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スキー コラム 2012年3月15日

男子スラローム最終戦 シュラドミング(オーストリア)

アルペンスキー・ワールドカップ(白いサーカス)転戦記 by 田草川 嘉雄
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ヨーロッパアルプスの各地は3月に入って一気に暖かくなった。今季のアルペンスキー・ワールドカップ最終戦の会場、シュラドミング(オーストリア)も雨が続いたかと思えばポカポカと暖かい太陽が顔をのぞかせたりと、すっかり春めいた陽気である。10月末にオーストリアの氷河スキー場、セルデンで開幕したAudi FIS Alpine Ski World Cupも4カ月以上にわたる転戦を終え、いよいよ各種目最終戦を残すばかりとなった。男子のスラロームは、そのなかでも一番最後、3月18日にスケジュールされている。まさにシーズンを締めくくる“おおとり”である。

ところで、ワールドカップの最終戦は、通常のレースとは参加資格が異なる。ワールドカップレーサーならば誰でも出られるわけでなく、次のような基準をクリアしなければならない。
(1)各種目別のワールドカップポイントランキング(WCSLではなく)で25位以内の選手
(2)そのシーズンのワールドカップポイントの合計が500点を超えている選手
(3)世界選手権、オリンピック、ジュニア世界選手権のチャンピオン

(2)の500ポイントを超えている選手は、もちろん種目別で25位以内に入っているはずだから、出られるのは当たり前。わざわざ別項が設けられているのは、自分がランキング25位以内に入っていない種目にも出場することができるという意味だ。
また(3)はそのシーズンに行なわれた大会のチャンピオンに限る。したがって、オリンピックも世界選手権もない今シーズンは、ジュニア世界選手権の優勝者のみが対象となる。

また、順位に応じてワールドカップポイントが与えられるのは通常通りだが、それも15位まで。16位以下の選手はノーポイントだ。
このように、最終戦とは選ばれたもの、勝ち抜いたものだけが戦うことが許される特別なレース。グレードという点でもいつもよりちょっと上の大会なのだ。

今シーズン、日本チームから最終戦にコマを進めた“ファイナリスト”は、湯浅直樹のみ。湯浅はスラローム第10戦が終わった時点で種目別20位につけ、最終戦へのチケットを獲得した。彼にとっては、2010年以来、2年ぶり2度目のことだ。先週のレース、クラニスカ・ゴラでの湯浅はやや精彩を欠き、1本目トップから2秒45差の23位と出遅れ、2本目は中間すぎの急斜面入り口でポールをまたぐミスで途中棄権。ここは本来得意とするコースなだけに、初の表彰台も期待されていたのだが、残念な結果に終わった。その悔しさを晴らすべく、彼は火曜日から早速トレーニングに入り、入念な調整。最終戦にすべてをぶつける。1月に同じシュラドミングで行なわれたワールドカップ第8戦では、トップと0秒50差の5位というすばらしい滑りを見せた。これを含め、4回もトップ10に入っている相性の良いコース。彼自身、どうしたら良いタイムが出るか、このコース攻略のポイントは完全に掴んでいると語る。最終戦という最高の舞台で、ふたたび湯浅本来のスラロームが見られることを期待したい。

さて、スラロームの種目別タイトルの行方も、予想通り最終戦にもつれ込んだ。膝の負傷のために3週にわたって欠場していたイヴィッツァ・コスタリッチ(クロアチア)が、クラニスカ・ゴラのレースから復帰。その時点でランキングトップに立っていた彼を35点差で激しく追いかけるマルセル・ヒルシャー(オーストリア)との対決が注目された。しかし、コスタリッチはやはりまだ万全の調子には戻っておらず16位と低調。一方ヒルシャーは、スラローム2連勝の勢いで一気に逆転を狙ったが、1本目の中間付近でポールをまたいでしまい、まさかの途中棄権に終わった。レースとしてははほぼ痛み分けの形だが、それでも15点を加算したコスタリッチに対してヒルシャーは0点。ふたりの得点差は50点に広がった。最終戦1レースでこの差を逆転するのはかなり難しいといわざるを得ず、ヒルシャー絶体絶命である。

しかし、実はスラロームのタイトル争いはふたりだけのものではない。ここまでは、コスタリッチ vs. ヒルシャーの争いの影に隠れ、あまり注目されていなかったアンドレ・ミューラー(スウェーデン)が急浮上してきたからだ。ミューラーはクラニスカ・ゴラでの優勝により100点をゲット。コスタリッチとの差を66点差と縮めたのだ。もちろん逆転は容易ではないが、可能性も0ではない。上位ふたりに何かがあれば、ミューラーが“漁夫の利”を得ることも考えられる。

「イヴィツァとマルセルは、最終戦ではナーバスにならざるを得ないだろう。僕はその後ろで自分のペースで滑る。もちろんタイトルもほしいが、まずは納得の行く滑りをすることを考えたい」と慎重ながらも意欲は充分だ。

2012シーズンの男子スラロームは、最後の最後でこれまで以上に緊迫してきた。他の種目の最終戦次第だが、総合のタイトル争いがスラローム最終戦の結果次第となることも考えられ、その意味でも3月18日は見逃せないレースとなりそうだ。

[写真左]シュラドミング、バンスコとスラローム2連勝のマルセル・ヒルシャー。クラニスカ・ゴラでは1本目で早々と途中棄権。ポールをまたいでしまい、まさかのノーポイントに終わった
[写真右]膝の故障で3週間の欠場を強いられたイヴィッツァ・コスタリッチ。総合優勝は厳しくなったが、スラロームの種目別では依然としてトップにいる。

[写真左]クラニスカ・ゴラで快勝し、種目別優勝の可能性も出てきたアンドレ・ミューラー。今季まだ1レースしか途中棄権がない抜群の安定感を誇っている
[写真右]クラニスカ・ゴラではジャイアント・スラロームで2位、スラローム3位といずれも表彰台に上がったアレクシー・パントゥロー。今季中のワールドカップ初優勝はなるか

[写真]湯浅直樹は1月のシュラドミング・ナイトレースでは優勝したヒルシャーと0秒50差の5位。クラニスカ・ゴラでの悔しさを、もっとも得意とするこのコースで晴らしたいところだ

田草川嘉雄

田草川 嘉雄

白いサーカスと呼ばれるアルペンスキー・ワールドカップを25年以上に渡って取材するライター&カメラマン。夢は日本選手が優勝するシーンをこの目で見届けること。
[email protected] ≫ReplaySkiRacing

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