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スキー コラム 2013年1月11日

1月13日 男子スラローム第6戦(アデルボーデン/スイス)

アルペンスキー・ワールドカップ(白いサーカス)転戦記 by 田草川 嘉雄
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男子のワールドカップはいよいよクラシックレースが始まる。まず今週末はアデルボーデン(スイス)。翌週がウェンゲン(スイス)、さらにキッツビュール(オーストリア)と続く。ヨーロッパのスキーファンがもっとも心待ちにしている季節がやってくるのだ。
アデルボーデンでは、ジャイアント・スラロームとスラロームの技術系2レースが行なわれる。ここはもともとGSの聖地として知られた名コースで、21世紀に入ってからはスラロームも併催されるようになった。現在ではコースの難しさでアルタ・バディア(イタリア)と並び称されるが、歴史という点ではアデルボーデンがはるかに格上だ。交通不便な谷間のどん詰まりにありながら観客動員数は約2万人。GSとしてはワールドカップでもっとも盛り上がるレースであり、GSの名手の多くが、シーズンでもっとも勝ちたいレースはアデルボーデンだと明言する。

痩せた馬の背状の尾根筋に開かれたコースは、恐ろしく変化に富む。いきなりの急斜面から始まり、中間部分は凸と凹の連続。まっすぐ進みながらも右に左にねじれたクセのある斜面で、いたるところに落とし穴が潜んでいる。それでもかつてと比べればずいぶん平滑になっており、90年代ごろまでは今では考えられないほど荒れた斜面でレースが行なわれていた。そして最後に右に直角に曲がりながらズドーンと落ちる急斜面。凍結しても軟らかくても、ここをミスなく滑り降りるのは至難の業だ。
スラロームは、このコースの下半分を使って行なわれるが、変化に富む難コースであることはGS同様。とくにスラロームとしてはゴール前の急斜面が長く、ここでビビっていたのでは好タイムは望めない。上位を狙う選手はみなイチかバチかのアタックを仕掛け、それに成功したものだけが表彰台にたどり着けるのだ。その美しくもアクロバチックなスラロームをゴールから見通せるのもアデルボーデンの特徴で、だからこそここのレースが盛り上がるのだろう。
ところでアデルボーデンのスラロームは公式には第6戦と表記されている。今季の男子スラロームはレヴィ(フィンランド)から始まり、ヴァル・ディゼール(フランス)、マドンナ・ディ・カンピリオ(イタリア)、ザグレブ(クロアチア)と消化してきたので今度が第5戦かと思いきや、1月1日のミュンヘン(ドイツ)で行なわれたシティイベントがスラロームにカウントされている関係で、アデルボーデンは第6戦となるということらしい。ちょっと紛らわしいが、当コラムでもFISの表記にならうことにする。

ザグレブのスラロームでは、マルセル・ヒルシャー(オーストリア)が快勝し、ワールドカップの総合ランキングでもアクセル・ルンド・スヴィンダール(ノルウェー)を抜いてトップに立った。彼自身は「まだ総合順位をどうこう言う時期ではない。これが3月の始めだったらまだしも、まだまだレースはたくさん残っているので、それについては何も考えていない」という。このコメントは、昨年ザグレブのスラロームで優勝したときとまったく同じ内容だが、彼の快進撃はまさにそのときから始まった。今季も同じような展開になりそうな予感がするが、とにかく現在のヒルシャーは絶好調。これまでワールドカップ10レースに出場しているが、ビーヴァー・クリークのスーパーGで32位となった以外はすべて3位以内に入っている。この日のスラロームがそうだったように、ヒルシャーはつねに限界近くまでアタックしているが、それににもかかわらずこの安定感。失敗の気配も感じさせない彼の滑りには、現時点では弱点が見当たらない。ヒルシャーは昨シーズンのアデルボーデンではGS、スラロームともに優勝。24時間で両種目優勝した最初のレーサーに輝いた。今の調子から考えれば、今年も彼が中心にレースが展開していくことは間違いないだろう。

これに続くのがフェリックス・ノイロイター(ドイツ)、アンドレ・ミューラー(スウェーデン)、アレクシー・パントュロー(フランス)ら。いずれも種目別タイトルを狙うトップ・スラローマーだが、絶好調ヒルシャーを止めることができるのか。一方で来月に迫った世界選手権を睨みながら、いかにコンディションを整えるかもポイントだろう。いずれにしても、あの長く凄まじい角度の急斜面をどれだけ勇気をもってアタックできるか、勝負をわけそうだ。
その点で注目したいのは急斜面を得意とする湯浅直樹。前半の斜面変化に対応しそれほど遅れずに急斜面に入ってこれれば、表彰台に届くタイムが期待できるマドンナ・ディ・カンピリオで3位、ザグレブでは2本目途中棄権と成績は乱高下しているが、ここは得意パターンに持ち込んで大暴れしてほしい。
ザグレブからアデルボーデンの間にはヨーロッパカップがなく、ふたりめの日本選手として誰がエントリーするのか微妙なところだが、これまでの流れから言えばやはり佐々木明が出てくるだろう。湯浅同様急斜面得意の彼がどんなパフォーマンスを見せるのか。今季はやはりスタート順の遅さに苦しんでいるが、今週末は程よく冷え込む予報が出ており、コース状況はまずまず良さそうなだけに本来の滑りを期待したい。

【写真1】昨シーズンのアデルボーデンではジャイアント・スラロームとスラロームの両方で優勝したヒルシャー。このコースで同一シーズンに2種目優勝したのは彼が初めてだ
【写真2】現在絶好調のヒルシャーを止めることができるのは誰か。しばらくの間、男子スラロームはその点が最大の焦点となるだろう

【写真3】昨シーズンは前半の斜面変化にやられ1本目で途中棄権した湯浅直樹。前半を食らいつき、後半急斜面の勝負に持ち込めばマドンナ・ディ・カンピリオの再現がみられるだろう
【写真4】スラローム開幕戦で優勝したあと、やや調子を落としていたアンドレ・ミューラーに勢いが戻ってきた。タイトル防衛のためにもヒルシャーを倒しておきたいところだ

【写真5】ジャイアント・スラロームでは、テッド・リガティに注目。今季4戦3勝と圧倒的な強さ。しかもいずれも大差での勝利だ。アデルボーデンの難コースでどんなパフォーマンスを見せるか楽しみでもある
【写真6】ゴールへと続く長い急斜面はレーサーを苦しめる。この写真からすさまじい角度を感じてもらえるだろうか

田草川嘉雄

田草川 嘉雄

白いサーカスと呼ばれるアルペンスキー・ワールドカップを25年以上に渡って取材するライター&カメラマン。夢は日本選手が優勝するシーンをこの目で見届けること。
[email protected] ≫ReplaySkiRacing

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