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スキー コラム 2012年3月8日

男子スラローム第10戦 クラニスカ・ゴラ(スロヴェニア)

アルペンスキー・ワールドカップ(白いサーカス)転戦記 by 田草川 嘉雄
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2月19日にバンスコで第9戦が行なわれた後、ワールドカップの男子スラロームは、2週間の休止期間があった。もちろんワールドカップそのものは継続して行なわれていたのだが、スケジュールの関係で男子のスラロームだけはやや間があいてしまったのだ。スラロームのスペシャリストたちは、2週間のブレイクを休養やトレーニングにあてたり、あるいはレースで実戦的な調整をしたり。おかれた立場に応じてその使い方は様々だが、それぞれが有意義に過ごして、ワールドカップ終盤戦に備えた。たとえば、湯浅直樹は、雪山を離れてローマに。ヘッドコーチのクリスチャン・ライトナーから「どこでもいいから遊びに行って、リフレッシュしてこい」という指令だったというがシーズン中の緊張感をいっとき開放して、新たなパワーとモチベーションを補給できたようだ。その後はオーストリアに戻ってトレーニングに集中。シーズン残りのレースに向けて良い仕上がりを見せている。一方、佐々木明はバンスコの後緊急帰国。10年ぶりにファーイーストカップのジャパンシリーズに参戦した。彼は2006年にもGSに1レースだけ出場しているが、これはワールドカップ志賀高原大会の“ついで”に出たもの。今回は5レースに出場して、久々に日本や韓国のトップレーサーたちと戦った。結局GS、スラローム各1勝をあげたものの、最大の目的だったFISポイントの更新はならず、復活へのきっかけになったかといえば疑問だ。それでも、自分の戦いを全うすべく、シリーズ終了後は疲れも見せずにすぐさまヨーロッパに戻って行った。

今週末はクラニスカ・ゴラ(スロヴェニア)で技術系2レースが行なわれる。出場資格が限定される最終戦を除けば、これがシーズン最後の戦い。タイトル争いは大詰めを迎え、レースそのものの順位はもちろん、総合や種目別のポイント争いにも注目が集まることだろう。

現在ワールドカップ総合で首位に立っているのは、ベアト・フォイツ(スイス)で1250点。マルセル・ヒルシャー(オーストリア)が1135点でこれを追い、3位はイヴィッツァ・コスタリッチ(クロアチア)1043点。4位のアクセル・ルンド・スヴィンダール(ノルウェー)や5位ディディエ・クーシュ(スイス)らにも数字上のチャンスは残されてはいるが、実質的には現時点での上位3名によるタイトル争いとなるだろう。

一方、スラロームの種目別ランキングも緊迫しており。第8戦(シュラドミング)、第9戦(バンスコ)と連勝したヒルシャーが、首位コスタリッチを激しく追い上げている。その差は35点。1レースで簡単にひっくり返る僅差である。

コスタリッチは2月12日ソチのスーパー・コンバインドで優勝。今季6勝目をあげているが、このときのスラロームで膝を負傷して戦線離脱を余儀なくされた。すぐさま手術をしてクラニスカ・ゴラからのワールドカップ復帰をめざすと発表。リハビリとそれに続くトレーニングに全力を傾けてきた。3月に入って雪上トレーニングを再開したが、現時点でクラニスカ・ゴラに出場するかどうかについての公式なアナウンスはない。はたして彼は本当にレースに戻れるのか、それとも回復が思わしくなく、このままシーズンが終了してしまうのか。いずれにしても総合、スラロームともに昨年に続く2連覇はかなり厳しい状況といえるだろう。

さて、クラニスカ・ゴラのスラロームに話を戻そう。古くからワールドカップの舞台となってきたこのコースの名前は“ポドコレン”。何度かの改修を重ね現在はポドコレン3と呼ばれており、変化に富んだ難度の高いコースとして高い評価を得ている会場である。以前は年内最後の技術系レースとしてクリスマス前に行われることが通例だったが、ここ数年は2月末の開催となった。そのため、かつてのようにハードなアイスバーンではなく、掘れたコースでの戦いになることが多い。したがって、レース展開もやや荒れ気味。とくに2本目に思いがけない選手が急上昇して上位に飛び込んでくるといケースがよくみられる。たとえば、昨年のGSで34番スタートから2位、ワールドカップ初入賞を記録したアレクシー・パントゥロー(フランス)などはその典型と言える。

そうした荒れた展開の中、日本選手がよく生き残って上位にくることが多いのもクラニスカ・ゴラの特徴である。過去には岡部哲也、木村公宣、佐々木明がそれぞれ2回ずつトップ10に入っているし、皆川賢太郎も7位に入賞している。もちろん、湯浅直樹もこのコースを得意としており、彼にとっての初の一桁入賞を記録した04/05シーズンは、2本目のベストタイムをマークして7位となっている。また昨シーズンのレースでは、1本目8位の好位置に付け、2本目も目の覚めるような滑りで快走していたが、ゴール寸前で失敗。第2中間計時では、同タイムで2位となったアクセル・ベックとノーラン・キャスパーのタイムをともに上回っていただけに悔やまれるレースだったが、改めてこのコースに対する相性の良さを証明した。今季の湯浅はシュラドミング、バンスコと連続して5位に入賞しており、今回は初の表彰台を狙うチャンス。すでに最終戦への出場権をほぼ確実にしている分、条件は昨シーズン以上に整っている。たんに表彰台というだけでなくあるいはその中央に立つことも十分考えられるだろう。少なくとも彼自身は、リスクを冒すのは承知の上で優勝を狙ってのアタックをかけるはず。はたしてその勝負がどちらにころぶのか?シーズン終盤の大一番として、おおいに注目したレースだ。

【写真左】昨シーズンの湯浅は素晴らしい滑りで、1本目20番スタートながらトップと0秒52差の8位の好位置につけた
【写真右】2本目の湯浅はゴール寸前で痛恨のミス。わずかにコントロールが乱れポールをまたいでしまい途中棄権に終わった

【写真左】後半の長い急斜面が勝負のポイント。ここを得意とする日本選手とっては、相性のよいコースと言える
【写真右】荒れた展開となるのが最近のクラニスカ・ゴラの特徴。昨年は第2シードからふたりが表彰台に上がった。1位マリオ・マット(中央)、2位アクセル・ベック(左)、2位(同タイム)ノーラン・キャスパー

【写真】久々にファーイーストカップを戦った佐々木明。ヨーロッパに戻ってすぐのレースは体力的な負担が大きいだろうが、今シーズンに残された数少ないチャンス。悔いのないよう思い切り戦ってほしい

田草川嘉雄

田草川 嘉雄

白いサーカスと呼ばれるアルペンスキー・ワールドカップを25年以上に渡って取材するライター&カメラマン。夢は日本選手が優勝するシーンをこの目で見届けること。
[email protected] ≫ReplaySkiRacing

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