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スキー コラム 2013年1月18日

1月20日 男子スラローム第7戦(ウェンゲン/スイス)

アルペンスキー・ワールドカップ(白いサーカス)転戦記 by 田草川 嘉雄
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年末から暖かな天候が続いていたスイスアルプスだが、今週に入ってようやく冬らしい寒さが戻ってきた。男子ワールドカップの舞台はアデルボーデンからウェンゲンに移り、今週末は伝統のクラシック大会、ラウバーホルンレース。スーパー・コンバインド(金曜日)、ダウンヒル(土曜日)、そしてスラローム(日曜日)の3レースが行なわれる予定だ。

ウェンゲンは、氷河によってえぐられた深い谷間を見下ろす標高1200m地点にある。急斜面にへばりつくようにして開かれた村は、19世紀から山岳リゾートとして発展。現在ではヨーロッパを代表する高級リゾートとして年間を通じて多くのツーリストが訪れる。アイガー、ユングフラウ、メンヒ等4000m級の名峰に囲まれ、どちらを向いてもすばらしい絶景が迫ってくる。数あるワールドカップ会場の中でももっとも美しいリゾートと言って間違いなく、その圧倒的な迫力に感動しない人はいないだろう。(http://youtu.be/jqxg7lWALog
麓からこの村に通じる交通機関は登山電車のみ。ガソリン自動車の乗り入れは禁じられており、近代的なビルディングなどは一切ない。どんなに多くの人が訪れてもウェンゲンは静かさと美しさを保ち続けるのだ。しかし、年に1度熱狂的な興奮に包まれるときがある。そう、ラウバーホルン・レース。毎年1月半ば、冬がもっとも冬らしい表情を見せるこの時期に、アルペンスキーのワールドカップがやってくるのだ。

ウェンゲンのダウンヒルはワールドカップでもっとも長いコースを持ち、ウェンゲンのスラロームはワールドカップでもっとも難しいコースだと言われる。どちらもクラシックコースらしい変化に富み、攻略は至難の業だ。

スラロームコースの標高差は190m。以前よりスタートが上がったものの、ワールドカップのなかでは短い部類に入る。しかし、技術的な難度は非常に高く、ここがもっとも難しいスラロームだと多くのトップレーサーが口をそろえる。斜面変化の多さが尋常ではなく、つねに緊張感を強いられるコースなのだ。スタートからしばらくは中斜面だが、やがて左にねじれながら短い急斜面となり、その後はまっ平らの緩斜面。中間付近には36度という凄まじい急斜面がそびえ立ち、その後も斜面は右に左にねじれながらゴールへと続く。しかも急斜面のあとは、1本目と2本目とでコースが異なるのでなおさらやっかいだ。したがって、このコースを攻略するには高度な戦略も必要。勢いだけで乗り切るには、落とし穴が多すぎるのだ。上位には実力者たちが並ぶのが通例で、アウトサイダーが急浮上する余地は少ないコースといえるだろう。

そんなウェンゲンのスラロームで圧倒的な強さを発揮するのがイヴィッツァ・コスタリッチ(クロアチア)。美しく正確なスラロームで斜面変化を攻略し、このコースで優勝4回、表彰台は8回という安定ぶりだ。2010シーズン以来昨シーズンまで3連覇中で、今季はこの連勝が4に伸ばせるかどうかがひとつの焦点となるはずだ。
しかし、今季の本命をひとりあげるとすれば、それはコスタリッチではなくマルセル・ヒルシャー(オーストリア)だろう。先週末のアデルボーデンのスラロームでも1本目8位から2本目の大逆転で優勝しており、現在絶好調。心技体ともに充実した現在の彼には、死角が見当たらない。あまりにインを攻めすぎてポールをまたいだりしない限り、彼の優位は揺るぎそうにない。

日本選手は今回も湯浅直樹(スポーツアルペン)と佐々木明(ICI石井スポーツ)が出場する。湯浅にはマドンナ・ディ・カンピリオに続き今季2度めの表彰台の期待がかかるし、佐々木は2シーズンぶりのポイント獲得がクリアすべき目標となるだろう。とくに佐々木にとってこのコースは、世界にはばたくきっかけとなった場所だ(2003年大会ゼッケン65番! をつけ2位入賞)。すでに10年がたったが、あのときの衝撃は未だに鮮明に残っている。前述したとおり、アウトサイダーの上位進出が難しいこのコース。無名の新人がいきなり表彰台に立ったのは2003年の佐々木が最後だ。今シーズン復調の兆しを見せながらワールドカップではなかなか結果の出ない佐々木だが、10年前の自分を追いかけふたたび輝きを取り戻して欲しいと思う。

[写真1]アデルボーデンのスラロームでは1本目8位。タイム差から考えて逆転は不可能かと思われたが、0秒87差をあっさりとひっくり返したマルセル・ヒルシャー
[写真2]現役では最多、歴代でもI・ステンマルクの5勝に次ぐウェンゲンSL4勝という記録を持つイヴィッツァ・コスタリッチ。今季は本来の調子ではないが得意コースで復調なるか

[写真3]昨年の2位はアンドレ・ミューラー。スラローム種目別のディフェンディングチャンピオンだが現在のランキングは3位。終盤の巻き返しが注目される
[写真4]表彰式終了後、そのままコスタリッチのミニコンサートに移るのがここ数年のお約束。昨年はアンドレ・ミューラーとの競演となった。そのときの映像はこちら(http://youtu.be/Biwf5ONLxuw

[写真5]アデルボーデンではわずかの差で2本目進出を逃した佐々木明。滑りは好調だが、それが結果にむすびつかないもどかしい戦いが続く
[写真6]ウェンゲンはワールドカップ会場でもっとも美しい山岳リゾート。4000m級の名峰に囲まれた絶景が多くの人を魅了する

田草川嘉雄

田草川 嘉雄

白いサーカスと呼ばれるアルペンスキー・ワールドカップを25年以上に渡って取材するライター&カメラマン。夢は日本選手が優勝するシーンをこの目で見届けること。
[email protected] ≫ReplaySkiRacing

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