位までの選手(他にワールドカップポイント500点以上の選手+世界選手権・ジュニア世界選手権の優勝者)に限られる。したがって23位というのはかなり微妙な位置だ。クラニスカ・ゴーラの結果次第では最終戦への道が閉ざされかねないので、ここは何としても入賞が必要となる。彼自身はいつも通り優勝を狙ってのフルアタックに出るだろうが、腰のコンディションによってはあえて冒険せず、着実にポイントを狙う戦略も必要になるのではないか。湯浅本人はもちろん日本チームがどのような戦略でこのレースに臨むのか、注目したい。

一方佐々木は、大好きなバックカントリースキーでリフレッシュした後、ファーイーストカップ(FEC)のジャパンシリーズ2レースに出場。FECのミニマムポイントであるFISポイント6点の獲得を狙った。結果は1レースで優勝し1レースで片反。6点を2本揃えて来季のスタート順を上げるという目論見は半分しか達成できなかったものの、着実に前進はした。現在種目別のランキング40位の彼にとっては、最終戦の出場権を得るためには悪くても2位以上という成績が必要だ。したがって今季最後のワールドカップになるかもしれないクラニスカ・ゴーラ。来季につながる内容のあるレースを期待したい。

[写真1・2]現在総合と種目別スラロームでランキングの首位に立つマルセル・ヒルシャー(オーストリア)。スラロームのタイトルはほぼ確定だろうが、総合では最後までアクセル・ルンド・スヴィンダールとの接戦が続きそうだ。

[写真3]4年ぶり3度目の総合優勝をめざし、総合ランキングで29点差の2位につけるのはアクセル・ルンド・スヴィンダール(ノルウェー)。すでにスーパーGの種目別タイトルを獲得し波に乗る。
[写真4]ジャイアント・スラロームで圧倒的な強さを見せつけるテッド・リガティ(アメリカ)。シュラドミング世界選手権ではGSだけでなくスーパーGとスーパー・コンバインドでも優勝。3つの金メダルをコレクションに加えた。

[写真5]スラロームの種目別ランキング2位はフェリックス・ノイロイター(ドイツ)。ヒルシャーが強すぎるためあまり目立たないが、彼の安定感も驚異的。ヒルシャーの最強ライバルとして最後までレースを面白くしてくれるはずだ。
[写真6]マドンナ・ディ・カンピリオの3位入賞以降は足踏み状態の湯浅直樹(スポーツアルペン)。クラニスカ・ゴーラは彼にとって得意のコース。最終戦への出場権をかけて快走を期待したい。

[写真7・8]キッツビュールでは16位、世界選手権でも19位と復活への道を着実に歩んでいる佐々木明(ICI石井スポーツ)。チームから外れたため環境面では苦しい戦いが続くが、かつての輝きを徐々に取り戻しつつある。

田草川嘉雄

田草川 嘉雄

白いサーカスと呼ばれるアルペンスキー・ワールドカップを25年以上に渡って取材するライター&カメラマン。夢は日本選手が優勝するシーンをこの目で見届けること。
[email protected] ≫ReplaySkiRacing

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