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スキー コラム 2013年2月8日

ミックの連続表彰台19でストップ!新勢力も台頭!

ブラボー!!モーグル by STEEP
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前回のコラムから今回のコラムまでの間、第4戦カルガリー、第5戦ディアバレー、第6戦ディアバレー・デュアルと計3戦が消化された。そしてその3戦は、とても内容が濃く、話題の多いものであった。

一番の大ニュースは、王者ミカエル・キングスベリー(カナダ)のW杯連続表彰台記録のストップである。
記録は'11季最終戦の2位に始まった。'12季は全戦表彰台。今季は5戦まで表彰台を逃すことはなかった。そして迎えた第6戦デュアル、準々決勝でブラッドレイ・ウィルソン(USA)に敗れ、記録は19連続で止まったのだった。ミスによる自滅であったが、超高速化されたモーグル競技で、しかも最高難度のエアトリックを決め技として表彰台に乗り続けたのは、奇跡的偉業であると言っても過言ではない。まだ20歳のミック(ミカエル)は、これからも次なる伝説を作っていくに違いない。
そしてこのレースに勝ったのがアレキサンダー・ビロドー(カナダ)。昨季の休養から完全復帰したはずの'10年五輪金メダリストが、今季は後輩に勝利を拒まれ続けていた。そして今回が、ようやく今季初勝利。ミックが勝ち上がれば準決勝で直接対決だっただけに、
「ぜひとも対戦したかった」
とアレキサンダーは語った。同じ優勝するにしても、宿敵となった後輩を打ち負かしてしておきたかったという気持ちは大きかったはず。この勝利は元王者にとって、自信を取り戻す、単なる1勝以上の重みを持ちそうだ。

第4戦においての、ジャスティン・デュフォア ラポイン(カナダ)W杯3勝目も、意味深いものになった。意外にもこれは彼女にとって、W杯シングル戦での初優勝。勢いが持ち味の爆走娘が、一部は斜度37度とも言われる急斜面をテクニックで攻略した。女王への階段を一歩上った印象だ。
しかも、過去を振り返るとW杯シングル戦は、女王ハナ・カーニー(アメリカ)の14連勝中だった。'11季と'12季は、女王がシングル戦を全勝。ハナが勝てなかったのは、'10季最終戦以来。これまた伝説の記録のストップとなったのだった。

そしてこの3戦、日本勢がかなりの上昇ムードだ。

まずは、第4戦カルガリー大会での、遠藤尚3位表彰台である。'12季第11戦以来の2度目の快挙だ。いや、快挙という言葉を使うのは、もはや正しくないだろう。続く第5戦では4位、第6戦デュアルでは6位。日本の男子エースは、完全に世界のトップランカーのひとりになったのだ。
ここ数年、遠藤はすでにスピードやエアの大きさなどの要素に関して、世界でも有数の存在だったと言っていい。求められていたのは、ミスなく滑り切る強さと安定感だ。
昨季からモーグル(シングル)には、スーパーファイナル制度が導入されている。以前は「予選&決勝」だったが、「予選→ファイナル1(上位16人あるいは12人)→ファイナル2(スーパーファイナル・上位6人)」という順位決定システムに。2本ではなく、3本のハイレベルな滑りを揃えることが必要だ。そんなルール改正の中で、上位を重ねる遠藤の力は、本物になったと言える。第5戦ではファイナル1、スーパーファイナルともに、現在最高難度のエア、コーク1080を成功させた(正確にはDスピンと判定されたと思われる)。ひいき目ではなく、王者の隙あらば、”優勝”をいつ達成しても不思議はない。

さらに女子の日本チームは、チームとして史上最強になったと言える。
上村愛子は最終結果こそ出せていないが、3戦とも予選はトップ3。村田愛里咲は、第5戦で予選トップ通過を果たした。伊藤みきは、第5戦でわずか0.06点差の4位だった。
第6戦では、3トップに加え、星野純子も9位で予選通過。決勝トーナメント進出16人中、4人が日本チームだったわけだ。
惜しくもこの3戦では表彰台は逃したが、日本女子チームがこれだけ層が厚くなったのは、過去に例がない。モーグルは個人競技ではあるが、チーム力が個々の成績にも影響を与える。ヤンネ・ラハテラ(フィンランド)がコーチになって7年目。伝説の王者の魂が、いよいよ日本チームに浸透してきたようだ。

新勢力の台頭も、浮き彫りになってきた。

筆頭は、アレキサンダー・シュミシャエフ(ロシア)。第4戦で2位表彰台に乗るなど、特にターン点で王者ミックを上回るスコアを連発している。トップ2強に食い込むほどの可能性を見せているのだ。現在ロシアチームのコーチは、かつて里谷多英を金メダルに導いたスティーブン・フェアレン。なかでもターンの指導に定評があり、その成果が顕れてきている。ロシアには、今季は腰を痛めやや停滞しているが、昨季総合6位のセルゲイ・ボルコフもいる。名コーチのしたたかな戦略の中で、着々とソチ五輪のメダル候補を育てている。
ちなみにロシアチームは、W杯猪苗代大会には参加しない。15日のW杯ソチ大会を挟み、2月は五輪会場でのトレーニングを続けるようだ。

若い世代からも、魅力的な選手が登場してきている。

男子は第3戦3位表彰台のディラン・ヴァルチック(アメリカ)が19歳。コブを舐めるようなターンが個性的。大崩れはしないような安定感も感じさせる。 女子は、18歳のブリトニー・コックス(オーストラリア)が、昨季に続く2度目の表彰台に上がった。彼女は15歳でバンクーバー五輪にも出場している早熟の逸材。いよいよトップ選手へと開花しそうな雰囲気だ。オーストラリア女子としては、'01季世界選手権銀メダルのマリア・デスパス以来の存在である。
昨季北米杯を圧勝し、鳴り物入りでW杯本格参戦したアンディ・ノーデ(カナダ)も、最高位5位など確実に成績を残している。17歳になりたてという若さながら、ターンのセンスは間違いなく本物だ。
現在W杯ポイントリーダーのジャスティンにしても18歳であり、10代選手の活躍も目立っているのが、'13季前半のモーグル世界シーンである。

[写真1]ミックのW杯連続表彰台は19回でストップしたが、不滅の記録となるかもしれない偉業だ
[写真2]ハナ以外のシングル戦優勝はなんと'10季以来。記録を止めたのは、やはりジャスティンだった
[写真3]遠藤尚は現在W杯総合順位も自己最高の6番手。安定感が増し、次なるターゲットは優勝だ

[写真4]第5戦の4位は、表彰台に評価されてもおかしくなかった。伊藤みきには、スピード、パワーも備わってきた
[写真5]アレクサンドル・シュミシャエヤエフは、”トラックドライバー”がシグネチャーエア的トリックだ

STEEP

スキー・スノーボードの本質を追いかけるWEBメディア。90年代からフリースタイルスキーを追う編集部による、モーグルW杯の見どころを紹介。サイトでは様々な情報を更新中。https://steep.jp/

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